第4話 漂着と初戦闘
晃司は気絶した状態でひたすら川を流されていた。
偶々というか、幸運だったのだが、溺れずに浮いており、流木や岩に激突する事もなく流されていた。
尤もこの状況を幸運というのもおかしな話だが、色々な偶然や奇跡が重なり死なずに済んでいた。
幸か不幸か、一昼夜流されており、危険な魔物が多く出没する時間帯を川の中にて過ごしていたのだ。
上流から下流近くまで流されており、明け方に川岸に流れ着き、河原に打ち上げられた状態で目が覚めた。
持っていた角が服に絡まり、浮き代わりになっていたのだ。
ふと目覚めたが、状況がよく分からなかった。
だが服を突き破っていた角には見覚えがあった。
追い掛けてきていた獣の角だ。
持ってみるとこれがまた意外と軽い。
体に異常がないか確認するが特に何もない。近くを見ると、フード付きのコートが木に引っ掛かっていた。
今の服はボロボロでかなり酷い。
なのでコートを羽織った。
荷物は特にないが、コートのポケットに白銀色の硬貨が入っている。
美しい女性の横顔が刻まれており、裏側には荘厳な建物の絵が刻まれていて、500円玉と10円玉の間くらいの大きさだった。
誰のか分からないが、そのままポケットに戻した。また、川岸には粗末な草履が漂着していた。
他にも何か無いか確認するも棒切れ位しかなかった。
草履を身に着けてみた。裸足だったから有り難い。
ここが何処かも何もかも分からない。
今が明け方なのか、夕方なのかすら分からない。どのみちすぐに分かるだろうとは思う。ポケットに石をいくつか入れた。いざという時に武器として使う為だ。フェイスタオルの1.5倍位の長さがある汚れていて臭い布が河原に落ちていた。
なので、その布を拾い、中心部に石を括り付けて打撃武器にと考えた。
袋が有れば砂を詰めてブラックジャックだったかを作れるのだが、今は拾った汚く臭い布と、辺に転がっている石のみだ。
獣の角もあるが、長さが微妙だ。
売ればお金になるのかな?と、この先の事を考えて持っておく事にした。
拾った物はマントと布。汚いボロだと思い込んでいた。
石を飛ばす事を考えたが、コントロール出来る自身がなく断念した。
次いでその布に水を含ませて武器として使う事も考えたが、乾くとただの布で、次にいつ水にありつけるか分からない。
その為、石を布で包むだけにした。石も投石に使い切ると、いざと言う時に再度拾えるとは限らないからだ。
今の位置は当然分からないが、川の状態から下流だという事だけは分かった。
周りは低木を中心に藪があり、道を探すか、更に下流へと進んでそこから港を探すか?等と迷っていた。
ただ、ボロいとはいえコートというか、マントが落ちていた事から集落が近いかもと思い、敢えて藪に入って道を探そうと思った。
藪に分け入ってから暫く進むと、段々と日が昇ってきており今は朝なのだと分かった。
時折カサカサと音が聞こえてくるが、その度に晃司はびくっとして振り向いたりしていた。
そうしていると足元で何かが動き、ひぃーと叫びながら飛び退ったが、兎かリスのような小動物の姿を見て毒づいた。
「何だうさぎ?かよ。驚かすなよ!」
再び歩き始めたが、進んでいる先で何かが通って行った気配がしたので先を急いだ。
そうして藪を抜けるとちゃんとした道に出た。
その途端に何かが飛んでくる気配がしたので横を向くと、先程と少し違うが、似たような兎?が凶暴そうな形相でキシャーと唸りながら襲ってきたのだ。
唖然としたが、咄嗟に左側に避けた。
その兎は地球で見るその大きさだが、別物だった。兎といっても小型犬や猫ほどの大きさと、地球の兎とすればかなり大きい。
また、体の大きさに釣り合わなく、頭と同じ長さの角が生えており、その角で突き刺そうとしていた。
角は避ける事が出来たのだが、身体が当たり晃司は弾かれた。
そして転倒した時に頭を打ち付けてしまい、痛みから唸っていた。
もう一度襲ってきたが、咄嗟にポケットから出した布を握ると無我夢中になって振りまくった。
偶々頭にヒットし、角の生えたそう、ホーンラビットは血を吹き出しながら木に打ち付けられ、ピクピクと痙攣した後にぽんっ!と弾けて何やら青い石?宝石と角を残して霧散した。
晃司はその様子を見て驚いたが、痛みから気絶したのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます