メニュー採用か?

ガチャリ。

彩香がドアを開ける。


「あ、ちょっと………」


ノックをするの忘れてんだろ、と言おうと思ったが、彩香が開けてしまう。


「お、彩香たち、どうしたんだい?」


ドアが開いて見えたのは、彩香のお父さん。

椅子に座って新レシピを考えているようだった。


「彩香のお父さん、こんにちは。新メニューを考えて見たのですが………」

「それかい?ちょっとちょうだい。あと、彩香スプーン」


琉璃が寿司パフェを椅子の前の机に置く。

彩香はスプーンを机においた。


「いただきます!」


明るいお父さんだ。

スプーンを手に取って、一口分すくうとぱくっと食べた。

どうだろうか。緊張。


「ううむ、美味しいなあ!誰が作ったんだい?」


彩香のお父さんに言われ、俺は「俺です」と手を挙げる。


「諒くんか。メニュー名を教えてくれない?」

「メニュー名は、寿司パフェです。由来は……そうですね。寿司と同じような材料だからですかね。味も似てるし。パフェというのは、見た目がパフェっぽいからです。どうでしょうか、メニューに」


俺はスラスラと考えながら説明する。


「はは、いいだろう。メニュー採用だ!」


少しの沈黙のあと。

俺たちは歓喜の声を挙げる。


「やったー!」


彩香は大はしゃぎだ。


「っしゃ!」


俺はガッツポーズ。


「ふふ」


琉璃は笑った。


「良かったね、諒」


瑞稀は俺に向かって微笑む。


「じゃあ、僕は他のシェフと相談に行くから。またね!」


彩香のお父さんは、俺たちに手を振りながらシェフ室を去っていく。

シェフ室には彩香のお父さん以外居なかったから、取り残された俺たち。


「空だね、グラス」


琉璃が指差すところには、彩香のお父さんが食べおえた空のグラス。

よっぽど美味しかったのかな。そうだったらすごく嬉しい。


「じゃあ、これからも頑張ろうか!」


彩香はもう次のことを考えているのか。

でも、悪くないだろう。


「次も頑張るぞーっ!えいえいー」

「「「「おーっ!」」」」


俺たちは右手に拳をつくって空に向かってあげるのだった。

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デリシャスレシピ〜美味しいレシピ、考えました!〜 雨夏 @mirukukoka

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