第9話 冒険者ギルドへ行こう

 私とフェルルは冒険者ギルドにやって来た。

 石造りのいかにもって感じのたたずまいだった。


「師匠、ここが冒険者ギルドだよ」

「結構大きいね」

「そうだね。じゃあ、早速入ろっか」


 フェルルはすんなりドアを開けた。

 中は外と同じ素材で、横に壁にはおっきなボードが立てかけられ、たくさんの紙が貼り出されていた。さらに奥の方には受付カウンターが、たくさんある。


「あっ、クレアさん」


 その中で、フェルルは1人の女性に声をかけた。青い色をした制服を着ていて、金髪。それから瞳の色が緑色をした女の人だった。


「あら、フェルルさん。今日は1人じゃないんですね」

「そうなんだ。紹介するよ、私の師匠のクロエだよ」

「師匠?」


 まあですよね。そんな反応をされると思ってましたよ。

 クレアさんは首を傾げて、ポカーンとしている。

 私は何だか居た堪れない気持ちになった。


「白澤黒江です。冒険者になりたいんですけど、大丈夫ですか?」

「ああ、冒険者登録の方でしたか。構いませんよ。ではまずは、こちらの用紙に必要事項を記入してください」


 そう言われて渡されたトレイの中には、四角く区切られた用紙が1枚と、羽ペンが1本。それから黒いインクの小瓶が1つ。

 私は使ったことのない道具に戸惑いながらも、用紙に必要事項を記入していく。


「えっとまずは名前……シロサワ・クロエっと。それから年齢ねんれいは15歳。出身地は……ヒノモトっと」


 『ヒノモト』は昨日ミフユさんから聞いた、日本にとっても近い東の島国の名前だ。ミフユさんのお母さんと、同じところから来たことにすれば、話の辻褄つじつまが合わせやすくなる。


「よしできた」


 私はちゃんと書けた用紙を、クレアさんのところに持って行く。


「クレアさん書けました」

「もう書けたんですか、早いですね」


 字を書く早さに驚かれても困る。私はそんなに早く書けたとは思ってないもん。


「えーっと、はい大丈夫ですね。失礼ですが、犯罪歴は」

「は、犯罪歴!?」


 そんなことまで聞かれるなんて思いもやらなかった。一瞬書かれた内容にびっくりして困惑こんわくしてしまった私だったが、その反応を見たクレアさんはクスッと笑った。


「冗談ですよ。それにその反応は、犯罪をやってない方です」

「ちなみに犯罪者だったら、前科ぜんかがかった場合はどうなるんですか?」

「そうですね、一応こちらでも注意する対象には、させていただきます。でもそれ以外に、特に止めたりはしませんよ」


 なんだ、びっくりして損したよ。

 でもそんな人まで冒険者をやってるってことは、相当ヤバいところなんだと教えられる。


「はい、これで冒険者登録は完了ですね。ではクロエさん、こちらをお渡ししておきますね」


 私が渡されたのは小さな板だった。

 かなり薄くて丈夫で、プラスチックみたいだ。


「こちらが冒険者カードになります」

「冒険者カード?」

「クロエさんが冒険者だと言うことを、証明するものになるので、必ずクエストの際は常に持ち歩いてくださいね。ちなみになくした場合は、再発行になりますから注意してくださいね」

「はい」

「いい返事です」


 とっても親切に教えてくれたので、すんなり頭に入って来た。

 とりあえず簡単な冒険者のルールを、簡単に分かりやすく教えてもらった。

 これで後はクエストを受けるだけだ。私は待ってくれている、フェルルの元に向かった。

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