第59話 王将戦

 年の瀬、いかがお過ごしでしょうか。僕は、拙書「逃げるしかないだろう」の推敲に追われています。推敲にこんなにも時間を掛けるとは思いもしませんでした。当初は、誤字脱字の推敲が中心でした。ところが、読み進めると、自分が描き上げた物語の意味を考え始めるようになりました。意味とはテーマとも置き換えることが出来ます。物語の底に沈んでいるそうしたテーマというのは、僕たちが生きていく上で自分の存在を問いかけることに似ています。


 あなたは、なぜ存在しているのですか?


 こうした哲学的な命題というのは、言葉で簡単に表現することは出来ません。出来たとしても、とても上っ面で軽いものになるでしょう。そうした意味なりテーマというのは、体験した当人しか分かりません。他人と共有することが難しい。それに、時間が経って、後から振り返って分かるものです。腑に落ちる。そんな感覚だと思います。


 僕が推敲に時間が掛かったのも、この腑に落ちるという感覚を大切にしたからです。同じところを何度も書き直して、その意味を考えて、振り返りしながら書き進めています。上手く書けているようでも、なぜか納得ができない。その理由が分からずに、時間が過ぎて、再度読み返したときに、その違和感に気づきます。


 ――ああ、そうなんだ。


 現在、クライマックスに差し掛かっています。何とか、年内に仕上げたいと考えています。全てを書き上げたら、新年から行動に移します。


 ① 改訂版「逃げるしかないだろう」を、ネット上で発表する。「小説家になろう」・「ノベルアップ+」・「カクヨム」


 ② kindleで発表する。価格も安く設定する。


 ③ kindleペーパーバックで、書籍化された「逃げるしかないだろう」を手に入れる。自分の為の記念品です。


 9月に開催された岡本太郎展にかなり影響を受けました。岡本太郎は、自分の作品を売ることはしなかった。その精神に惚れました。僕は、売るために小説を書いているのではない。これは、自分との闘いなんです。あんまり力説すると、「お前、大丈夫か?」と心配されそうなので、ここで止めます。


 さて、話は変わりまして、将棋の話です。年が明けると、ALSOK杯王将戦が行われます。夢の対戦カードです。


 藤井聡太五冠 vs 羽生善治九段


 二人とも大好き。どちらも勝って欲しい。下馬評は藤井聡太五冠の圧勝だと思います。ただ、羽生さんに頑張って欲しい。僕と同世代です。羽生マジックをさく裂して、百期目のタイトルを手にして欲しい。


 この王将戦の第二局が、大阪府高槻市にある山水館で行われます。日程は、1月21日(土)~22日(日)です。ネットで調べると、前夜祭に抽選で招待してくれるとあります。


「なぬ!」


 駄目もとで応募しました。もしかすると、お二人に会えるかもしれない。一緒に食事して、話なんかも出来るかもしれない。いっその事サインをもらって、写真を撮って、お友達になっちゃったりして……。


 僕には珍しく、そんなミーハーな妄想をしましたが、抽選は外れました。ただ、高槻現代劇場で行われる、最終日の大盤解説のチケットは当選しました。前夜祭の方が良かったけど…………。


 でも、嬉しいです。


 お二人に会うことは出来ませんが、当日の王将戦の空気を感じてきたいと思います。しかし、タイトル戦は長丁場です。どんなふうに、過ごしたらよいのだろう。食事はどうしたら良いのかな? そんなことに頭を捻っています。

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