第3話 3人娘と、どこに行った?

 晃司は右手は矢を、左手は角を持つ感じで落下していった。

 そして河原に落下したが、幸いな事に晃司は獣をクッションとする感じで落下したので打ち身程度で済んだ。

 獣は落下している段階ではまだ生きており、掴んでいた角を晃司がへし折った形になる。

 正確には獣は首の骨が折れた事により即死し、結果として晃司が倒した事となる。

 また、魔物が死んだ時のドロップ品である角を手に握っていた形だ。


 だが、少し頭も打っており、その獣の折れた角を握った形で気絶し、そのまま川の方へ転がっていった。

 やがて川の中に落ちたのだが、そのまま流されていった。もしも意識があったのならば頭の中で経験値が入った表示が見え、更にレベルアップの表示が見えていたであろう。


 約60人の罪人を鉱山に移送するために兵士が20人ほど配置されていた。鉱山奴隷を送り込むのは重要な仕事だ。


 結局のところ、魔物に食われた者もおり、その魔物も逃げていったりし、全部を仕留めたわけではない。

 その為、最後尾の馬車の者は全員死亡したとして、無傷だった残りの2台の馬車のみで進んでいった。

 そして鉱山に着いた者達について各々の名前と出身地を記録し、奴隷として鎖に繋いで行く事になる。


 この段階で夕方位になっていた。


 晃司は尋問した隊長の所に運び込まれてから、約1時間位で鉱山送りの馬車に放り込まれた。そして馬車が一時間半程走ったところで襲撃されたのだ。そこから3時間も行けば鉱山がある。


 お昼位の段階で王都は大騒ぎになっていた。もう1度召喚術を発動するも、発動しなかったからだ。


 召喚の失敗の具合から召喚自体はされており、その召喚者が生きているという事が分かる。


 致命的なのは、もしも召喚した国の者が知らない事としても、悪意をもってこの者を殺してしまった場合、重大な呪いが国に降りかかると、召喚を指示した者は伝えられていた。


 その為、召喚した勇者は国賓として丁重にもてなす!そのつもりだったのだ。


 晃司が落下した風呂に3人で一緒に入っていた少女達は、貴族王族を含め勇者の女として充てがわれる為、容姿及び能力を厳選して選んだ者達だった。

 当人や家に対してかなりの名誉な事となるのだ。


 彼女達は幼き頃から勇者に仕える為に教育をされ、勇者以外の男に裸を見られる事を禁止されていたのだ。


 当人達は知らなかった。

そこに落下し、罪人として捕えられた者が自分達が嫁ぐべき相手として幼き頃より教育を受けていたその当人だという事を。

 彼女達は勇者の妻になる事に何の疑いもなく、夢にまで見ている感じだった。


 召喚を執り行った王女は召喚術が狂ってしまい、別のどこかに召喚されたはずだと焦っていた。

 取り急ぎ関係者を集め、事実確認や協議をし始めていた。


 異変がなかったか?

 異世界から来たとか、どこの者か分からなかったり、どう見ても異国の者が急に降って湧いて来たというような報告等がなかったか?

 そのような内容で、最優先事項として捜査をするように指示を出した。


 そうしていると、貢がれるはずだった者達が王女の元に現れた。


レナ・タルーアーミ

青髪のロングがでザッツお嬢様。

典型的な貴族令嬢で152cm



エリーヌ・グリニッド

黄色(金髪)の縦ロール

見た目は少しロリっ娘だが、体は年不相応に成熟しているロリ巨乳146cmと小柄

気が強い貴族令嬢



セリーシャ・ヌイシルト

赤髪のポニーテールで162cm

騎士団長の娘

闊達で行動的。騎士の娘だけあり剣も扱える


 3人は自分達の勇者様はどうなったのかと心配そうに聞いていた。


 元々仲が良いようだ。


「ちょっと聞いてくださいよ!」


 そういう感じで話が始まった。

 自分達が身を清める為に入浴している最中に突如変な格好した者が落ちてきて、その身柄を警備隊が捕え、そして引き取ったと。


 「勇者様以外の者に肌を見られてしまいました!どうしたら良いのでしょうか?」


 そんな感じに訴え掛けていた。


「その御方はどうなされたのですか?」


「警備隊が尋問するとおっしゃっておりましたが、その後どうなったかまでは聞いておりませんわ。多分健康な者であれば、鉱山送りになったのではないでしょうか?」


「そ、その御方こそ行方不明になっている勇者様に違いありませんわ!」


 3人は顔を青くした。


 考えればおかしな状況なのは当たり前の話である。

 風呂の中に、それもこの夏の暑いところに真冬の格好をしており、見た事もない加工品を装着していた者が文字通り降って湧いてきたのだ。


 そして尋問していた者を呼び付け、どうしたかを確認した。

 話が噛み合わないので罪人として鉱山送りにしたと。

 今日は偶々鉱山送りの馬車が出る日で丁度よいとし、最後尾の馬車に乗せた旨を報告していた。


 その為、急ぎその鉱山に捜索隊を向かわせる事になったのだが、そこには召喚した当の王女自らが同行する事になったのであった。

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