第5話 廃ホテルの幽霊

刹那が13歳の時、交通事故にあった野良犬が刹那になついてしまい、持ち霊に加わった。名前はポチと付けた。


その後、15歳の中学生最後の3月の頃、冴島とは、すっかり親友になっていた。

が、冴島は中学生でバイクを乗り回す少年になっていた。


そんな時に仲間内では廃ホテルに出るとゆう幽霊の話しが出ていた。


でさ、そのホテル、男に振られて文無しになった女が、そこで首を吊って死んだらしいよ。

その女はさ、今でも夜中12時になると金、くれー!って出るんだって!


ねー、刹那君はそうゆうの見えるんだよね?


そう、話すのは冴島の彼女だった。彼女はレディースと呼ばれる女のヤンキーであったが、幽霊の話しとかが好きな女の子であった。


冴島 よっし!じゃーよ。次の土曜日、皆で行こうぜ!


刹那 みんなって何だよ?


それから土曜日を迎えると、冴島は夜の8時頃に刹那の家に約束もせずに来た。


ブオーン♪ブオーン♪とバイクの音が刹那の家の周りに聞こえてきた。


刹那 何だ?何だ?


おばあちゃん 刹那の友達だよ。冴島君だったかい?


刹那 まじか!


刹那が部屋の窓を開けて下を見ると20台くらいのバイクに乗った暴走族が、刹那の家の前にいた。

刹那の気も知らず冴島は、おーい!せっちゃん!と叫び手を振っていた。


刹那は急いで支度をし、階段を降りて家を出た。


ちょっと遊びに行ってくるー!


母 えっ?は?ご飯はー?


そして、心霊スポットになっているホテルへとたどり着くと冴島と彼女を残して、他のメンバーは帰った。


冴島 よっし!行くぞ!チビんなよ?美由紀は俺と来い!


刹那 お前がな!笑


美由紀 本当、それ!


ホテルの周りは通り過ぎる車のライトくらいしか明かりは無く、入り口は真っ暗だった。


そして、中からは白いモヤのような物が流れてきていて、冴島は右手に持っている鉄パイプを握りしめた。


刹那 ふーん。確かにヤバそうな気配がするね。ここ。心霊スポットとかって、結構、デマが多いのに。

(ポチ、霊臭とかはあるか?)


クゥーン。と鳴くと鼻を地面にこすりつけ、ワンッとホテルの奥へ顔を上げて鳴いた。

そして、ポチが走り出した。


その後を刹那が付いて行った。


美由紀 あっ、ちょっと!


冴島 何だよ?もしかして俺達に気をつかってんのか?


美由紀 とりあえず、刹那君に付いて行こうよ。


冴島 あー。あいつに何かしたら、ソイツ、ぶっ飛ばす!て、せっちゃんの方が俺より強いんだけどー笑


美由紀 バカ!行くよ


ポチは、白いモヤに導かれるように着いていき、2階の階段を上がり、通路の途中で急に立ち止まった。


刹那 二人共、待った!


先に行こうとする冴島達を刹那が片手を横にして止めた。


冴島 何だよ?ビビッたのか?


刹那 違う!何か変だ。


美由紀 えっ?なになに?いるの?どこどこ?


刹那、あの、床が壊れてる前の赤い扉の辺り、二人は、来ない方が良いかも。


そこは懐中電灯で照らすと床から木材が上に突き出ていて、まるで先に行くのを拒んでいるかのような場所で、その代わりに赤い扉は傾き、開いていた。

その場所で、ポチは、うなだれてしまい、床に伏せていた。


その時、おばあちゃんが刹那に語りかけてきた。


刹那や、裸の女の人が泣いているみたいだよ。後ろの二人は帰した方が良いかもね


刹那 そっか。ちょっと、話してみようかな?


とても強い悲しみだよ。子供のあんたに何とか出来るようには思えないよ。


刹那 その時は、おばあちゃん、力を貸してよ。


あぁ、アタシは、お前の持ち霊だ。好きにしなさい。


冴島 んっ?せっちゃん、どうした?


刹那 悪い!二人はさ、1階のフロントの散策をしてみてよ。向こうは俺が見てくるから。


冴島 お、分かった。じゃ、30分後に入り口な。


刹那 うん。


その後、刹那は息を殺しながら、扉へ近づいた。


すると、真っ赤なオーラに包まれた裸の女が刹那に気づいた!


刹那を半面、骸骨をむき出しにし、首にはロープが垂れ下がる女が襲いかかる。


ポチが刹那を守るかのように刹那の前に立ちはだかり、牙をむき出しにしてウッー!と唸りだした。


刹那 ポチ、大丈夫♪怖くないから。


刹那がポチの頭を撫でると女を睨み付けた。


刹那 おい!ちょっと話しがしたい!良いか?お前、何で泣いていた?


女は急に立ち止まった。


えっ?話せるの?それに、その犬!アンタ、アタシが怖くないのかい?

何より、金縛りが効かないなんて!


刹那 僕はシャーマン!らしい。だから、アンタの悲しみを取りに来た!


シャーマン?何、それ?部族か何か?笑


刹那 あんまり知らない!でも、アンタみたいな人とも話せる。


ふーん。じゃ、身体を頂戴よ。そしたら、言う事を聞いてあげる。


刹那 良いよ。でも、少しだけ貸すだけだよ。時間は5分だけ。


そして、女は刹那の身体へ乗り移った。


すると、刹那の記憶を見て、赤いオーラはすっかり無くなった。

5分後、女は刹那の身体を飛び出した。


女 へー、刹那君か。君みたいな人に出会えるなんて運命ね。

ねー、アタシ、復讐をしたい男がいるの。一緒に連れていって。


刹那 うん。良いよ。その変わり、もう悪い事はやめてね。


優香よ。よろしくね。


その後、ホテルでの怪奇現象は無くなり、解体工事は無事に進んだ。


ーーーーーそして、現在


はじめての赤の他人の持ち霊は優香さんだったね♪


優香 今では、刹那君はアタシと同じ年齢ね。

あの頃から、素敵だったわ♪

アタシ、死んでるから結婚が出来なくて残念だわ。



















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る