第15話 条件
私が学園に入る為に足りない事を、オーウェンさんが条件付きで補完してくれると言う。
何を言われるんだろ?
「学園は貴族、そして大商人の子供が主に在籍している。これは知ってるね?」
「はい。以前カインドさんから聞きました」
「宜しい。そして、その他にも在籍している生徒が居るんだが、それは側近や従者だ。彼等は基本、先程言った生徒1人に対し1人付ける事が出来る」
「でもね、ミラにはもう居るのよ。それでねぇ?ジャーニー家の名前を借りて、カインドくんに出資して貰って生徒になる。って言うのも無しじゃ無いわ」
オーウェン様の話をカミラ様が引き継いで話す。
「でもね?マリーちゃんは確か、ミラとカインドくんと同年代でしょ?だったら普通の入学は不自然なのよ」
魔術学園に入学するほどお金のある生徒は、最初から入学しており、途中からの入学なんてほぼ居ないらしい。詳しく言うと一般的な生活を送っていては、入試を合格する為の知識量が足りないとの事。
そして、側近や従者等は生徒の推薦で入試を受けることになる為、試験がやや簡単になり入学しやすく、学年が上がり忙しくなってから追加する家もあるらしい。
それ故に転入は少しあれど、私みたいな貴族、大商人側で入ろうとしてる異例は、前例すら怪しいとカミラ様は話した。
つまり私は入学出来ない?
「えっと、それでは私はどうなるのでしょう?」
「だからね、カインドくんの側近や従者になりましょうって話よ!」
「っ!?」
カミラ様のテンションが上がってきたのか、話し方がだいぶ砕けてきた。そして、その発言に驚いたのはカインドさん。
「えっと、待ってくださいカミラ様。ミラの側近という話で落ち着いたはず......。学園の規則では側近や従者が2人でも問題ないはずです」
「そうだっかしら?ですけど、そろそろカインドくんにも支える人は必要よ?貴方、全て1人でしてるのでしょう?ミラから聞いたわ」
「......ですけど」
「カインドよ。この件は其方が持ってきた要件だ。その責任を持つと言っただろ?」
どうやら、私が来る前にミラさんの側近になって魔術学園に入学する。と言う話が通ってあったそうだ。
私の意見は?と思ったけど、特に思い付かないからいいかな。
「してマリーよ。其方の意見を聞こう」
「私は......。私はカインドさんの側近でも従者でも侍従でも構いません。お役に立ちたいと前から思っていましたし、入学できる道がそれしか無いと言うのなら従います」
カインドさんが少し驚いた顔でこちらを見てるけど気にしない。「だからミラがこの場に居ないのか」と小声で呟いているけど、どう言う事だろ?
それなら細かな所を決めていった。
まず、いつ試験を受けるかだが早くて1ヶ月かかるそうだ。リットレイ家の使用人をカインドさんにあてがう事と言う設定にして私は入学する事になる。
次に私の勉強、コレはリットレイ家が見てくれるという。使用人と言う裏付けと多少慣れておく為。それとリットレイ家は、魔術学園に在籍していた人が多く、急ピッチで私に入試やその後で必要な事を教えてくれる為だそうだ。
次にする事に関わる資金周りについて、コレはカインドさんから出してくれるらしい。ジャーニー家のお金では無く、学園の活動で稼いだお金だと言う。
あれ?学園ってそんなに稼げるの?......ここまでして貰ったんだもん。絶対に合格しないと......思ったより大事になってきた......
「ありがとうございます。絶対に合格します!」
「そう。その意気だよマリーくん。......もう昼か、話し過ぎてしまったね。それじゃカインドくんとマリーくんは食事にしなさい。きっとミラとティニーくんも待ってるはずだ」
「オーウェン様。この度な寛大な対応、心から感謝します」
「は、はい。学園の件ありがとうございます!」
そう言って退室を促された私達はミラさんやティニーの待っている部屋に案内された。
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