第5話 ラミィとの出合い

 気絶してから少しすると、誰かが肩を揺すりながら声を掛けて来た。


「お兄さん大丈夫ですか?助けて頂いてありがとうございます。でも、こんなところで寝ていたら魔物に襲われちゃいますよ?」


「ぐぅ」


 晃司は左腕を押さえながら声の主を見た。中学生か高校生位でそばかすが酷く髪がボサボサの女の子だった。

 身なりを整えれば可愛い感じだ。ズボンにラフなシャツで小さいがマントを羽織っており、背中には背嚢を背負っていた。

 腰にはダガーとショートソードの中間くらいの剣を帯びていた。彼女は本気で寝たと思うような天然さんだった。


 また、手には籠を持っており、草か野菜が入っているが、何故か逃げていたのに中は入ったままだったりする。


「君は?」


「私は近くの町の冒険者をしているラミィと言います。ホーンラビットはお兄さんが倒したの?」


「俺は晃司と言います。突然何か角の生えた兎?に襲われて、頭を打ったんだ。気絶する前にこれを振ったら何とか当たったんだけど、すると何やらぽんっ!と音がして体が消えたんだよね」


「あのう、魔物を倒したのは初めてなのですか?でもよくホーンラビットを倒す事が出来ましたね。私には無理です。小さいですがD級の魔物ですよ。それとごめんなさい。私が逃げているところに晃司さんが現れてしまったようです。押し付けた形になってしまいました。本当にごめんなさい」


「魔物?倒したというか、偶々だよ。頭にこれが当たり偶然倒しただけなんだ。俺は丁度君を助ける形になったの?ても俺は気絶してしまったよ。介抱してくれたんだね。ありがとう!」


「あれ?それってワーウルフの角じゃないですか?これも倒したのですか?」


「狼みたいな奴に襲われて逃げていたんだけど、背後から飛び掛かられた時に偶々崖を一緒に転がったようで、その後河原に落ちたんだ。そのまま川に転げて意識をなくしたんだけど、俺は川を流されていて、気が付いたら河原に居たんだ。角は服に引っ掛かっていたから、転がり落ちている最中に捕まっていた角が折れたんじゃないかな」


「へー、幸運でしたね」  


「あのう、ラミィさんは近くに住んでいるの?」


「ラミィでいいですよ。ここから30分位歩くと町がありそこに住んでいます。それと今日は薬草を採取しに来ていたんですよ」


「じゃあ、俺の事は晃司と呼んでね。その、不躾なお願いだけど、町に連れて行ってくれないかな?」


「それは構いませんが、どこから来たのですか?」


「多分話しても信じないと思うけど、僕は冬の雪山にいたんだけど、気が付いたらお風呂場に落ちて、気絶している間に鉱山送りにされていて、途中この角を持った獣の襲撃があり、逃げてきたんだ。何もやましい事をしていないのに罪人扱いなんだ」


「えっと、よく分かりませんが、悪い事をしていないのに冤罪で鉱山送りにされたのですよね?でも町に入る時に犯罪者チェックがあるので、お兄さんじゃなくて晃司が言う通り冤罪なら、チェックには引っ掛からないですよ」


「それで、町に案内をしてくれる?それとお金を持っていないけど、稼ぐ手段は何かないかな?」


「はい。良いですよ。私もそろそろ引き上げるところでしたから。お金はそれを売れば数日分の宿代にはなると思いますよ。お金は冒険者になって魔物を倒したり薬草を採って稼ぐのが良いですよ。じゃぁあ魔石と角を拾ったら町に行きましょうか」


 そうして晃司は偶然知り合った少女と一緒に町へと向かう事になったのであった。




後書き失礼します。


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