第3話 さらなるハッピーエンド

 夏が燻る

 砂漠渡りと長月

 砂漠が燻る

 夏渡りと長月


 また別の世界で月の住人だった時も、彼女は考え出した。感情も感覚も鈍い月の人たちは、かぐやの一件から地球へ調査隊を派遣した。彼女もその一員として地球から調査結果を報告。月に帰省したがすぐに戻ってきた。月では彼女のような事例が多発している。


 砂漠の世界にいたときは、彼女はとても暗かった。人の嘘に敏感で怯えて暮らしていた。私はそれでも彼女に飽きることはなかった。頭の中が騒がしいのだ。プツリと急に落ち着いたかと思うと、きっと充電されるのだろう、反動で考えごとが暴れ出る。それは実際に口からでたり行動になることもあるが、ほとんどがしまわれている。


 人間の言葉に今は置き換わっているだろうから、他の物になった彼女の話はしない。小さな脳ミソの時でも彼女の妄想癖は変わらなかった。


 これからも彼女のことを語り続けられると思っていた。そんな儚い私の願いは、彼女によって崩された。彼女は異世界ファンタジーの女神になった。作り手になったのだ。私は彼女がいかに苦悩しているか。主人公に振り回されているかを語った。そして彼女は気づいてしまったのだ。物語の語り手に気づいた。私は語られていると。私は彼女にストーカーされる日々。今までストーカーしてきたのはそっちでしょとまで言われる。


 女神の作った世界の主人公は飽きられたが、彼らは彼らで生きた。彼らはお互いに自分達だけの世界を愛し抜いた。

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