ティニー視点3 私の役目

  そして次の日。私はいつも通りに目を覚まし朝食を食べていました。

 あれ?そう言えばお兄さまとお父さまはどこでしょうか。


「お母さま?お兄さまとお父さまは狩猟ですか?随分早いですね」

「ん?あぁ、いやあの2人なら鍛錬だよ。先に朝食は済ませてあるから、その足で集合地に向かうんじゃ無いかい?」

「なるほど。では私は張り切って、あの子のお世話を致します!」

「わるいね、店は早めに閉めるからそっちは任せたよ。何かあったら直ぐ教えておくれ」

「はい!お母さま」




 朝食を食べ終え食器を洗い終えた私は、一旦自室へと向かいます。

 寝ている子をずっと見つめている訳にも行きませんし、好きな本とか勉強道具でも持っていきましょうか。

 因みに私が最近ハマってある本は、魔法使いが蔓延る悪を倒し王になるお話。


 そんなこんなで準備が終わった私は、あの子がいる部屋へと向かいます。

 誰も使っていない部屋をあてがった為、昨日お母さまとあの子の身体を洗った後に、急いで部屋の掃除をしたわ。

 埃って使ってないと直ぐ溜まるのね。


 目的の部屋に入るとまだ彼女は眠ったまま。起きる気配も無く規則正しい寝息が聞こえてくる。

 おでこを触り熱の確認。汗は掻いていないようですけど、一応濡れたタオルで顔を拭いておきましょう。


「......やっぱり、あったかい」


 濡れタオルの事では無く、彼女の体温がです。いえ、本当に体温?。おでこに触れた手に熱が移った様子は無い。

 「魔力待ち」と、お父さまが言っていたわね。


 私には魔力がほぼ無い。人間は産まれながらに、多かれ少なかれ魔力を持つとされているの。だけど、私にはそれが無い。

 不便に感じる事は無いし、使い方を学ばなければ無用の長物になるのどけれど。


「けど、触ってわかるって相当な量よね。......少しだけ貴女が羨ましいわ」


 魔力が有ればお兄さまの助けになる。今も私以外の家族は役割が有るのに、私だけ何も無いですし......

 まぁ、それはさて置き持ってきた物で時間を潰しましょう。




 お母さまは昼過ぎには店を閉めて部屋にやってきた。お風呂に入れない彼女の身体を拭いた後、夕飯の準備に取り掛かかったわ。

 狩猟に出かけたお兄さまとお父さまは、無事に終えたらしく辺りが暗くなる前には戻ってきたの。

 昨日みたいな出来事は無く、順調に終わったそうで良かったわ。


 その後、夕飯を食べ終えて今は、お兄さまと一緒に眠っている子の部屋にいるの。


「お兄さまも大変ですね。折角、帰省したのに慌ただしくなってしまって」

「いやそんな事ないよ。実際にあの子を世話をしてるのは母さんとティニーだろ?

「ん〜......どうでしょう。私がしている事は

お母さまのお手伝いが殆どです」

「ティニーはまだ9歳なんだから、もっと自由で良いと思うよ?母さんや父さんは手伝ってくれて喜んでるよ」


 お兄さまはそう言いますけど皆が動いている中、私だけジッとしているのは、仲間外れにされてる感覚で嫌なんです!

 むぅ!


「......それじゃこうしよう。コレはねティニーにしか出来ない事だ」

「私にしか?なんでしょう、お兄さま」

「この子が起きたら、明るく優しく接して欲しい。知らない土地で1人だと不安だからね」


 そういう物なのでしょうか。


「それなら、お兄さまでもお母さまでも良いのでは無いですか?」

「大人相手って緊張するだろ?それに異性より同性の方が安心するんじゃないかな?」

「ん〜......なるほど、そう言う事なら頑張ります!」

「そう、コレは父さんや母さんにも出来ない事だからね」

「はい!」


 確かにそうですね。大森林で倒れていて寂しかったかも知れません!

 流石はお兄さまです!そこまで気が回りませんでした。

 起きたらお話ししましょう。名前は何と言うのでしょうか。まず、「仲良くなる為には挨拶から」ってお母さまも常に言ってましたわ。

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