第11話 ゴブリン退治
私達がギルドに着くと、何やらガヤガヤと、
いつにも増して冒険者の数も多いから、何事かと思い、私達は受付カウンターで
「クレアさん何かあったんですか?」
「あっ、クロエさんにフェルルさん。実はですね……」
クレアさんは妙に
そこで気になったフェルルは、私の代わりに見てきてくれることになった。
「師匠、ちょっと私見てくるね」
「あっ、フェルル!」
スタタッとフェルルは冒険者の人だかりに飛び込んだ。
「大変だよ師匠!」
「何が大変なの?」
「ゴブリンが大量発生してるんだって。しかも、
「何、その心がへなっちゃうような名前の森」
フェルルによると、『鬱屈森』とは年中暗くてどんよりとした森のことらしい。
この町からそんなに遠くないところで、普段から冒険者もそうでない人もあんまり、寄り付かないらしい。
「じゃあ問題にはならないんじゃない?」
「ところが、そうもいかないんですよ」
クレアさんはグデーンと項垂れる。
話によると、ゴブリンはとんでもない
それを食い止めたくても、皆んな
「じゃあ私達でやろうよ」
そこをチャンスと見た私は、フェルルに提案する。
聞いていたクレアさんは驚いた表情を浮かべたけれど、フェルルは喜んで首を縦に頷く。
「いいねいいね!私もそう言おうって思ってたんだー!」
「そっか。じゃあ
「うん」
私はフェルルを連れて、早速ゴブリン退治に向かおうとするが、クレアさんはそれを引き止めた。
「駄目ですよ、そんなことしたら」
「どうしてですか?」
「相手は数の
そう言われてしまった。
だけど、私はフェルルの顔をほんの一瞬だけチラ見すると、クレアさんに教えてあげる。
「大丈夫ですよ。私達、負けませんから」
「ですが」
「心配しすぎだよー。それに、何かあったらすぐに引き返してくるからね」
フェルルはそう言って、安心してもらおうと思ったらしい。
そうこうしているうちに、
と言うわけで私達は、ゴブリンを退治しに出向きました。
私達は『
この森の第一印象は、とんでもなく暗いことだった。外から見ても中から見ても、全然光が入ってこない。
「本当に気分が、へなへなになっちゃうね」
「そうだよ。だから、さっさと終わらせちゃおうね」
フェルルは剣を構えて、いつでも戦える準備をする。私もこの間買って来た剣を構えて、いつでも戦えるように気を引き締める。
すると、ガサカザと草むらが揺れた。
「これがゴブリン!?」
「そうだよ、せやっ!」
フェルルは私の前に立つと、すぐさまゴブリンを剣で斬り裂いた。
あまりの速さに、何が起きたのか一瞬わからなかったが、どうやらフェルルが倒してしまったみたいだ。
「ありがとフェルル」
「大したことないよ。それにしても変だね。こんなに
「そうなんだ」
「うん」
私はゴブリンに
そこで私はふと、「ゴブリン達の間で何かあったのかな?」と考えてしまったが、そんな暇もないぐらいに次から次へとゴブリン達は姿を見せる。
「えっ、いつの間にこんなに!」
「これがゴブリンだよ。数だけはいっつも多いから、師匠も気をつけてね」
「うん」
私もフェルルに
襲ってくるゴブリン達を次から次へと、バッタバッタと斬り倒していく。私が1匹を相手にしている間に、フェルルは2匹3匹と倒しているが、私も負けてられなかった。
「せやっ!」
「はぁーっ!」
力一杯、精一杯、頑張って戦った。
だけどさっきからゴブリン達の姿は全然減ってない。むしろ、私達の方が先にバテてしまいそうだ。
「これじゃ、キリがないね」
「そうだね。こうなったら私も奥の手使っちゃおうかなー」
そう言うと、大振りに剣を構え、肩に掛けた。何をするのかと思い緊張していると、突然フェルルの身体から紫色をした光がパリッパリっと音を立てて溢れ出す。
「フェルル?」
「今から必殺技を使うから、師匠は少し離れてて」
そう言われたので、私は少しだけフェルルハから離れる。
しかしただならなぬ、気迫とオーラを
「こら逃げるな!」
そう叫ぶが、すでにゴブリン達はフェルルから十分距離を取る。
そんな中、森の奥の方からズシンズシン!と大地を揺らすようなとんでもない音が聞こえて来たのを、私もフェルルも聞き逃さなかった。
「な、なに!?」
「わかんない。でも、この音は結構ヤバいよ」
フェルルがそう
その奥から現れたのは、他のゴブリン達とは比べ物にならないぐらい大きなゴブリンの姿だった。
「お前達、何をやっているんだ」
しかも喋った。人間の言葉だ。
「
「コイツら?なんで人間がこんなところに」
親分と言われた巨大なゴブリンは、私達を上から目線で眺めた。
しかし周りに倒れているゴブリン達を見て、怒りが込み上げて来たのか、私達に敵意を
「お前ら、よくも俺達の仲間を。許せん」
「来るよ、フェルル!」
「わかってるよ師匠!」
フェルルは必殺技の構えをやめ、普通に剣を構えた。
だけどこのゴブリンからは他のゴブリンとは違って、
と、私は1人自分の考えを疑いながらも、敵意を剥き出しにされた相手に負けないようにと、必死になっているのでした。
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