血の匂いがとれず、手を洗い続ける人
本日、やむを得ず、青虫を殺しました。ごめんなさい。
我が家にはポンカンが数本ありまして、いつもなら小さいうちに殺すのですが、最近、忙しくて手が回っておらず、今日みたときには、ポケモンのキャタピーみたいなのになっていました。アゲハの幼虫は、最初は鳥の糞みたいな黒っぽいヤツなのですが、大きくなると、緑の身体に目玉模様が2つついた姿になります。小指の先から第二関節くらいの長さのキャタピーです。
幼い頃は飼育したりもしていたのですが、今はポンカンが大事なので、殺します。葉っぱもお茶にしたりするのです。あと、そのまま食べても、ほんのり甘くて美味しいです。アゲハが食べるのもわかります。
とにかく、そういうわけで殺すのですが、彼らの生命も尊重するために、できる限り苦しめないために、いつも指でひと思いに潰します。ちゃんと罪を意識しようと思って。
今日もそうして殺したのですが、そのあと、たびたび彼らの体液の香りが漂ってきました。洗ったのですが、手に染みついてしまったようです。
それで、フィクションでよく見る、『殺人のあと、手を洗う人』を思い出しました。『血の匂いがとれねぇ』って呟きながら、洗い続ける人です。
今まで「血なんてただの錆の香りと変わらないのだから、あの過剰な反応はあれは罪の意識の演出的な描写だ」と考えていたのですが、あれは現実的な描写なのかもしれません。
錆と変わらない匂いでも、殺人を犯した記憶、罪悪感、ショック・ストレスなどから、強く意識してしまい、その匂いに敏感になっているということです。匂いがずっと残るほどたくさんの血液が付着したという場合もあるかもしれませんけれど。
……なんて、青虫の匂いを感じながら、悶々と考える一日でした。
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