第5話 ラララならハッピーエンド

 12時発、1時着

 年明けこそ鬼笑う

 12時こそ1時笑う

 年明け発、鬼着


 ここは、から始まる世界で、場所を説明する存在が私だ。彼や彼女、または人でなく、男女の差もない。この世界は、と世の中の説明をするが私は神でもない。


 ここは駅のホームだ、私は語り手、語る相手がいない時や消えた時はここで待つ。いつになるのかはわからない。そもそも語り手にもう一度なれるかもわからない。人間の世界では年明けあたりだろうか、まあ時間だって何も気にする必要はない。


 電車がやってきた、駅のホームだから当たり前だが、ここはただの駅じゃない。あっちとこっちとそっちとどっち、いろんな世界が繋がっているためいろんな生き物が入り乱れる。満員電車の時もあれば、ガラガラの時もある。酔っぱらいや爆睡してる子もいる。

 私は駅のホームのイスから車内の様子を眺めているだけ。語る相手も見つけられない。


 車内から鬼がこっちをみて笑っている。いつの間にかいた後ろの子が手を振り返していた。ラララで洋楽を口ずさみながら電車を待っている。いつからいたんだろうか。私は足をガパッと開いていたのを閉じた。するとイスの座席をひとつ開けてその子は座った。


 ここは語り手が待つためだけのホームだ。そのことを伝えると彼女はおもしろそうに高い声で笑った。


「知ってる」


「ここで誰かと会ったことなんてなかったから」


「ふふふ」



 途端に彼女の姿は見えなくなり、俺には洋楽のラララだけが残った。

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