死ぬときはひとりぼっち(1)
部室には二つ組み合わせた大テーブルが置いてあり、それを囲んで部長の村上、部員の吉田が座っていた。
村上はオールバックの髪型で、黒フレームのメガネをかけて、学ランを着た男子生徒だ。この高校は制服を着用する義務はない。かつては制服があったが、一昔前に私服登校ができるように校則が変わっていた。今ではほとんどの生徒が私服で投稿している。そのなかでかつての制服である学ランを着続ける村上は異彩を放っていた。
村上の掛け声で会は始まる。
「それでは本日のタイトルしか知らない小説のストーリーを想像する会を始める」
二人しかいないのに、大勢が集まっているかのような堂々とした喋りっぷりだ。
「二人しかいないのに、そんなに大声を出さなくても聞こえましてよ」
お嬢様口調で喋っているのがもうひとりの部員の吉田だ。大きい目、しっかりとした眉毛、パーマを掛けたロングヘヤー。首から上の素材は最高のお嬢様だ。しかし私服はパンク風、ロック風の服装でアンバランスだ。
「俺は普通に喋っているだけだ」
村上は司会と進行を続ける。
「 今日のタイトルは『死ぬときはひとりぼっち』だ」
「悲しい感じのタイトルですわね」と吉田が言った。
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