第4話 枝豆の味噌の事や、あれこれ

 朝起きると、僕は職場である中央卸売市場に向かいます。日本中から集められた果実を仕入れて、地域の小売屋に販売します。今の時期なら、苺が僕のメイン商材になります。大阪の地域には、九州地域から多くの苺がやってきます。福岡のあまおうとか、最近では佐賀県のいちごさんを扱ったりします。


 商品が並べられている現場をウロウロと歩いていると、山形県の寒河江から送られてきた商品を見つけました。山形県で有名な果実といえば、サクランボとか西瓜です。でも、それらの果実の時期は、六月以降の夏が旬です。三月も終わるという今の時期に、どのような商品なのだろうと少し気になりました。箱を開けると、乾燥した枝豆を小袋に詰めた商品が入っていました。イメージ的には、乾燥大豆と一緒です。ただ、枝豆なので薄い緑色をしていました。果実ではありませんが、農協からそのような商品が送られてくることは良くあります。商売上付き合いもあり、少し購入するすることにしました。もちろん小売屋に販売するわけですが、僕も個人的に少し買いました。この乾燥枝豆で、味噌を作ろうと思ったからです。


 末っ子のレントが小学三年生の時、一緒に味噌を作ったことがあります。学校の授業で、大豆から作られるものとして、豆腐や醤油、味噌があることを学んだレントが、大豆で何かを作りたいと言ったからです。味噌作りは難しくはありません。乾燥した大豆を水に一晩浸して作業に入りますが、完成するのに時間が掛かります。早くて三か月くらいで使えるようですが、寝かした方が美味しくなります。レントと一緒に作った味噌は大量だったので、二年掛けて消費しました。二年物の味噌はとてもコクがあり美味しかったことを憶えています。今晩から水に浸して作業に入るつもりです。麹やあら塩も用意しなくてはいけません。楽しみです。


 最近は、気になっていることが多いです。前回お話したゲームも、もちろんやっています。辞め時を見失いました。最後までやり切らないと納得が出来ない。ただ、こんなにも時間が掛かるゲームだとは思いもしませんでした。百時間も遊んでいるのに、まだ半分にも到達していません。ボリュームのあまりの大きさに驚いています。やり終えたら、当分はゲームをしないでしょう。


 他にも、将棋も学んでいます。初段になってみようと目標を設定しています。一時期は、一級の棋士に勝てた時もあったのに、最近は負けが込んでいます。四級五級の棋士に負けてしまいます。指せば指すほど弱くなっているような気がします。何故なんだろう……。一度立ち止まって、書籍を開いて勉強をする必要性を感じています。


 小説も書き始めています。新しい内容に取り組んでいます。それまでに書いてきた物語を放置していることに罪悪感は感じています。ただ、今までと同じ取り組みを続けると、僕のモチベーションが続かないのです。もう少し僕が成長したら、新しい構成で続きを書いてみたいと思います。


 小説に関しては、描きたい題材はまだまだあります。ただ、「描きたい」と「描ける」には大きな開きがあります。今の僕の頭の中は、段々と哲学チックになっています。これが書けない原因なんですが、書けば書くほど、哲学チックなことが気になってしまうんです。もっと単純に素直に書いたら良いのかもしれませんが、多分、僕の性格なんだと思います。同じことをグルグルと考えて動き出せない。


 そうそう、来週、末っ子のレントと二人で山奥にキャンプに行こうと思っています。上の二人の息子も、六年生になったタイミングで、僕と二人っきりでキャンプをしました。僕の子供であるが故の通過儀礼みたいなものです。誰も居ない深い山奥で、ヒリヒリとした自然を感じてこようと思います。その体験も、今の新しい小説に転換するつもりです。

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