マリー強化月間3 訓練編1
魔術学園に入学するために勉強を始めて、早10日が経っていた。ティック先生や時にはニアにも教えてもらい苦手な科目に取り掛かっている。
そして今は、昼食を済ませていつもの勉強部屋に向かう為の準備をしていた。最初の頃はティック先生に指摘された地理や歴史。魔術に礼儀作法を重点的にしていたけど、最近はそこに魔術関連も加わっている。
魔力を使う事って意外と疲れるのよね。
「そうだマリー。魔力壁って使えるよね?」
「まだまだ下手だよ?魔力壁を張る事に集中しすぎて、魔術が使え無いんだよね」
「あー。そうだねー。マリーの魔力は人より多いんだし、魔力壁に割く魔力はある程度適当でいいと思うよ?」
魔力壁は魔術と違い、詠唱が必要無く専門的の知識もそれ程必要としない。故に貼れれば問題は無く、込める魔力の強弱で魔力壁の強度が決まる。
暴発する危険が無いからこそ魔力を操作する練習になる。とティック先生も言っていた。
「でも、適当とは言っても少な過ぎるとダメだよね?ある程度は魔力を込めないと......」
「あー確かに!じゃあさじゃあさ、座学終わったらティックさんと執事長に聞いて、魔術の訓練していいか聞いてみようよ!」
そう言って、勉強する準備をしていたニアが元気よく部屋を飛び出して行った。
あー、屋敷の中を走ったら怒られるよ?
「......何?魔術戦をしたいだ?この前言った事をもう忘れたのか?」
「あー違うよ!ティックさん。マリーはね?魔力壁で何かを受けた感覚無いの、だから適切な魔力の込め方がわからないんだよ」
「......成程。確かにな。だが入試という面を見るとそこまでする必要は無い。一応は魔力壁を使えるのだから、後は学園で学べだいいだろ?」
「んーー!勉強ばっかりでマリーも疲れちゃうよ!体を動かさなきゃ!」
部屋に入ると、ニアとティック先生が言い合いをしている最中だった。
廊下の段階で声が漏れていたので先程の続きだとわかるんだけど、私のせいで喧嘩まで発展してしまったら申し訳ない。
そこまでニアが必死になるとは思わなかったよ。
「あの、待って下さい!」
「......だならな?、?あぁマリー来てたか。マリー本人はどうなんだ。確かに魔力を扱う事は長期的に見ると必須だ。だがそれも魔術学園に入学出来たらの話。目の前の問題を放り出す理由にはならない」
「だからティックさん!勉強が必要なのはわかるけど、根を詰め過ぎるのは良く無い!」
えっと、どうしよう?
魔力壁を使いこなしたいのは事実だけど、他の座学もまだ覚える事が山積みになっている。
ニアとティック先生の熱がどんどん上がっていき声量も増してた。
あ、えっと、取り敢えず落ち着いてもらわないと!
「あっ、あの。私が変なこと言ったばっかりに!すみません!いつも通り勉強に戻りましょう!」
「マリー、それじゃダメだよ!ちゃんと使える様にならないと危険なのはマリーだよ?」
「ニア?話は済んだだろ?マリーだって勉強に......」
ティック先生が言い終わる前に、先程私がやってきた扉が開いた。
誰が入ってきたのかと、私達3人は言い合いをやめて入室を待つ。
「騒々しい。廊下まで声が漏れている。ここを何処だと考えている?」
「「「っ!申し訳ございません!」」」
「......それで。何がどうなったら喧嘩する事になる。ティック説明しなさい」
「はっはい!」
入室してきたのは執事長のロバートさんだった。この屋敷で領主夫妻とミラさんに次ぐ発言力の持ち主だ。
ロバートさんに促されたティックは、これまでの経緯を説明した。
確かラーバートさんはオーウェン様と書斎にいたはずだけど......もしかしてそこまで声が聞こえてた?
「成程......ふむ。マリーの学力向上に関する進捗は、日々ロバートから報告されている。その上で問題無いと判断しよう。ロバートはよくやっている」
「ありがとうございます。ですが目標が特別塔である以上、何処までやっても無駄ではありません」
「そうだ。だが、特別塔は学力高いだけの集団では無い。特別塔は普通の生徒とは異なり各地に赴く仕事が存在する。それ故に戦闘経験も必要になる」
ロバートさんは昔、特別塔にいたのかな?
......もしかして去年カインドさんが帰って来れなかったのもその仕事が関係している?
「執事長!では、マリーの訓練はいつにしましょうか?マリーが王都に行くまで20日もありません」
「では4日後。屋敷の裏で行いなさい。あそこならある程度開けていて、動きやすいだろう」
「ありがとうございます!」
ニアがぱあっと嬉しそうに笑みを浮かべ、こちらに顔を向ける。
「執事長、お心遣い感謝いたします。ではその様にマリーの座学の日程を調整致します」
「あっ、ありがとうございます!」
そうしてロバートさんとティック先生が少し話した後、ロバートさんは退出した。
いきなり執事長のロバートさんがやって来てびっくりしたけどなんとかなって良かった。
少し経ち、ティック先生がニアに向き合った。
「......すまないニア。私も熱くなり過ぎた様だ。マリーに魔力壁に付いて、君に聞く様に言ったのは私。君の意見も考慮すべきだったと反省する」
「!?私も、その。ごめんなさい。思いついたら直ぐに行動したくなるんだよね......」
驚いた様にニアが目を見開いてティック先生を見ている。?どうしたんだろう。
「まぁ、それが君の利点だろう。さ、魔術の訓練をする日程は決まった。それまでに覚えるべき事を詰め込んでいくぞ」
「うっ。はーい」
「わかりました、ティック先生。頑張ります」
そうして、詰め込みで学習量が更に増えていったが、なんだかんだニアとティック先生と3人で居る事は楽しかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます