第4話 決死の脱出

辺りが暗い。灯りはランプしかない。その薄暗い部屋の中でディルは目を覚ました。辺りを見渡す。体の下にはギシギシと鳴る古いベッド、これに寝かされていたようだ。部屋には机と椅子しかない。電話もなく窓は一つしかなかった。携帯を捜したが、車に置いてきたようで、その車もラスベガスの駐車場の中だ。連絡しようにも出来ない。撃たれた左肩と左足には緩くではあったが包帯が巻かれている。起き上がろうとしたが、まだ意識が朦朧としていて無理だった。


「起きたか」


 聞き覚えのある声が入口から響く。ファーガだ。


「ファーガ・・・」


「よく寝てたな。丸一日眠ってたんだぞ」


「ここは・・・?」


「俺の隠れ家だ。本当はアフガニスタンに連れて行こうと思ったが、飛行機で二、三日はかかるからここにした。電話もない不便な所だが我慢しろ」


 コーヒーメーカーはあるようで、机の上でコーヒーを入れ始める。飲むかと言われた。本当は喉が渇いていたが、意識がまだはっきりしていない上にこの埃の多い状態で飲むのは気が進まないので断った。とりあえず起き上がろうとしたが、痛みが全身を襲い、ベッドに倒れる。クスッと笑うとカップに口をつけてからディルに近づいた。


「あまり動かない方がいいぞ。怪我の治療は適当にやったからな。それに変な真似をされたら取引の意味がなくなる」


「ふざけるな・・・!俺を人質にしても本部長は要求を飲まない・・・。あの人はそういう人だ・・・!」


「どうかな?俺がここでのテロに加わっている事は話したからな。明らかに動揺していたし、息子同然に可愛がっているお前が人質なら要求を飲まざるを得ない」


 そう、この男が父・カールを殺した。ここ、ラスベガスでのテロに加わっている。ディルとジョンと知り合う以前からテロリストと手を組んでいた。一体何の目的で。そして〝彼〟との関係は―。


「・・・聞きたい事がある」


「何だ?」


「・・・何の目的でテロに加わってる?どうして親父を殺した?〝彼〟って一体誰だ?」


「質問が多いな、一つだけにしてくれ。生憎俺は忙しい」


 ディルは右腕をつき、ゆっくりと体を起こした。傷の痛みに耐えながらファーガを睨みつける。


「・・・じゃあ、これだけ聞かせてくれ。〝彼〟って誰だ?」


「・・・誰かってお前が一番分かってるんじゃないのか?いや。正確にはレイの方が分かっているか」


「レイ?彼が知っているはずがないじゃないか。本人も知らないって言ってたぞ」


「気づいていないだけさ。じゃあ、俺は仕事があるからここでおとなしくしてろ」


 カップを机に置いて出て行った。ディルは追おうとしたが、傷の痛みに耐えきれず、ベッドに倒れ込んでしまった。ラスベガス郊外なのは分かるが電話がない以上、連絡する事は出来ない。それに父をファーガが殺したという事実が未だに信じられなかった。初めて会った時はディルやジョン、後輩であるレイでさえ知らなかった。あの優しい男がテロリストと手を組んでいたなんて。〝彼〟をレイが知っているとはどういう事なのか、レイの知り合いなのだろうか。そう考えていると無償に逢いたくなった。だが、ここがどこだか分からない以上、どうする事も出来ない。仲間達が救出の為必死に動いてくれているだろう。彼らが来てくれるのを待つしかない。銃はキャディラックの側に落としてしまったから抵抗しようにも出来ない。言わば丸腰だ。おとなしく待っている事しか出来ないのが歯痒い。


「ごめんな、レイ・・・。必ず帰るって約束してたのに・・・」


 何だか泣きたくなった。約束も守れないようではレイを守る事は出来ない。こんな簡単に捕まっているようではFBI捜査官失格だ。また意識が朦朧としてくる。心の中でレイに詫びながらベッドに倒れてしまった。






「ありがとう、島崎」


「気にすんな。友人の頼みとあっちゃあ断れねえよ」



 龍一と輝はNYの空港に着き、輝の友人でここの管制官として働いている島崎保の計らいでNYのホテルを取ってもらい、帰国するまでそこに住まわせてもらう事にした。そのホテルは島崎の叔父が経営するもので、高級ホテル程広くはないが、設備の整った素晴らしいホテルだ。予約客が殺到する程の人気ぶりで今日も二人分の部屋が取れず、スイートルームになってしまったが、話し合いをするには最適だ。島崎にホテルまで車で送ってもらい、電話を受けたホテルの支配人が迎えに出て来た。


「予約された早乙女様と橘様ですね。お待ちしておりました。お荷物をお運びいたします。保くんは?」


「俺も一応上がります。伝えておきたい事があるので」


 部屋は最上階にあるデラックススイートルームだ。支配人がカードキーで鍵を開け、二人の荷物を置き、何か分からない事があったらフロントに電話をしてくれと言い、部屋を出て行った。


「本当にいいの?こんな良い部屋に泊まらせてもらって」


「ああ。叔父さんには俺から言ってあるし、金は俺が前払いしとくからさ。それと頼まれてた件だけど・・・」


 NYに飛ぶ前、勇造から島崎にディルの状況、ファーガに関する情報がないか調べてくれと依頼があった。すぐに上司と話し合って同時多発テロの状況資料を作成すると同時に二人が今どこにいるのか、ディルはどういう状態なのかを徹底的に調べ上げた。しかし、電波が届かない所にいるのか、FBIから入手したディルの携帯の電話番号にかけても出て来ず、アジトの場所さえ衛星を使っても分からなかった。


「それだけ分かれば十分です。ありがとうございました」


「いや。じゃあ俺は仕事が残ってるから行くわ」



 島崎が帰った後、龍一はFBIに電話をかけ、今から行っても構わないかと交渉をした。しばらくして了承され、二人はFBI本部へ向かった。


 FBI本部へ到着した時、捜査官達は慌ただしく動いていたが、顔色が悪かった。通常の仕事をしていても、どうしてもディルの状況が気になってしまうようだ。輝がそんな彼らを気の毒そうに見つめる。やがて本部長室に着く。二人をラルフが出迎えた。


「初めまして。本部長のラルフ・レオナルドです」


「警視庁刑事部刑事課主任・早乙女輝です」


「探偵の橘龍一です。よろしく。それで今の状況は?」


「今の所動きはない。ディルの居場所もまだ掴めないままだ。ファーガのアジトの場所も分かっていない。要求は飲むつもりはないと上層部の会議でも一致した。どうするかまだ考え中だ」


 同志が人質となっている今は、動いても危険を伴うだけ。それだけ慎重にならざるを得ない。それは啓介と輝にも理解出来た。何より情報があまりにも少なすぎる。期限が一週間だけといっても当人達にはとても長い時間に感じられる。ラスベガス支部にも協力を要請しているようなので、情報が入るのを待つしかなさそうだ。


「二人とも宿は?」


「知り合いがNYにあるホテルを取ってくれたのでそこに泊まっています」


「そうか。どう対処するかは明日の会議でもう一度話し合う。君達も参加してくれ」


「分かりました」


「せっかくだ。レイにも会ってやってくれ。ディルの同居人でね、安全を確保する為に私の家にいる。今回の件でショックを受けていて引きこもりがちになっているんだ。あとで案内するよ」



 龍一と輝は、ラルフの車で彼の家へ向かった。大きな邸宅で、輝の家程の大きさだ。


「こんな大きな家に御一人で?」


「妻が早くに逝って、息子二人もイギリスとフランスで働いているんだ」


 説明しながらドアを開ける。レイはキッチンで夕食の準備をしていた。


「ラルフ、お帰りなさい」


「ただいま。紹介するよ。テロの調査とディルの救出に協力してくれる日本の警察の捜査員と助手だ」


「早乙女輝です。こっちは橘龍一くん」


「初めまして。あの・・・ディルを助けて下さい・・・・!あいつは・・・私の側にいてくれるって・・・一人にしないって約束してくれたんです。だから・・・!」


 泣きそうになりながら言葉を繋ぐ。輝は側に寄って手を握り、必ず助けるからとレイを慰める。レイは輝に任せようと、ラルフと龍一はラルフの寝室へ退いた。レイは輝が貸してくれたハンカチで目元を拭う。


「ありがとう」


「いえ、お気持ち分かりますよ。僕、同時多発テロで実の父を失ったんです。誰かが側にいてくれないと辛いですよね」


「私も七年前に両親と姉を目の前で失ったんだ。そのせいか情緒不安定になってしまってね、ディルがいないとどうしても不安になってしまうんだ」


 FBI捜査官という危険な仕事をしているからいつも不安なんだけれどと苦笑する。余程ディルを大切に想っているのだろう。自分が龍一の事を大切に想っているように。


「・・・彼の事、大切に想ってらっしゃるんですね」


「ああ。あいつは私の命の恩人だからな。一緒に暮らしてもう四年になるけど、ディルの事を考えない日はないよ。危険な仕事をしているからいつも心配なんだけれど、無事でいてくれたらそれでいいから・・・」



 龍一はラルフに日本から持ってきた資料を見せていた。あまりに情報が少なすぎる為参考にはならないかもしれないが、ラルフは興味津津で資料に目を通す。その中には蓮が集めてくれたファーガの動向に関する資料も含まれていた。ギリギリまで調べたからと空港で渡されたのだ。瞬平は上司と一緒に調査中で分かり次第連絡すると言っていた。


「この資料と私達が持っている情報を合わせれば、テロの疑惑を解明出来るし、ディルを救出する事が出来る。一石二鳥だな」


「すみません、日本じゃあまりにも情報が少ないのでこれだけしか用意出来なかったんですけど・・・」


「これだけあれば十分さ、ありがとう」


 龍一に資料を返す。龍一はリビングの方に目をやる。レイの状態が気になっているのだろう。輝がついていてくれているので心配はないと思うが。同居人が自分の知らないうちに拉致されたのだから無理はないだろう。


「彼は・・・いつからあんな状態に?」


 レイが情緒不安定なのは見てすぐ分かった。知り合いの妹が同じように情緒不安定で蓮が知っている病院で看てもらった経験があったのだ。彼女はしばらくして克服したが、レイは未だ克服していないらしい。


「七年前からだ。南アフリカに旅行に行った時、御家族を目の前で亡くしてしまってね。それがディルと暮らし始めてさらに酷くなってしまった。ディルがファーガに撃たれてしまった事でより不安を煽られている。その上、今回の件が重なってしまったからね。側にいてくれると約束していたそうだ。なのにこんな事になって・・・!」


 悔しそうに口唇を噛み締める。ラルフはディルを息子のように、いや本当の息子のように可愛がっている。ラスベガスのテロが起きたのを自分のせいだと責め続けるディルをお前のせいじゃないと何度慰めたか分からない。今回の調査に何故一人で行かせてしまったのかと何度も悔やんだ。ジョンかジニーも一緒に行けば、いや、せめて自分が一緒に行けば拉致される事などなかったはずなのに。携帯も電話も繋がらない、電波の悪い所にいるのであればどうする事も出来ない。


「そんなに自分を責めないで下さい。それに彼はまだ生きてる。期限までまだ時間はあるじゃないですか。どうするかは明日決めればいい」


「龍一くん・・・。君は強いな」


「強くなんてないですよ。むしろ・・・俺は卑怯者です」


 自らの過去、あの男達との確執から逃げ続けている。そしてその事を輝に話していない。話さなければならないのは分かっている。だが、優しい輝に自分が殺人鬼であった事を本当に話していいのかどうか不安で仕方がない。瞬平には輝が本当の事を知っても龍一の事を嫌いになる訳ではないと言われたが、嫌われるのを想像するとやはり話すのが怖い。


「ただ卑怯なだけだ。ただ一人で逃げて、本当の事さえ話していない。嫌われるのが怖いという理由だけで・・・」


「龍一くん、君は・・・」


 そこへ輝が夕食が出来たと二人を呼びに来た。三人そろってリビングへ行く。が、啓介だけ足を止めた。


「ごめん、早乙女。俺、ちょっと調べ物したいから寝室に持って来てくれない?あと、熱々のコーヒーも」


「あ、だったら僕も・・・」


「大丈夫。そんな時間かからないからさ」


「分かりました」



 龍一が調べたかったのは、ディルが拉致された時の状況だった。ラルフから通信機と通話記録を借り、持参したパソコンに通信機を繋いで分析を始める。ディルとラルフの会話、途中で割り込んでくるファーガの声、去って行くファーガの足音、切れる通信。


「・・・やっぱここが気になるな・・・」


 ディルが言っている〝彼〟。奴なのだろう。その奴がレイを欲しがっているという。一体何の為に。龍一と輝を殺す為ならまだしも、ジャーナリストであるレイを狙う理由が思いつかない。だが、奴が関わっているとすれば、自分が動かざるを得ない。まあ輝は反対するだろうが考えを変えるつもりは毛頭ない。そう決めてレイが作ってくれたビフテキを食べ始める。






「駄目です!僕も行きます!」


 やっぱり。ガクッと龍一は肩を落とす。


 今日の上層部の会議では、ハワイ沖の刑務所からテロリストは解放しない方向で全員が一致し、早くディルの居場所を特定して救出しようという意見が出た。その後、龍一が救出には自分一人で行くと進言したのだが案の定、輝に反対された。予想していた事とはいえやはりへこむ。


「龍一くんは一応一般人なんですよ?行くなら僕とFBIの皆さんで行きます!」


 理由はごもっともだ。銃が扱えるとはいえ、龍一はあくまでも一般人だ。こういう事は普通は警察に任せるべきところだ。だが、今回だけは譲れない。自分がいた組織が関わっているのだとしたら龍一が行くしかない。それが過去にケリをつける為の方法の一つだからだ。輝やラルフを巻き込む訳にはいかない。自分のケリは自分でつけたい。今回の救出作戦でつけられるかどうかは分からないけれど、やらないよりはましだ。


「龍一くん、私も反対だ。彼が言っている通り、君は一般人だ。その君をテロリストとの闘いに巻き込む訳にはいかない」


「そうは言いますけど、こうやってテロの調査に来てるんですよ。もう巻き込んでるんじゃないんですか?」


 苦い顔をしているラルフに最もな反論を突き付ける。いや、そもそも巻き込んでいるのは自分だ。かつていた組織のせいでラルフ達の部下を危険な目に遭わせてしまったのだから。輝も父親の死から未だ立ち直っていないのにテロの調査に付添っていてくれている。本当の事を話していないのに。一緒に行ったら本当の自分を曝け出してしまうかもしれない。それだけは避けたかった。


 だが、龍一の正体を知らない輝やラルフ、他の上層部の人間は龍一を巻き込む訳にはいかないと意見を聞こうとしない。


「そもそもまだファーガのアジトの場所も分からないんだぞ。そこにディルがいるかどうかもだ」


「実は昨日、それを調べてたんですよ」


「何?」


「もちろん、正確な位置かどうかは分かりませんけどね。少なくともファーガ・バレイクはラスベガスから動いていない。知り合いの情報屋にちょいと協力してもらって聞いてもらったんですよ。若い青年を連れた金髪の男を見なかったかって」


「滝澤さんにですか?」


「そ。滝さんの情報網は全世界に広がってるから、情報集まるのが早いんだよ」


 龍一が睨んだ通り、目撃情報は多数あった。ファーガらしき金髪の男が若い青年を担ぎあげて郊外にある村へ歩いて行っているのを見たらしい。村は市街地から三キロ以上も離れた所にあるので男一人担いで歩いて行くのはいくら何でもおかしいと思ったそうだ。ともかく、その村に二人がいるのは間違いない。そこまでは輝も納得したが、龍一が一人で行くというのはやはり理解出来なかった。場所が特定出来ているのなら皆で行った方が安全なのに。


「大勢で行って、爆弾でも爆発させられたらどうするよ?下手すりゃ全員、肉の塊になっちまうぜ。それを防ぐ為に俺一人で行くって言ってんだ」


「それは一人で行っても同じ事でしょう?僕は嫌ですよ、龍一くんが死ぬなんて。大勢で行くのが駄目ならせめて僕だけでも連れて行って下さい」


「え?いや、それは・・・」


 一度危険な目に遭わせているのでさすがに拒否したいが、輝は引かない。


「僕は貴方の相棒なんですよ。それにもし貴方の側から離れたりしたらお祖父ちゃんに怒られます。というか離れるつもりありませんからね」


 ここまで言われては折れるしかない。溜め息をつきつつ、輝の同行を許可したが、条件をつけさせてもらった。ラスベガスまでは一緒に行ってアジトの場所の特定をし、そこへは龍一一人で行く事。しかし輝は首を縦に振らなかった。


「僕もアジトまで行きます」


「それだけは駄目だ。一度あんたを危険な目に遭わせてるし、それに・・・言ったろ?俺は・・・大事な人が傷つくのをこれ以上見たくない」


 そして自分の手が血で染まるのを避けたかったし、輝に見せたくなかった。組織を脱走し、日本に帰って、勇造に紹介された組織にいる今は人を殺すような事はしたくない。あの地獄のような生活は二度とごめんだ。それをまた繰り返すような真似はしたくないし、今はまだ輝に自分の正体を明かす訳にはいかない。まだ十分に時間はある。テロの調査を終えてからでも話そうと思えば話せる。だから今回は一人で行かせて欲しい。


「頼む、早乙女。必ずディル捜査官を連れて戻って来るから、一人で行かせてくれ」


「・・・分かりました。約束ですよ?戻って来なかったら許しませんから」


「いいのかい?輝くん」


「龍一くんが決めた事ですし、信じてますから」


「・・・ありがとう」





 結局、龍一と輝がラスベガスまで行き、そこでファーガのアジトを特定、その後龍一が一人でその場所へ行ってディルを救出し、輝と合流してFBIへ戻って来るという作戦を行う事で全員一致し、会議は終了した。


 ホテルに戻り、龍一は早速準備を始めた。蓮から受け取ったベレッタにナイフ、前の組織の武器倉庫から奪ってきた銃や手榴弾、救急箱などをリュックに詰め込んでいく。それを輝が心配そうに見つめている。一人で行く事を了承はしたが、まだいささか不安で仕方がない。万が一の事があったらと思うと怖い。龍一に限ってそんな事はないとは思うが、どうしてもそれを考えてしまう。


「あれ?風呂に入ったんじゃなかったのか?」


 覗いているとは思っていなかったらしい、後ろを振り向いて目を瞠る。


「今上がりました。あの・・・どうしても一人で行かれるんですか?」


「まだ不満があんの?ベガスまでは一緒に行く事にしたんだからいいじゃん」


「でも・・・」


 正直怖かった。もし龍一が父のように無残にも殺されてしまったらと思うと胸が苦しくなる。本当は一人でファーガのアジトに行かせたくない。我が儘を言っているのは百も承知だ。それでも龍一を危険な目に遭わせたくなかった。警察官だからではない。龍一を大切に想っている一人の人間として。


「早乙女」


 声をかけられ顔を上げると、龍一が目の前に立っていた。そして優しく抱きしめられる。


「大丈夫。俺はあんたを置いて死んだりなんかしない。約束したろ?ディル捜査官を必ず救出して戻って来るって。俺の事信じるって言ってくれたじゃないか」


「・・・そうですよね、すみません・・・」


 本当にこれではどちらが年上か年下か分からない。五つ年上の自分がしっかりしなければいけないのに、龍一には助けてもらってばかりだ。自分だって龍一を守れるようになりたいのに。


「守ってくれてるよ」


「え?」


「言ってたじゃん、俺が誰だろうが構わないって。正体を明かしてない俺にそんな優しい言葉をかけてくれたのは総監達と滝さん、神園、そしてあんただけだ。あんたが俺にそう言ってくれた時、凄く嬉しかった。それだけであんたは俺を守ってくれてる。それで十分だ」


 だから帰って来るのを待っていてほしい。そう伝えると輝は小さく頷いた。 


「無茶だけはしないで下さいね」


「分かってる」





 翌日、二人はレンタカーでラスベガスへと向かった。ラルフがラスベガス支部にも協力を仰いだのでよろしく言っておいてくれと言っていた。レイも連れて行ってくれと言っていたがそれはさすがに断った。テロリストに狙われている彼が行ってしまってはディルを救出出来ても今度はレイが人質になってしまう可能性が高くなる。それだけは何があっても避けなければならない。


 ラスベガスの市街地に着くと、ディルが拉致された駐車場へ足を運ぶ。そこには既にハリス達が待機していて龍一と輝の到着を待っていた。


「日本の警察の方ですね。ハリス・アーヴェンです」


「早乙女輝といいます。こちらは助手の橘龍一くんです」


「初めまして。大体の状況はラルフさんから聞いています。今回の作戦はもう御存知ですか?」


「ああ。しかし、君一人をアジトに行かせるのは・・・」


 一般人という事がどうも引っかかってしまうらしい。隣りで輝が苦笑している。龍一も頭を掻きながら苦笑いをする。


「御指摘は百も承知なんですけど、俺が行った方がいいという事になりまして・・・」


「それなら仕方ないな」


 ハリスはディルがファーガに拉致されたと知った時、耳を疑った。ついさっきまで一緒にいたのに。さらにはカールを殺害したのがファーガだという事実がラスベガス支部の捜査官を混乱に陥れた。カールと親交のあった捜査官達は怒りと共に、ファーガとも面識があった為戸惑いを隠せなかった。そしてディルが抵抗もままならないまま拉致されてしまった事にも戸惑っている。何よりハリスは自分を責めている。ディルの携帯に電話をしたが繋がらない事を不審に思っていた時、ジョンからディルが拉致された事を聞いた。急いでディルの車がある駐車場へ向かったが、もう既にファーガに連れ去られた後で、血とディルの銃、キャディラックしか残されていなかった。もう少し一緒にいればこんな事にはならなかったのに。悔しさから言葉を詰まらせるハリスに輝が寄り添う。


 龍一は何か手掛かりがないか車とその周りを念入りに調べている。携帯は車の中、通信機は切ろうとしたのかマイクの部分が収められていないままだ。地面にはディルの血とファーガらしき足跡。それ以外には何もない。


「これじゃ手掛かりはなし・・・か。ん?」


 車の下に黒光りする物が見える。拳銃だろうか。龍一は地面に這いつくばりそれを取ろうとするが届かない。


「龍一くん、何なさってるんですか?」


「車の下に何かあるみたいなんだけど、取れないんだよ」


 そこまで狭くはない為届くと思って手を伸ばすが取れそうで取れない。ハリスは部下に棒を持ってくるよう命令する。数分してその部下が棒を持って戻ってくる。龍一は棒を受け取り、車の下の物を引っ張り出す。黒光りしていた物はやはり拳銃だった。しかも今龍一が持っているベレッタと同じ型の物だった。


「これ・・・ディル捜査官のかな?」


「それはないな。ディルが持っていた銃はこれだけだ」


 ハリスはディルが落とした銃を龍一に見せる。という事はこのベレッタはファーガの物なのだろう。ハリスはすぐ鑑識にかけるよう手配をした。それにしても何故ディルの車の下にベレッタが落ちていたのだろうか。わざと落としたとしても不自然すぎる。落としたのを気づかなかったとも思えない。その時ある事を思い出した。前の組織にいた頃、上層部の一人が裏切って組織から逃亡した。その際、残された車から一丁の銃が見つかった。試しにそれを撃ってみると、中から出て来たのは銃弾ではなく、一枚の紙だった。それはその裏切った男の居場所を知らせるものだった。誰が置いていったのかは未だ分からないが、それを頼りに男を見つけ出し、射殺した。まさかこのベレッタも―。


 龍一は的になる物を探そうと辺りを見回す。と、駐車場の隅に小さい鉄板が置かれているのを見つけ、その方へ行き、ベレッタを向ける。銃声に気づいたのか、輝が駆け寄って来る。


「龍一くん!それ今から鑑識に回すんですよ?どうして撃ってるんですか!」


 輝の問いには答えず、へこんだ鉄板に近づく。落ちていたのは銃弾一つと紙切れ。予想した通りだ。紙切れを開くとそこには地図が書いてあった。ラスベガス郊外の田舎町、十字路の道の隅に丸が書かれている。ここがファーガのアジトだろう。ザッと目を通して紙切れをポケットに仕舞う。そして戻って来たハリスにベレッタを渡した。


「こら、まだ鑑識に回してないのに撃つな」


「すみません、ちょっと撃ってみたかっただけなんで。次は気をつけます」


 呆れた顔をしている輝に近づき、小声でアジトの場所が分かったと告げる。輝は目を瞠った。ハリス達の所へ戻ろうとする龍一の袖を引っ張った。


「ちょ、どうして分かったんですか?」


 龍一は誰にも言うなよと前置きし、ベレッタに銃弾と共に紙切れが入れられていた事を打ち明けた。そこにファーガのアジトの場所が記されていた事も。


「前にも似たような事件があってね、その時も銃に紙切れが入ってたんだ」


「あ、だから試し撃ちされたんですか」


「二度もないとは思ってたんだけどな。おそらくファーガがわざと車の下にベレッタを落としていったんだ。俺達にアジトの場所を知らせる為に。ま、どうせ罠だろうけど」


「ですよね。やっぱり僕も行った方がいいんじゃ・・・」


 ないですかと聞こうとしたが、龍一に言葉を遮られる。


「俺の帰りを待っててくれる約束」


「・・・はい」


 不満があったが、この条件を飲んだ為反論出来ない。口を尖らせる輝を尻目に龍一は紙切れに書かれた地図を元にパソコンで場所を調べ始めた。衛星写真、書き込み、あらゆるサイトを検索しながら場所を特定する。そしてある家屋が何十年も使われていないという情報を見つけた。場所は地図に書かれた所と一致する。ここに間違いない。すぐ紙切れに住所と家屋の特徴を書き込む。これで場所は分かった。後は救出作戦をするだけ。しかし、一つ問題があった。場所を特定している際、かつての仲間の一人のアジトが近くにある事に気づいたのだ。何もないとは思うが、何らかの方法で龍一が救出に行くという話は筒抜けになっている可能性が無きにしも非ずだ。どう家屋に忍び込んでディルを救出するか。必死に考えを巡らせていると、クイクイと輝に袖を引っ張られた。


「何?」


「あの、えっと・・・。あまり参考にはならないと思うんですけど、僕、SATと何度か、人質救出の任務に携わった事があるんです。その時、手島副総監に教えてもらったんですけど、もし情報が漏れたり、近くに敵の仲間がいる時はその裏を掛けって」


「裏を掛く・・・・そうか!」


 かつての仲間とはいえ、その男は龍一が生きている事を知らない。顔を見ても龍一だと分からないはずだ。何せあれから四年もたっている。気配さえ消しておけば気づかれない。たとえ気づかれたとしても知らないフリをしてディルが監禁されている家屋へ行けばいい。今の組織で何度も救出作戦を行ったのにすっかり忘れていた。


「ありがとう、早乙女!助かったよ」


「い、いいえ・・・」


 礼を言われ顔が赤くなる。一緒に行けないが少しでも龍一の力になりたかった。役に立てて嬉しい。


 龍一はハリス達にファーガのアジトの場所が分かった事、今すぐにそこへ向かいディルを救出する事を伝えた。ハリス達は頼む、くれぐれも気をつけろと口ぐちに龍一に言う。と、輝は一つ疑問に思う事があった。


「龍一くん、そこまでどうやって行かれるつもりなんですか?」


「・・・・あ」


 考えていなかったらしい。呆れて物も言えないが、それも分かる気がした。レンタカーで行ってもいいが下手をしたらエンジンの音でファーガに気づかれる可能性が高い。オートバイなど以ての外だ。龍一は考えた末、歩いて行くという決断をした。


「んじゃ、行ってくるわ」


「気をつけて下さいね」


「分かってる」





 ラスベガスから三キロ離れた村の入り口。今はほとんど誰も住んでいないようで静まりかえっている。気配を消してファーガのアジトへ向け歩いて行く。その場所を見つけるまでそう時間はかからなかった。やはり近くにかつての仲間のアジトが見える。いきなりファーガのアジトに入ってしまえば気づかれてしまう可能性もある。ポケットから持参した手榴弾を取り出し、栓を抜いて男のアジト目がけて投げつけ、地面に伏せる。男のアジトである家屋は瞬く間に粉々になった。


 その音はファーガのアジトにいるディルの耳にも届いていた。思うように動かない体をゆっくりと起き上がらせる。窓の外に煙が見える。さらには崩れ落ちた家屋を見つけた。一体誰が―。ファーガがやったのかと思考を巡らせていると、龍一が入って来た。


「ディル捜査官ですね?無事で良かった・・・・!」


「君は・・・?」


「同時多発テロ調査の協力者です。橘龍一」


「橘龍一・・・どうして・・・?君は確か・・・」


「話は後だ、早くここから出よう」


 そう言って手を差し出すが、ディルは、自分で歩けるからと断りベッドから起き上がろうとしたが、治療しきれていない左肩と左足の激痛が全身を襲い、再び倒れてしまった。


「言わんこっちゃない。ほら、乗って」


 今度は背中を向ける。ディルはすまないと一言謝ると、龍一の背中に乗った。辺りに誰もいない事を確認し、歩いてファーガのアジトから出て行く。目の端にかつての仲間のアジトの残骸が映る。ふと龍一は立ち止まった。どうしたとディルが声をかけてくるが、何でもないと首を横に振る。ラスベガスへ向けて歩き出そうとしたが、人の気配を感じ、再び立ち止まり、ディルを揺さぶらないように優しく地面に降ろした。そして素早くベレッタを取り出し、気配がした方に銃口を向ける。そこにはファーガが銃を向けて立っていた。


「ファーガ・・・」


 立ち上がろうとしたディルを龍一が目で制す。無理に動くなと言いたいのだろう。ディルはおとなしくしておく事にした。龍一はポケットを探る。まだ手榴弾は三個残っている。最悪撃ち合いとなった場合、投げつけるつもりでいる。そうなる前にこの状況を打開してラスベガスの市街地まで戻りたいのだがそう簡単にはいかなそうだ。


「あんたがファーガ・バレイク?写真で見た印象とえらく違うな」


「実物の方が良いだろう?ところで、お前は誰だ?」


「橘龍一」


「橘龍一・・・・そうか、お前が」


 奴から大体の事は聞いているのだろう。テロの調査をしているという事も知っているようだ。ニヤリと笑う顔がそれを物語っている。ディルは訳が分からず二人を交互に見つめている。龍一はファーガと睨み合いながらこの状況をどう打開するか模索していた。簡単には行かせてくれそうにないのは見てとれる。ディル一人で行かせる事も考えたが、左肩と左足を負傷した身ではこの村の入り口まで行けたとしても市街地までは到底無理だ。やはりファーガに手榴弾を投げつけるか、それも断念した。人殺しはもうたくさんだし、ファーガと親しいディルの前でそんな事をする訳にはいかない。もうここは直談判しかないか。


「あのさ、俺そろそろ市街地まで戻りたいんだ。そこ通してくんない?」


「ディルを置いていくというのなら聞かないでもないが」


「それは嫌だね。こいつは担いででも連れて帰る。俺にもこいつにも帰りを待っててくれてる人がいるからな」


 そう言った後、ディルに小声でレイがラルフの家にいる事を告げた。レイが安全な所にいると知り、ディルはホッと息をつく。帰ったら説教を食らうだろうがそれは覚悟している。治療して帰るという約束を破ってしまったから。とにかく今は早く顔が見たい。そして抵抗も出来ないまま連れ去られた事を謝りたい、ただそれだけだ。



 ファーガと龍一の睨み合いはまだ続いている。ディルも何とか状況を打破出来ないか思考を巡らせる。この傷ついた体では何も出来ないが。すると龍一が手榴弾を一つこちらに投げてきた。受け取ったものの訳が分からず首を傾げていると、龍一が自分とファーガの間を指差す。そこに投げろという事らしい。二人はおよそ九十メートル程離れている。これなら投げても怪我人も死傷者も出ずに済む。ディルは栓を抜くと、手榴弾を二人の間に投げた。大きな爆発が起き、ファーガは思わず近くの岩場に隠れる。行くなら今しかない。龍一はベレッタを仕舞い、ディルを背負って揺れるが我慢しろと忠告して市街地へ向けて走り出した。






 午後四時。輝は時計を手に村の入り口で龍一の帰りを右往左往しながら待っていた。もうそろそろ戻って来てもいいはずなのに彼の姿はまだ見えない。もしかしてファーガか他のテロリストに見つかったのか、不安が頭をよぎる。やはりアジトまで付いていけば良かったと今更ながら後悔する。と、向こうから人が歩いてくる。ジーンズに黒のポロシャツ。龍一だ。ディルを背負って確かな足取りでこちらへ向かってくる。思わず輝は龍一に駆け寄った。


「龍一くん!」


 龍一は輝を見てニッコリと笑った。何とか救出作戦は成功したようだ。二人の無事な姿を見てホッと息をつく。


「・・・ただいま」


「お帰りなさい。上手くいったんですね」


「ああ。戻る時にちょっと手こずったんだけど。それよりこいつを早く病院に・・・・!」




 ハリスからラルフに電話をしてもらい、二人はディルを連れてFBI本部近くにある病院へ向かった。既にラルフから連絡を受けたらしく、レイが病院に到着していた。意識のないディルを見て不安そうな表情を見せたが、龍一が命に別条はないからと宥め、医師にディルの治療を頼んだ。手術は数時間を要し、終わったのは夕方の六時を過ぎた頃だった。運が良いのか悪いのか、弾は貫通しており、雑とはいえある程度止血されていた為、大事には至らないという。安堵したレイはディルが眠る病室へ足を向けた。麻酔が効いているようでまだ目を覚ます気配はない。とにかく無事で良かった。ディルの手を取り、額に押し付け、温もりを確かめる。その時、ディルがゆっくりと目を開けた。


「ディル・・・」


「・・・レイ・・・ここは・・・?」


「FBI本部の近くの病院。龍一くんと輝くんがここまで運んでくれたんだ」


「・・・そっか・・・俺、助かったんだ・・・・。なあ、レイ」


「何だ?」


「・・・その・・・ごめん。必ず帰るって約束してたのに・・・・」


「いいよ、お前が無事でいてくれたから。でも・・・・簡単に撃たれるなよ・・・!私がどれだけ辛い思いをしたか、お前は全然分かってない!ファーガに攫われたって聞いた時は・・・どうしたらいいのか分からなくて・・・・!」


 涙を流すレイを見て、ディルは包帯で巻かれた体を起こし、レイを抱きしめ、しきりに謝った。今度から約束を破らないようにするから、危険な目に遭っても必ず帰るから、と。二人の様子を見守っていた龍一と輝はしばらくそっとしておこうと外へ出た。


「良かったですね」


「そうだな。なあ、今日は外で飯食わねえ?前に親父に連れてってもらった店があるんだけど」


「ええ、喜んで」






 ディルは驚きのスピードで回復し、一週間後には退院していた。レイはまだ安静にしていてほしかったようだが、仲間がテロの調査で走り回っているというのに自分だけ寝ている訳にはいかない。ただ流石に慣れない場所にいた為疲れが溜まっていたようなので、ラルフに言われて三日だけ休みをとり、仕事に復帰した。


「御迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。今日から復帰します」


「よし。心配をかけた分しっっかり働いてもらうからな、覚悟しておけよ」


「はい」



 この日、輝がレイのリハビリに付添い、龍一は調査の為、一人でFBIに来ていた。ディルの姿を見つけると手を振り、駆け寄った。


「よ、もう大丈夫みたいだな」


「ああ。君のおかげだ、本当にありがとう」


「俺は当たり前の事をしただけだよ」


 クスッと笑う。それを見てディルも笑みを浮かべる。


 だが、今は喜びに浸っている暇はない。ディルにはどうしても聞いておきたい事があった。二年前の龍一の死亡説だ。それを問いただすと、龍一は見抜かれていたかと大きく溜め息をついた。


「俺の事、そんなとこまで調べてたんだ」


「死んだはずの人間が生きているなんて有り得ない。君は一体何者なんだ?」


「何者も何も橘龍一だよ。ちなみにまぎれもなく本物だから」


「でもネットや新聞では二年前に死亡したって・・・」


「それは俺が流したデマだよ。俺が以前までいた組織を撹乱する為にね。そうでもしなきゃあいつらからは逃れられなかった。俺自身の罪からも・・・」


 どういう意味だと聞いたが、龍一は笑うだけで答えなかった。というより、今は答えるつもりはなかった。まだ話す時ではない。龍一の笑みに寂しさを見てとったディルは触れてはいけなかったかと素直に謝った。龍一は気にするなと声をかける。


「何があったのかは知らないけど、その事・・・輝さんには?」


「・・・まだ言ってない。言うべきなのは分かってるんだけど・・・。怖いんだ。俺の過去を・・・血で染まった過去を知られるのが・・・」


 窓の外を見ながら拳を握り呟く龍一に、ディルはどうにも声をかける事が出来なかった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る