第9話 思わぬ援軍、それとも…③

「それにね、そもそも植栽の落葉がひどくて。そっちもストレスなのよ。」


墨田さんの勢いは止まらない。桜木さんもそろそろうちへ戻りたいだろうに、足止めだ。適当にあしらって、話を終わらせるってことが出来ないのは、桜木さんの優しい性格。それとも、いい人に思われたい気持ちの表れか。カラスには分からないけど。


「た、大変ですね。こちら側からは全く気づけなくて。」

「それで、うちも対策を講じようかと思って。」

「一体どんな?」

「今度、カーポートを設置しようと思ってるんだけど、目隠しと称して、境界側にプレートを設置するつもりなの。白沢さんには目隠しを兼ねて、って言おうと思ってる。このままだと、植栽はあるものの、白沢さんちの庭からうちの玄関丸見えでしょ。それも気になってたのよね。」

「な、なるほど。でも、それだと白沢さんちの植栽、ちょっとお手入れしずらくなりそうですね…」

「そんなの、私の知ったことじゃないわ。だって、境界まではうちの敷地でしょ。それに、お隣との境界に植栽するなんて、それこそトラブルの元じゃない。白沢さんの神経疑うわ、まったく!」


 おぉ、なんか墨田さんの本性が見えたな。桜木さん、一難さってまた一難だ。この争いに巻き込まれたら面倒なことになりそうだぞ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る