第2話 あの英雄は今2
「よりにもよって14番隊のところに出るとはな……」
アランは手綱を操りながらそう呟く。
「14番隊だとマズイんですか?」
横を走るロゼッタの問いにアランは答える。
「ああ、14番隊は新しいカリキュラムで育った奴らだけの試験的な部隊だからな」
最初のうちは経験のある騎士がサポートについていたのだが、ちょうど一か月前にウィリアムの活躍もあって十分に任務をこなせているとして、サポートもいなくなったばかりである。
「普段危険区域に出現するモンスターと『魔族』違いは「知性」だ。魔族は言語を扱い、知性と文化がある。だからこそ危ない」
ちなみに、見た目に関してもゴブリンやオークなどのモンスターをベースにしつつ、人間に寄った見た目をしているのが特徴である。
この手の情報は戦前なら騎士でなくても知っているものだったが、ロゼッタは初めて聞くようだった。
そして、ロゼッタは納得したように言う。
「……そうか、新しいカリキュラムでは4ヶ月でテンプレート魔法や最低限の規則や業務のやり方を詰め込む時間しか無いから……」
「ああ。知性のないモンスターならテンプレート魔法と簡単な知識だけで十分圧倒できる。でも、知性のある敵を『最小の被害で圧倒』するには、最低でも一年かけて徹底的に戦いにおける心と体と頭の基礎を固める必要があるんだよ」
だからこそ、一刻も早くアランが加勢に行かなければならない。
(それにしても魔族は『』で人界から完全にいなくなったはずなのに……十四番隊の皆、無事でいてくれよ。こんなジジイより先に死ぬんじゃないぞ)
□□
一方その頃。
モンスター出現区域で戦闘中の14番隊はアランの推測通りの事態になっていた。
若い騎士たちは初めての知性ある生き物との戦闘に、完全に浮き足立っていた。
「や、やあ!!」
隊員の一人が魔族に剣を振り下ろすが。
「そんな大振り当たるかよお!!」
相手は知性のある魔族。
モンスターと違い「剣を振りかぶるという行為はそれを振り下ろすための予備動作」ということを理解できるため、当然のように躱される。
「オラよ!!」
「がっ!!」
返す刀で首を切り落とされる隊員。
また、その少し離れたところでは。
「み、水系統、こ、この場合は……第6」
別の隊員が魔法攻撃を仕掛けようとしていたが。
「チンタラ詠唱とは余裕だなあ!!」
これも同じく、知性のある相手はそれが攻撃の予備動作だと分かってしまう。
しかも、混乱してどの魔法を使用するか迷ったというのだからいいカモでしかない。
「ぐふっ!!」
魔族の槍に心臓を貫かれて隊員は絶命した。
しかし、戦闘の意思があった彼らなどいいほうで。
「あ、あ……」
中には恐怖のあまり、尻もちをついてしまう隊員もいた。
これは違う。
今までこなしていた任務と全然違う。
知性のないモンスターを相手にするのは、一度慣れてしまえば簡単だ。
習性というパターンがあり、そこを上手くハメれば同じやり方で倒せる。
そこには命のやり取りというものは無い。こちらが一方的に決まったやり方で倒す作業なのだ。
しかし、目の前で繰り広げられているのは知性がある生き物同士の殺し合いである。
知性があるからワンパターンに行動せず、逆にこちらの行動も読まれる。
そこにあるのは生々しい「命の奪い合い」である。
「ははは、コイツら全然戦いに慣れてねえなあ!!」
魔族の一人がそう言った。
まさにその通りだ。彼らは効率よくモンスターを狩れるように、効率よくカリキュラムをこなしただけなのだ。
もし改正される前の騎士団のカリキュラムを行っていたなら、幾分マシだったろう。
改正前のカリキュラムは、多くの時間を「対人戦闘」の実戦経験を積ませることに割いていたからである。
効率よりも個々人の経験で実戦の中で取るべき行動を見いだせることや、そもそも実戦に怖気づかない「勝負度胸」を身に着けることを重視していた。
まあ、そんなことを今更言っても意味はないことであるが……。
「ハッハー!! 死ねぇ!!」
先ほど恐怖で尻もちをついた騎士に、魔族が剣を振り下ろす。
しかし。
ガチン!!
と魔物の剣が受け止められる。
剣を受け止めたのは横合いから現れた14番隊の隊長、ウィリアムの持つ剣だった。
ウィリアムは迷いなく、素早く空いている右手を魔物にかざす。
「雷系統第8魔法」
「ぐあああああああああああ!!」
ウィリアムの手から放たれた電撃が魔物に至近距離で直撃し焼き焦がす。
「怯むな皆!! 君たちにはこの僕がついてるぞ!!」
ウィリアムはよく通る声を張り上げ、慌てふためく隊員たちに檄を飛ばす。
「数回だったが対人戦の訓練も学校でこなしただろう!! その時のことを思い出して落ち着いて戦うんだ!!」
その様は、初の魔族との戦闘にもかかわらず非常に堂々とした迷いの無いものだった。
「ほう。人間の癖に少し骨のあるやつもいるようだなぁ……」
低い声が聞こえてきた。
声のした方をウィリアムが見ると、魔族の集団の中から一匹の明きからに他よりもデカい魔物が現れた。
他の魔物たちの3倍はあるような巨体のヒゲを生やしたオーガがベースの魔族である。
乗っている馬も手に持っている三叉槍が先端に取り付けられた斧もとにかくバカでかい。
若い隊員たちはその威容に息を飲む。
ウィリアムはしかし、臆することなく剣を構える。
「ふん。バカでかいやつほど無能だったりするけどね。炎系統第23魔法!!」
魔法によってウィリアウムが手に持った剣の刀身が燃え上がる。
「はあ!!」
馬を走らせると、炎の剣でリアルゴに斬りかかるウィリアム。
しかし。
「……臆すること無く切りかかってくるその心粋もよし」
リアルゴは斧を振りかぶると。
「だが、この『新魔王軍』大将、リアルゴ様と戦うには20年早かったなあ!!」
ウィリアムはリアルゴの一振りによって軽々と弾き飛ばされた。
□□
アランとロゼッタが到着したのは15分後の事だった。
距離を考えれば、かなり早い到着である。
「加勢に来たぞ!! 状況は」
そう言ったアランだったが。
「……っ!!」
しかし、急いだのも虚しく被害甚大と言わざるを得なかった。
30人いたうちの半数しか生き残っておらず、その残り半分もみな大怪我を負っている。
「……ロゼッタ、皆の治療を」
「はい……」
ロゼッタは馬から降りると負傷者に駆け寄っていった。
「なんだあ? 援軍かと思ったら年のいったジジイとひ弱そうな小娘じゃねえか。このリアルゴ様の敵じゃねえなあ」
恐らく魔族たちの大将であろう、オークがベースの巨漢魔族がそう言った。
見た感じかなりランクの高い魔族だ、14番隊の人間で対処できる相手ではなかったろうとアランは思った。
そして、その14番隊の隊員たちだが、待ちに待ったアランという援軍の到着を見て。
「そんな、援軍が来たと思ったのに……」
「何年も現場に出てない団長とその付き人が来て、何になるんだよ!! 他の部隊はどうしたんだよ!?」
などと言っていた。
まあ、当然の反応だろう。
たった二人。一人は戦ったことを見たことすらない管理職の、しかも明らかに肉体的に全盛期は過ぎている中年。もう一人は騎士ですらないお付きのメイドだ。
その感想は敵も同じのようで。
「ふん。せっかく、もう少し楽しめる奴らが来たかと思ったのによお」
オークがベースの魔族、リアルゴはそう言うと自分の武器の先を見た。
「結局まともに戦いになったのはコイツだけかよ。つまんねえ」
リアルゴの三叉槍付きの斧の先には、腹部を貫かれたウィリアムがいた。
全身の鎧は破損し、おびただしい量の血が流れている。
「ほらよ、返すぜ」
リアルゴが斧を振って、ウィリアムを空中に放り出す。
ウィリアムの体は地面を転がると、アランの前で止まった。
その目は完全に生気を失っていた。
いつのも生意気な笑顔は、苦痛に歪んで硬直している。
「ウィリアム……」
だが、それでも。
その手は自分の武器である剣を放していなかった。
最後まで戦う意思を持っていたのだろう。
考えてみれば、リアルゴのようなランクの高い魔人族がいるのであれば、14番隊の戦力ならアランが到着する前にとっくに全滅していてもおかしくはない。
それでも半数以上が生き残っている。
つまりそれは、ウィリアムの功績に他ならない。
ウィリアムが圧倒的に格上のリアルゴに、命をとして食らいついたからこそ部隊は全滅を免れた。
「お前らしいな……」
アランはこの一年半のことを思い出した。
■■
騎士団訓練学校の卒業式の日。
アランの執務室にウィリアムが来ていた。
これは騎士団訓練学校の伝統であり、首席で卒業した隊員は騎士団長自ら一対一で称賛とねぎらいの言葉を送るのである。
「おめでとうウィリアム。入学から卒業までずっと主席のままでいるやつは珍しいよ」
そう言ったアランに対して。
「はっはっはっ。この天才の僕なんだから当たり前ですよ」
ウィリアムは相変わらずのドヤ顔でそう言った。
この態度も入学した時から変わらない。いや、実際にずっと主席だったという結果が伴って、より拍車がかかったもしれない。
(すっかり天狗だな。3ヶ月の短い訓練期間というのもある……自分を過信するのは危険かもしれない)
理論上は知性のないモンスター相手ならそれほど危険は無いはずだ。しかし、実力を過信し冷静さを欠いて勇み足になれば思わぬ事態を招くこともある。
(少し、鼻っ柱を折っておくかな)
ジジイの余計なお節介である。
不愉快かもしれないが、受け取ってもらおう。
「まあ、首席卒業と言っても訓練は所詮は訓練だ。実際の任務で結果を出さなければ一人前とは認められないぞウィリアム」
アランは普段よりも厳しい口調でそう言ったが。
「はあ? なーに言ってんすか。若い才能に嫉妬っすか?」
このノリに乗っているルーキーは、全く意に介する気配が無かった。
「ボクは今までの誰よりも早くスマートに結果を出してやりますよ!!」
「そうか、せいぜい頑張れよ。ちなみに勲章授与の最小年齢の記録は17歳でもらった俺が最速だ。お前は15歳だからあと二年しか無いぞ?」
「ははははは」
ウィリアムは盛大に笑うと、親指で自分を指さしながら。
「二年なんていりませんね。俺は半分の一年で取ってみせます」
圧倒的なドヤ顔と無駄に真っ白な歯をきらめかせてそう言った。
(心配だ……)
アランは頭を抱えた。
しかし、それからウィリアムは毎日のように仕事に励んだ。
毎日誰よりも早く仕事に出向き、誰よりも働き、夜遅くになるまで剣を振って鍛錬をしていた。いつ休んでいるんだと言いたくなるような、圧倒的な仕事量と訓練の量だった。
そういう話を周囲から聞いていたし、抜き打ちでアランが現場の視察に行った時もウィリアムはそんな風に働いていた。
そして一年後。
「この一年、国内全騎士の中でも類を見ない成績を収めたウィリアム・レイフィールド下級騎士に勲章を授与し、上級騎士へ昇格させるものとする」
アランは勲章の授与式で壇上に登ったウィリアムに勲章を渡すことになっていた。
(まさか、本当に一年で勲章を勝ち取るとはなあ)
アランは驚きと関心でいっぱいだった。
勲章を渡すかどうかの決をとる会議でも「若すぎる彼に勲章は早いのではないか?」という声もあったが、ウィリアムの働きを見ていた者たちは満場一致で賛成したのだった。
それ程の活躍と働きぶりだったのである。
当のウィリアムは、普段なら絶対にしないような丁寧で恭しい動作で勲章を受け取る。
この辺の振舞いも、やろうと思えばできるあたりは貴族の息子である。
そしてウィリアムは壇上を降りる直前にアランの方を振り返った。
「ね? 言ったとおりだったっしょ?」
いつものドヤ顔である。
しかし、どこまでも爽やかで若々しく頼もしい輝きをアランはそこに見た。
(ああ……これが、次の世代の情熱か)
アランはなんというか……子供や孫の成長を喜ぶかのような気持ちになった。
大戦中はアランたちが「騎士として人々を守る」という情熱と共に新しい時代を駆けていった。
そして今ここに新しい情熱が輝いている。
世界は平和になっても、そこに新たな熱い意思はあったのだ。
「ああ。安心した……」
アランはそう呟いた。
■■
アランはウィリアムの亡骸の前にしゃがみ込む。
「……すまん、ウィリアム。俺の責任だ。お前はきっと、次の世代の英雄になれるやつだったのに」
アランが英雄として魔王を倒したあと、現場を離れて後進のサポートに回ったのは、若い世代に強く育ってもらうためだった。
当時は若き英雄と呼ばれた自分もあくまで人間。
年老いて衰え、いつかは死ぬ。
だから国を安心して預けられるような次世代の騎士に育ってほしかった。
ウィリアムはその期待に、これでもかと答えてくれた騎士だった。
小生意気だけど凄まじい情熱でグングンと伸びていくこの少年の成長が嬉しくて、自由に挑戦させすぎてしまった。
魔王軍が再び現れるなどというのは、完全なるイレギュラーである。
しかし言い訳はできない。
上官というのはそういう「責任を負う仕事」だ。
ならば……責任は自らの手で取らねばならない。
「借りるぞ……ウィリアム」
アランはウィリアムが死んでもなお離さなかったその剣から指を外し、自らの手に取る。
そして。
アランは顔を上げて真っ向から魔族たちを見据えた。
次の瞬間。
ビリビリと凄まじい殺気が戦場を駆け巡る。
「「――!?」」
皺がついてもなお鋭い眼光を放つアランの目元に、魔族たちは一歩あとずさった。
魔族たちだけではない、味方であるはずの14番隊の騎士たちも驚愕していた。
これまで見せていた穏やかそうな四十代の男の姿からは想像もつかない。
戦場に生き、戦場を駆け抜けた猛者だけが放つことのできる圧倒的な威圧感である。
アランはウィリアムの剣を持ったまま馬に飛び乗る。
手綱を操り、魔人の軍勢に単騎で突っ込んでいくアラン。
「「舐めるなあああああああああああああ!!」」
当然、四方八方から魔物たちは襲いかかる。
しかし。
「ふっ!!」
通り抜けざまに繰り出されるアランの剣撃が、あまりの滑らかさと正確さで全くの抵抗を許さず魔族たちを次々に切り裂いていく。
外から見れば、馬が通った後にひとりでに魔族たちの首が飛んでいっているようにすら見えた。
一瞬で30体の魔族を切り捨てた。
アランはその勢いのままリアルゴところまで駆けて行くと、巨体に真っ向から突進する。
「なかなかいい太刀筋だぞ!! 老いぼれええええええええええ!!」
リアルゴは巨体からその大斧を振りかぶる。
サイズはバカバカしくなるほど圧倒的にリアルゴのほうが上である。馬も乗っている本人も武器もアランの二倍以上は大きい。
しかし、アランは全く減速すること無く迫りくる斧に向かって剣を振る。
一閃。
リアルゴの巨体は武器と馬の首ごと、上半身と下半身が真っ二つに切り飛ばされた。
リアルゴを切り捨てながら通り抜けたアランは、馬にブレーキを駆けて止まる。
ボトリと、地面に落ちるリアルゴの上半身。
「……り、リアルゴ様が一撃で!!」
「て、徹底だ!! 撤退!!」
桁違いの実力を目の当たりにして、一目散に逃げていく魔族の軍勢の生き残りたち。
「うそ……だろ……?」
14番隊の隊員たちは、すでに枯れたロートルだと思っていたアランの圧倒的すぎる実力に馬鹿みたいに大口を開けて唖然とするしかなかった。
そんな彼らにロゼッタは言う。
「嘘じゃないですよ。皆知ってるはずでしょう、あの人は」
「ああ……」
生き残った若い隊員たちは敵の大将を一刀両断し、威風堂々と馬上から戦場を睥睨するアランの様を見て思い出す。
自分たちが普段、当たり前のように接していた上司は何者であったのか。
そうだ。あの人は、そうなのだ。
「英雄だ……!! 伝説の七英雄『光の勇者』アラン・グレンジャーだ!!」
大戦を終えて25年。
魔王を倒し戦争を終結させた『勇者』。現役をとうに退いてなおその実力は健在であった。
□□
「……やっぱり、衰えてるな」
逃げていく魔族たちの背中を見ながらアランはそう呟いた。
ウィリアムの剣が少しだが欠けている。
全盛期であれば、一切刃こぼれなどさせずに両断できていたはずである。
業務外の時間を見つけての鍛錬は続けているとはいえ、高レベルな実戦からはだいぶ遠ざかっているし年齢的に肉体の衰えもきている。
そんなことを考えていると。
「……ふははは、話には聞いていたが……そうか貴様が」
足元から声が聞こえてきた。
下半身と泣き別れになったリアルゴの上半身が、まだギリギリ生きていたのだ。
魔人族は基本的に生命力が高いが、この状態でも即死しないのは驚異的である。
「……かつての魔族軍を滅ぼした英雄の一人か……なるほど、これは確かに手強い」
口から血を流しながらアランの方に目線を向けてリアルゴはそう言った。
「そうだ。魔人族は25年前に人界から完全に姿を消したはずだ。他ならぬ……俺が魔王に止めを刺したことによって
「……ははは、そうだ。だが、魔王様は復活された。あの御方の力でな……」
リアルゴは意味深な笑みを浮かべる。
「あの御方……?」
「お前たちもきっと知っている……存在してはいけない、あの方だ……グォ」
言葉の途中で吐血するリアルゴ。
高い生命力で即死は免れたとはいえ、上半身と下半身を切断されているのだ。
もうまもなく絶命する。
「そう!! 魔族軍は復活したのだ。絶望の星、『暗黒七星』と共にな!!」
「暗黒七星……だと?」
アランはその名を聞いて眉間に皺を寄せた。
暗黒七星。
それは『魔王』ベルゼビュートを始めとする、かつて人類を絶滅寸前まで追い込んだ七体の魔王軍最高戦力である。
「今の『暗黒七星』の力は、かつての暗黒七星を凌ぐ……お前は強いが……その老いて全盛期を過ぎた体でどこまで戦える……か……な……」
そこまで言ったところで、リアルゴは悪辣な笑みと共に絶命した。
「……」
アランは動かぬ屍となったリアルゴを見下ろしながら言う。
「『魔族軍』か……」
あの魔王が復活しただけでも恐ろしいというのに、暗黒七星たちまで再編成されたとすれば、これはもう明確な全人類の危機である。
倒れる若い騎士たちを見るアラン。
こんな風に若い命が戦いの中で散っていく様は、25年以上前では見慣れた光景だった。そして、もう見ることはないと思っていた光景でもあった。
「戦いは終わったと思っていたんだがな……」
最後にウィリアムの遺体に目をやる。
「どうやら、まだやり残したことがあるらしい……なら、もう一度俺は剣を取るよウィリアム。すまんな年寄りがでしゃばって」
今度こそ魔王を完全に打倒し、人類を魔人族の恐怖から救うために。
「そして……俺だけじゃない。またアイツらを集めよう」
そう、魔王軍と暗黒七星が相手となれば、彼らの力も集結しなければならない。
『怪力聖女』
『歴代最強賢者』
『追放されし暗黒僧侶』
『悪役令嬢最終形態』
『無敵の遊び人』
『村人』
「かつて最終戦争を生き抜いた6人の戦友たちを」
新たなる大戦の火ぶたは切って落とされた。
今再び7つの伝説が集結する!!
―――
続きが気になる!!
と思ってくれた方、★や♥を頂けると作者のテンションがぶち上ります!!
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