第20話 いつかきっとどこかでだれかが

さっき私がやろうとしてやらかなかったことは、結果として形にはならなかったけれど、やろうとした思いがあるのだから、いつかきっとどこかでだれかがやるのだろう。



あのとき少年が見た夢の続きは、きっとどこかの国で眠る少女が見るだろう。



あのときああしておけばよかったと後悔しながら床に臥せる老人の願いは、今はまだすやすや眠る赤ん坊が叶えるだろう。



どうしてこうなってしまったのかと懺悔する人間の思いは、あと一歩で踏み留まる人間に引き継がれるだろう。



あなたの代わりはいないけれど、わたしの代わりはいないけれど。

そこにあった何かは、いつかきっとどこかでだれかが次の担い手になる。

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