『日常怪話』

石燕の筆(影絵草子)

第1話

何気ない朝の風景。

『ねえ、僕らって出会って何年目だっけ』

一方がもう一方に話しかける。

『さあ、もうだいぶ経つわね』

『第二次世界大戦の時も、応仁の乱の時もそんな会話してなかった?』

『ごめん、ごめんそうだったなボケたかな』

『僕らっていつらになったら死ねるのかな』

一方がもう一方に再び話しかける。

『さあね、もう死んでたりして』

『それはないよ、だったら喋れないもの』

『だよね、あはははは』

外で、廃品回収のトラックが、

『古新聞、雑誌、、、』

部屋には、誰の姿もない。

ただ、酸素が十分に満たされた部屋に、

朝の光がカーテンの隙間から差し込んでいる。

空が陽射しに話しかける。

『穏やかだねえ』

陽射しが応える。

『まったくね』


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『日常怪話』 石燕の筆(影絵草子) @masingan

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