1章4話 語彙がすごい
衝撃だらけの神域から自室に帰ってきたのも束の間。
「いや、先程の光には驚きましたね。」
「いやいやいやいや。そこじゃ無いなー。
今気になってんのはそこじゃ無いなー。」
「あ、そういえばご主人は先程までどこかに行かれていたのですか?
お姿をお見受けしませんでしたが。」
デカい猫?虎?が当たり前みたいに話しかけてくる状況に、真野はさすがに驚き疲れてしまった。
「オマケってこれかよ、笑えねー、、」
「ご主人、お疲れですかな?
どれ、いつものように頬でも舐めてさしあげ、、、」
「待て待て!!!大丈夫!大丈夫だから!!!」
「そうですか…それは残念。」
そのデカい猫か虎かよく分からない生き物は、先程までピンと立っていた尻尾を垂らし、少し俯いた。
「てかよー、なんとなく分かってるよ?
分かってるけど一応確認な?
お前、、シロ?」
「今さら何を仰るのですか?
ご主人が名づけて下さったのでは無いですか!」
「あー、これもお約束だなー。
お前めちゃくちゃ姿形変わってるかんな?
俺今にも喰われんじゃねーかってビビり倒してるかんな?」
「ご主人を牙にかけるなど!あり得ませぬ!」
「ほらまた牙剥いてんじゃん。ビビるわそら」
「ぐむう、、」
シロが喉を鳴らして口籠る。
「それにほら見てみ?」
「おお!?」
真野がウォールミラーをシロに向けると、シロは大きな目をひん剥いて黙り込んだ。
「これも神の仕業なんだろうけど、これはオマケで済ませらんねーわ…
俺よりデカいじゃねーか」
「私もいつもよりもご主人が小柄に見えたので、驚いておりました。
てっきりご主人は何かの御病気に罹られたのかと…」
「んな病気ねーわ!
しかもお前普通にしてっけど、言葉ゴリゴリに喋ってんのにもビビってるかんな!?
しかも老執事風!!」
「はて?いつも私はご主人とお喋りしていたと記憶しておりますが。」
「いやいやお前フニャーしか言ってなかったから!!
もうちょい語彙は無いもんかなあとかいつも思ってたから!!」
「ご主人にはそう聞こえていたのですね。
それでも私の意を汲んでくださっていたとは、さすがご主人。」
「いやもうそういうの良いから!!
…はあー、しっかしどうしたもんかなー。
お前いるだけでこの部屋ほぼ埋まっちまってんじゃねーかよ。」
そう、変化後のシロはかなり巨大で、ベッド以外の床を埋め尽くす程の巨躯を誇っていた。
「そういえば神のヤツ、家がどうのとか言ってたな。なんだっけ?
…まあ良いわ。もう疲れたし寝よ。」
「では私も添い寝を」
「ムリだわ!大人しくしてろ!!」
真野は逃げた。色々な事がありすぎて。
何も考えず、静かに目を瞑ったのだ。
もう一度目が覚めたら夢だった、という最高の展開を夢見て。
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