第8話 思わぬ援軍、それとも…②
「ねぇ、実は私もね、ちょっと困ってるの。」
「何か、あったんですか?」
あぁ、桜木さん、また、相手のペースに乗せられてる。あまり、特定の誰かに肩入れするのは良くないと思うぞ。だけど、桜木さんのことだからなぁ。必要以上に同情して、自分の問題として捉えてしまいそうだな。そう思っているうちに、墨田さんが話し始めた。
「白沢さんちの庭と、うちの駐車スペースって隣接してるでしょ。その境界に白沢さんちが植栽してるじゃない?水やり、どうしてると思う?」
「え、庭なんだし、庭にあるホースで水やりする以外に方法あります?」
「そう思うでしょ、でも、そうじゃないのよ…」
墨田さんの話によると、白沢さんは庭に水道がなく、玄関脇にある水道からホースを伸ばし、墨田さんちの駐車スペース側から植栽や庭の草木に水やりするそうだ。確かに、白沢さんが時々、墨田さんちの駐車スペースにいることがあったなぁ。そういうことだったのか。
「えっ?それって墨田さんの敷地に入って、水やりしてるってこと?そんな。」
「でしょ、びっくりでしょ?いつも、うちが車で外出している時間を狙って水やりしてるみたいで、帰宅すると駐車スペースが水浸しなの。まいっちゃう。」
それは、さすがに嫌な状況だ。不在時に自宅敷地内に他人が立つっていうのは、あまり気分のいいものではないな。俺だって縄張りは荒らされたくない。
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