第7話 森へ

 ジャーニー家に拾われてから10日が経った。勉強をしている成果がでた。とは言い難いけどお店でのミスも無くなり、ティニーと交代で接客もする様になっていた。

 恩を返せるように頑張らないと......


「あっ、ハンディさん。お疲れ様です。そう言えば料理用暖炉の薪が無くなりそうでしたよ」

「おや、確かにそうだったね。すまないが仕事が終わったら倉庫から持ってきてくれないかい?外に積んであるはずさ」

「わかりました。それにしてもビゴアさんもティニーちゃんって、料理が上手ですよね羨ましいです」

「ただの慣れだよ。マリーは覚えが良いんだ。直ぐに覚えられるよ」


 そう言って、ハンディさん仕事に戻られました。料理、出してもらうばかりで作る事は無かったんだけど作れるかな?

 まぁ今はいいや。仕事が終われば薪を取りに行こうっと。




 そして夕方になる前、倉庫に向かっていた。


「確か倉庫って、こっちだったよね?」

「マリーじゃないか、どうしたんだい?」


 話しかけて来たのはカインドさん。たまに何処かに出かけているらしいけど、今日は家に居たんだ。


「はい、料理用暖炉で使う薪が無くなってて、それを取りに行こうと」

「あぁ、なるほど。じゃあ僕もついて行くよ。人手があった方が助かるだろ?」

「ありがとうございます。助かります」


 確かに。私1人で運ぶより、男性であるカインドさんに手伝ってもらった方が沢山運べる。多少身体を動かしているため、起きた日よりは、動けるようになっている。だけど、それでもティニーより若干体力が有るくらいだ。

 9歳と同じ体力って私低すぎじゃ無い?


 そうこうしてる内に倉庫付近の薪置き場までやってきた。


「?あれ、薪がありませんね」

「そう見たいだね。誰か先に持って行ったのかな?」

「ハンディさんとビゴアさんは仕事ですし、ティニーは部屋で休んでると思います」

「とすると、う〜ん......あ。そうだ」


 何か思い出したのだろうか


「君が寝ている時に母さんとティニーが身体を拭いていただろ?その時、湯を沸かす為に薪を余分に使ったんじゃないか?」

「あ!......確かに。私のせいでしたね」

「いや、寝ていた君は悪く無いよ。森に取りに行くのかな?とりあえず母さんに伝えるよ。君は先に部屋に戻っておいて」

「私が言い出した事ですからって、言いたいですけどすみません。仕事で疲れてしまって......ありがとうございます」

「いいよ。それじゃあ夕飯で」


 カインドさんが来た道を辿り帰って行きました。疲れていたのは事実だけどやっぱり、言った事はした方が良かったよね。

 後で謝っておこう。




 それから夕食になり、ビゴアさんから話があった。


「カインド、マリー、2人で薪を取りに行ってくれないか?」

「大森林ですよね?父さんマリーは危なく無いんじゃ?」

「狩猟も終わった直後だ。危険は無いとは言わないが限りなく低い。それにマリーは森から来たんだ。何か思い出すかも知れんだろ?」

「わかったよ。マリーはどうだい?怖いなら僕だけで行くけど」


 私自身、なんで大森林から来たのか気になっている。大森林がどれほど危険かはハンディさんを筆頭に沢山聞いた。

 それでも一度は自分の目で見てみたい。


「カインドさん、私は大丈夫です。......ビゴアさん。私は自分の記憶を取り戻したいと、思ってます。私も行きます」

「よし。じゃあ決まりだな。俺は領主と話しがあるから行けないが、頼んだせカインド」

「マリーは意外と胆力あるね。わかったよ父さん」


 そして私の動向が決定した。記憶の回復に繋がる手がかりが近くにあるかも知れないのなら、多少危険でも行ってみよう。

 狩猟も終わったしカインドさんも付いて来てくれるし大丈夫だよね?


 お互いの近況や雑談を挟みつつ夕食は食べ終えて、部屋に取り明日の準備をしていった。

 とは言っても私が準備する物なんて無いのよね。買ってもらった物は基本家で使うものばかりだし。強いて言うなら明日の為にゆっくり休むくらいかしら。


「明日は、カインドさんの足を引っ張らないように頑張らないと!」

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