ティニー視点 お兄さまの帰省
私はティニー!今年で9歳になるわ。なんと今年は兄のカインドが帰ってくるんだって!去年は学園で用事で帰って来れなかったらしいの。私も近所に友達はいるけど、他に兄弟や姉妹の居ないし寂しかったのよ!
ちなみに、私も12歳になったら兄と同じ学園に通う予定になってるの。だから帰ってきたら色んなお話をしてもらう予定。
早く帰ってこないかしら。
「お母さま、お兄さまはいつお戻りになるのでしょう?」
「そうだね、一昨年はこの時期に帰ってきてたはずだから、そろそろじゃ無いないかい?」
「ふふっ、まだかしら、まだかしら。楽しみだわっ!」
「今年は、凶暴な動物が多いらしいからね。カインドが帰ってくるのはありがたいね。さ、この問題を解いたら昼飯にするよ!」
今日はお父さまが店で働いていて、お母さまが休みのため、私の勉強を見てくれているの。
んー、遊びたいよぉ
「......はーーい」
それから数日後。お兄さまが帰ってくる事をお父さまに教えてもらい、家族で待機していた。
「お帰りなさい!お兄さま!!」
私は帰ってきたお兄さまに勢い良く抱きついた。扉は外開きなので飛び込む私を邪魔する物は何も無い!
「久しぶりティニー。父さん、母さん、ただいま帰りました。」
「お帰り、カインド、半年も見ない間にまた身長伸びたんじゃないか?」
「久しぶりだねカインド、さっ、上りな。今日は、カインドの好物を作るから期待しなっ!」
恥ずかしそうにお兄さまが笑い、私を持ち上げて横にずらして、2人について行かれます。
むぅ!
......軽くあしらわれたのが地味にショック
「あぁー待ってください!」
そして夕食。3人揃って夕食を囲うのは、お兄さまが帰省なさった冬以来だったかしら。学園のスケジュールは、春から始まり夏に20日の帰省、秋は催しがあり、冬も20日の帰省があるみたい。
家族が居ない生活ってどんな感じなのかしら想像もつかないわね。
「カインド、今年はゆっくり出来そうなのかい?」
「流石に毎年あんな出来事に絡まれては敵わないよ。悪魔なんてそう何回も会いたくないかな」
「??悪魔?お兄さま、悪魔ってなんですか?」
悪魔って世界共通で禁忌に指定されてるよね?この前お母さまに教わったわ。それがどうしてお兄さまの口から出てくるのかしら。
「あぁ......うん。あまり広めないでくれよ?去年、王都に出現してね。その事件に巻き込まれたんだ」
「まぁ、そんな事が。大事が無くて良かったです」
「そんな怖い話より、カインド、今3年だろ?だったら秋に郊外研修があるじゃないか。ちゃんとあの子を守ってやれよ?」
「わかってるよ父さん。今度こそ彼女を危険に晒す様な事はしないよ」
あの子とは、この土地の領主の娘さんを指します。お兄さまとは同級生でとても仲が良いの。お母さまが領主夫妻と仲が良く、小さい頃から親交があったらしいわ。
私も優しく接してくれる彼女には姉の様に慕っているの。
もし私に姉がいたらあんな感じが良いなぁ。
「そういえば、お兄さま?今年の狩猟には参加されるのですか?」
「そのつもりだよ。馬車で聞いたんだけど今年は、まもn......凶暴になった動物が多いらしいね」
「カインド、帰ってきた所で悪いんだが2日後から狩猟に参加してもらうぞ」
「えぇ分かってます。そのつもりですから」
「むぅ、聞いたのは私ですけど、やっぱりお兄さまと遊びたいです」
お兄さまがいらっしゃらない時は、近所の友達と遊んだりするけど、久しぶりに帰ってきたお兄さまと遊びたいし色々話したいの!
「帰省の間はこの家に居るんだし、遊ぶ時間もあるさ。去年みたいな大事に巻き込まれないために帰ってきたんだ。ゆっくりしたいかな」
その夜、眠たくなるまでお互いの近況を報告しあった。学園の様子、交友関係、勉強、王都にある甘味処、等々。
お兄さまの代は、王子様と王女様の在籍と被っていてとても大変なんですって。
お兄さまって、優しいけれど賢いし強いし、きっと対立をしたのでしょう。学生の勉学に不敬は無いけど、平民の私達が目立ち過ぎるのも良く無いからって、決闘とか降りたのかしら?
私が通う頃には居ないと思いますし、お兄さまには頑張って貰いましょう。ふぁいと!
今日は、お兄さまとお父さまが大人達と森へ狩猟に向かいました。「最近、何故だか強くて倒すのに苦労するんだわ」とお店にくるお客の方が言ってらっしゃいました。
大丈夫か不安になってくるわ。でもお兄さまは強いから!大丈夫!
「お母さま、お兄さまとお父さまの帰りは遅くなりますよね。折角ですから私も何か作りたいわ!」
「えぇ、ティニーも随分腕を上げたからね。カインドを驚かせ......」
と、お母さまがそこまで言った時、1階にある玄関の扉が勢いよく叩かれた。
「何かしら?ティニーはここで待っててね」
一瞬、2人が帰って来たのかと思いましたが、それだと帰りが早過ぎる。
狩猟をする人達は、朝から森に入っているが今はお昼を過ぎた頃。凶暴になった動物が多いと聞いているし、こんなにも早く終わるとは思えない。
何か不安だわ。
1階からお母さまの話し声が聞こえてくるが離れているためあまり聞こえない。
「......ったわ。私は......から任せて......」
何を話しているのかしら。気になってきたわ。
部屋を出てバレないように階段にいる私は顔を覗かせる。
「......お母さま?何があったのですか?」
「あぁ、いや、今からお母さんは少し出かけるよ。留守番頼めるか?」
「うん、わかった」
「良い子だね。......っと先に書簡を書かないとだね」
そう言ってお母さまは自室に行かれました。
それから夕方くらいまで時間が経った後、お父さまが1人の女の子を背負って帰ってきました。
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