第3話 春の嵐②

 それにしても、今更だが、桜木さんは白沢さんで良かったのか?桜木さんは心配性の割に不用心というか、無条件に人を信用しすぎると思う。大体、越してきて間もないのに、白沢さんがどんな人なのか知らないだろう。


 そんな俺の予想が、的中してしまった。


 桜木さんちの娘さんが、入学式を終え、登校初日は無事に済んだように見えたのに、早くもトラブルの兆し。


 ピンポーン!

「はい、桜木です。」

「あの、白沢です。」

 

 今日は、白沢さんが桜木さんちへ来たようだ。一体、何があったんだ?


「桜木さん、明日からうちの娘、お嬢さんと一緒に登校しなくてもいいですよね?」

「え、え、どういうことですか?」

 

 面食らう、桜木さん。そりゃそうだろう。まだ、登校1日目の夕方だぞ。そりゃ、桜木さんじゃなくても、びっくりだ。

 

「桜木さん、娘さんと一緒に下校してくれる新1年生を探しているんでしょ?」

「あ、はい、下校時間は各学年で違うと聞いたので…」

「下校を一緒にするなら、登校も一緒にしてもらえばいいんじゃない?」

「え、で、でも…それと、これは…」


 あぁ、桜木さん、一方的に言われちゃってる。だから言わんこっちゃない。白沢さんは結構自尊心が高めなんだろうなぁ。自分を頼ってた桜木さんが、自分以外の人間に助けを求めたことが気に入らなかったんだろう。さぁ、桜木さんはどうする?

 

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