第2話 ”ツーマンセル”結成
ほどなくして去っていったはずのアルバートの背中に追いつくと、速度を緩めてアルバートに話しかける。
「今から王都に行こうと思うんだけど、アルバートも来るか?」
「行きたい気持ちはやまやまだけど、その荷台にどうやってまたがれっていうのさ」
アルティスのバイクの荷台にはいろいろなものが入った鞄が無造作に括り付けられており、アルバートどころか赤子の一人すら乗せられるスペースはない。
「お前もバイクぐらい持ってるだろ。それに乗ってきたらいいじゃん」
「バカ、そういってお前は俺を置いていくんだろ」
「あはっ、バレた?」
「当たり前だろ。お前の考えてることなんかすぐわかる」
やはり親友にはアルティスの考えなど筒抜けのようだ。
まあ、単にアルティスが分かりやすいだけというのもあるのかもしれないが...
「俺も王都に行きたいし、用意してくる。俺の家の前で待っててくれ。少しでも動いたら絶対行かないからな」
アルバートはアルティスに釘を刺す。しかしアルティスはアルバートのその発言がはったりであることはすでに見抜いていた。
アルバートは過保護で、アルティスの身に何かがあったという知らせを聞くと居ても立っても居られないのだ。
きっとアルティスが余計なことをしないか見張りたいのであろう。やはり親友同士で心が読めるというのは本当のことのようだ。
アルバートは全力疾走で家に向かう。アルティスはアルバートと駄弁りながら家まで向かおうとしたが、全力疾走しているアルバートに話しかけても何も返事が返ってくるはずがない。
アルティスはあきらめて、何も考えずにアルバートの後ろを追いかけていった。
アルバートは10分もかからないうちに支度を終わらせ、赤いバイクにまたがる。
アルティスの緑のバイクと非常によく似た模様が各所に入っており、二人が親友であることを思わせる。
突然、アルバートがアルティスに話しかける。
「アルティス、ツーマンセルって言葉、知ってるか?」
「つーまんせる?なんじゃそりゃ」
あえて大げさに驚くアルティス。アルバートは特段気にするそぶりも見せずに話を続ける。
「二人一組で行動することさ。ほら、俺たちって昔からずっと一緒にいるだろ?」
「それはわかるけどさ、それだったらニコイチでよくねーか?」
「ダサいじゃん」
アルバートは無慈悲に言い放つ。
「その通りですねアルバート様」
これにはアルティスもこのざまだ。
「ということで、俺とアルティスはこれから”相棒”だ。よろしくな、相棒」
「はいはい、アルバート」
「せめて相棒って言えよ...」
2人の仲良しツーリング(?)は、まだ始まったばかりである。
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