第6話
それからの流れは速かった。月は私と別れてすぐに幼馴染に告白した。そして、見事に恋は実ってしまった。これで私達の関係は解消、私はまた一人になってしまった。
「また、真剣に恋でも始めようかな?」なんては考えているけど、やっぱりかな私は気づくと月のいる教室を覗き込んでいた。
「すっごく幸せそうな顔してるなぁ……」
月の幸せそうな顔、これを見るたび胸が温まる反面、「何で隣にいるのは私じゃないんだろうか?」「あんな幸せそうな顔、私に見せたことない」って汚い感情がこみ上げてくるのも否定できなかった。
「だめだめ!私たちが決めたルールに乗っ取ってやったんだからこれは正しい!正しい!」
「何やってんのメイ?」
後ろを振り向くと話しかけてきたのは親友のライカだった。
「ライカ……あのーそのー……と、とりあえず自販機いこ!」
「ちょ、ちょっと!?」
月がこちらに気づく前にライカを連れてその場を避難した。とりあえず食堂に連れていき、ジュースを奢ってやった。
「あんた……もしかして、あのセ〇レだった彼のこと好きなの?」
「っ!?な、何のことでしょうかな~?」
「図星かよ」
鏡を見なくても自分が赤面しているのが分かった。ライカには本当に隠し事できないなあと昔から感じる。そんな私をみてライカは呆れた顔をして、炭酸飲料をグビッと飲み干す。
「ったくさ、大体あんた惚れっぽいところあるんだから、そんな関係つくること自体間違ってんのよ」
「うぅ……だってー寂しかったんだもん!性欲だけ解消できれば彼氏なんていらないと思っていたけど、やっぱり好きな人とヤるから気持ちいいって、月が好きだって気づいちゃったんだもんっ!」
こどもっぽく泣いてライカの胸をポカポカ殴っていた。ライカは困惑した表情で見つめて、私の頭を撫でていた。
「はぁ……あんたの将来が心配だわ。つーか、そんなに好きなら幼馴染からアイツを奪えよ」
「ふぇぇ?」
ライカの言葉に私は思わず泣くことを止めて、ライカを見つめていた。私の聞き間違えじゃなかったら、ライカの言っていることは最低な行為の提案だった。
「何かを得るってことは何かを失うって事でもあるんだよ。全員がハッピーエンドなんて現実じゃありえない。あんたにその覚悟があるなら大多数の人間を敵に回してでも奪っちゃえよ」
「いいのかな?そんなことしちゃっても?」
私の問いにライカは母性溢れる優しい笑顔を向けて両手で頭を撫でた。
「どんな選択をしても私はあんたの味方になったげる」
「ライカ……!」
「ということで、相談料で今日ファミレスで何か奢りな」
「金の切れ目が縁の切れ目じゃないよね?!」
ライカのおかげで勇気が持てた……やっぱり私は月が好きだ。
だから……ごめんね月。私、最低なことシちゃうから。
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