タイトルしか知らない小説のストーリーを想像する会

九夏三伏

タイトルしか知らない小説のストーリーを想像する会

生きていると知らなくても知っているふりをする時がある。会話の中で初めて聞く言葉と出会っても、特段興味がなければ会話の腰を折ってまで問うことはせず、そのまま知っているふりで過ごすこともある。


世の中にはタイトルは知っているが、内容を知らない本がたくさんある。読んだことがある本よりも、読んだことのない本のほうが遥かに多いのだから当然だ。


読んだことのある小説など、小説のなかのごく一部だ。ベストセラー小説などでない限り、自分の読んだ小説を他の人も読んでいるという確率は低い。ならば読んだことのある小説について語り合うよりも、読んだことのない小説について語るというのはどうだろうか。悪貨は良貨を駆逐するという。読んでない小説について語ることが、読んだことのある本を語る経験を上回るということがあるのではないか。


このようにな屁理屈により『タイトルしか知らない小説のストーリーを想像する会』は開催された。


主催したのは県立○○高校、文芸部部長・村上梅雨彦。校内有数の過疎部活である文芸部の活動実績を作るため、村上は会を開いた。

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