【1.猫が綿帽子でやって来た_c】
その後、皆でタマが持って来た(正確には、猫仙人とやらに持たされた)風呂敷包みの中味を確認したところ、おそるべき事態が発覚した。
着替えの服と下着類。これはまぁ、いいだろう。
しかし、その次に広げられた書類は──戸籍謄本!?
「あら、コレがタマちゃんの人間としての戸籍なのかしら?」
「そうみたいだな。しかもコレを見ろ」
親父の指差す先には、「
「ふに……ダメ?」
あ、いや、ダメってことはない。むしろ、可愛らしい響きだと思うぞ。
「♪」
「あ~、イチャイチャするのは構わんが、ワシが言いたいのはソコじゃない。ホレ、珠希ちゃんの父母の氏名の項目を見てみろ。
えーと、「父・伊藤元治、母・伊藤真理」って、コレは!?
「? どーしたの、れんたろー?」
「タマちゃん、元治さんはね、パパから見て従兄にあたる人なの」
北海道の伊藤おじさんには、親戚の集まりとかで俺も何度か会ったことがある。
──もっとも、去年飛行機事故で亡くなったんだけどな。
「ふむ……どうやら、伊藤夫妻亡きあと、その娘が俺達大滝家に引き取られたって体裁みたいだな。しかも、伊藤夫妻の実子じゃなく、身寄りのない娘を養女にしたってコトらしい」
うわぁ、なんたるご都合主義。
でも、元治おじさんには子供がいなかったのは確かだ。「亡くなる寸前に引きとった」って言えば、親戚と面識がないことの言い訳もたつのか。
にしても、仙人って割には俗っぽいコトにも気が回るんだなぁ。
「猫仙人の家、えあこんもぱそこんもげーむもあった。ねっとは光けーぶる。趣味はえふぴーえすとえむえむおーだって言ってた」
なに、そのハイテク&ゲーオタ臭は!?
「わはは、最近の仙人は、ネトゲ厨なのか。ワシと話が合いそうだな」
あ~そーでしょうよ、この不良オタ中年!
さらに、俺が通う4月から通うことになっている恒聖高校の、女子制服と生徒手帳も入っていたんだが、国家機関のデータベースすらいじれるのなら、もはや驚くには値しないだろう。
「これで、れんたろーと同じ学校に通える♪」
俺にペトッと寄り添って嬉しそうに俺を見上げてくる美少女の愛らしさに、俺の理性はノックダウン寸前だ。
「あ、あぁ、そうだな。一緒に行こうな」
「にゃん♪」
こら、そこのバカ親! いつの間にかハンディカム取り出して俺達のコト、撮ってるんぢゃねぇ!!
「あら、残念。せっかくの我が子の成長記録なのに」
「成長じゃなく、“性”長かもしれんがな、ガハハ!」
黙れ、セクハラ下品親父!!
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