麦の人
私はいつもひとりぼっちで
周りから浮いていた。
ある日、教官が玉投げをするように指示をした。
奇数だから、当たり前だけど私は一人だ。
教官が一緒にやってくれるわけもない。
仕方がないので、壁に当てていたら、怒られてしまった。
布製の柔らかい球。
諦めて人のいないほうに向けて投げて、うつむいていると、反対からころころと帰ってきた。球には麦の穂のようなものがくっついている。
はっ、として顔を上げると、美しい女性が立っていた。
白のながいノースリーブのワンピース、足元ははだし、明るい髪はハーフアップで後ろにまとめている。腕には麦が美しい装飾となっている。
女性は美しく微笑むと、手をひらりひらりと振った。
恐る恐る投げ返すと、麦の穂と一緒に返ってくる。
それが うれしくてうれしくて
ただ その やさしいえみに つつまれていた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます