第160話 明けました
明けましておめでとうございます。今朝は天気が良かった。玄関から表に出たとき、両手を空に振り上げて冬の空気を吸いました。とても清々しい。新しい一年の始まりです。正月は一年の始まりというだけで「挑戦しよう」いう気持ちにさせてくれます。そんな正月ですが、今日は一日好きなことをします。本を読んで、音楽を聴いて、映画を観て、お酒を飲みます。
――先程の決意はなんやねん!
そんな風にツッコまれそうです。明日から頑張ります。
前日の大晦日は、大掃除と美味しい年越し蕎麦を食べることにエネルギーを全振りしました。始まりは出汁づくりになります。前日から、鍋の中に昆布を浸して置きました。その鍋を加熱して、頃合いに昆布を脱出。入れ替わりに、大量の鰹節や鯖節を投入して煮だします。透明だった水が、黄金色に変わります。
出汁が用意できたので、次は「かえし」です。僕は、関西人なので東京の蕎麦文化を知りませんでした。いつもの僕なら、出汁の中に醤油やみりんを加えていきます。しかし、関東は違いました。出汁とは別に鍋を用意して、醤油を沸騰させないように加熱していきます。そこに砂糖やみりんを加えますが沸騰はさせません。丁寧に加熱していきます。これが「かえし」になります。このかえしを出汁と混ぜ合わせることで「つゆ」が完成するのです。……う、美味い。
ここで、僕の浅い知識で醤油の違いを紹介したいと思います。醤油の発祥は、関西になります。関西の醤油の特徴は薄口醤油になります。色が薄くて塩分濃度が濃い。室町時代に生まれた昆布と鰹節による出汁文化と交わって、関西のうどんや蕎麦の出汁が発展していきます。
対して、江戸時代中期に関東から濃い口醤油が誕生しました。関西よりも香りが強くほんのりと甘い。この濃い口醤油を主役にした蕎麦出汁文化が江戸で誕生しました。今回、僕が使用した醤油は三重の「はさめず」です。タイプとしては濃い口醤油になります。この醤油で丁寧にかえしを作り、出汁と合わせました。繰り返します。……ああ、美味い。
満足いく蕎麦つゆが出来たので、その後は徹底的に大掃除をします。子供たちは手伝ってくれない。嫁さんは大晦日だというのに仕事。寂しく大掃除をするのですが、始めるとノッテくるものです。音楽を大音量で流しました。大掃除も終わるころ、嫁さんから電話がありました。
「今晩は、蕎麦やんな?」
「そうやけど」
「蕎麦を買ってないわ」
「えっ!」
「買ってきて」
「……分かった」
蕎麦出汁づくりに夢中になっていて、本体の蕎麦がないことを知りませんでした。近所の高級食材を扱っているスーパーに行きます。目当ての、十割蕎麦を売っていました。二八蕎麦も売っています。この違いを、ご存じですか。十割(とわり)は、蕎麦粉が100%になります。蕎麦の味を存分に味わうことが出来ますが、グルテンがないために茹でる過程で千切れやすい。美味しいけれど強さがない。対して二八蕎麦は、蕎麦に対して2割の小麦粉を練り込んでいます。小麦粉がつなぎの役割をしているので、千切れない。喉越しも良くなります。個人的には、この割合が蕎麦の完成形だと思います。食べ比べるために、どちらも購入しました。
買い物から帰ってきた僕は、蕎麦に合わせる「かき揚げ」の調理に掛かります。かき揚げてんぷらの具材に、牛蒡、玉ねぎ、人参、小海老、しめじを使いました。調理にかなり手こずる「かき揚げ」です。しかし、最近の僕はかき揚げを作り続けたので、かなりのノウハウを習得していました。カリカリのかき揚げを、大量に生産します。ついでに、日本酒のアテとして椎茸と長芋の天ぷらも揚げました。昨晩は、美味しいてんぷらをアテにして、日本酒を飲みました。蕎麦も大変美味しかったです。酔っぱらって、寝ました。
16時11分。この日記を書いている今、大きな地震がありました。ゆっくりと画像が揺れます。酔っぱらっているせいかと思いましたが、本当に揺れています。注意してくださいね。
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