第5話 買い物

 朝食を食べ終えた私は、ハンディさんに連れられ買い物に出ている。食料品を買いに行くそうだ。


「あのハンディさん。そう言えば、ビゴアさんやカインドさんは何をされてるんですか?」


 私が朝食を食べる頃には、出掛けていたのか家の中で2人を見かける事は無かった。そういえば、私を起こしに来たティニーは寝巻きでは無かった。この家は朝が早いのかな。


「今、2人は朝の稽古中さ。カインドはビゴアの手伝いをしていてね、狩猟の為に鍛えてるのさ」

「狩猟......?。ここって人を襲うよな攻撃的な動物が居るんですか?」


 狩猟。記憶を失う前の私は関わりが無かったのか聞き馴染みがない。


「あぁいるね。ここでは牛や馬を育てているんだけどね、それを狙って大森林から凶暴な動物が来るのさ」


 更に話を聞くと、襲って来る動物は通常より肥大化していたり、爪や歯などが急激に成長していたりと、放っておく事ができない存在らしい。


「偶に戦える大人達が大森林に入って、変質してない動物を狩るのさ。ビゴアがマリーを見つけたのもその時だって聞いたよ」

「そんな危険な所で寝ていて、良くそれで生きてましたね私」

 

 そんか凶暴な生き物がいて、よく食べられなかったな。

 ハンディさんと話しながら歩く事数分。目的地に着いたみたい。色んな生地が置いてある。仕立て屋だろうか?


 道中、屋台形式で食料や道具を売っていた。そこで買い物をする人達は、ジャーニー家の様な人達もいたが、武器を携えた人がチラホラといた。治安が悪いのかと思ったが大森林で狩猟を行う人達だったのか。

 と、店に入りながらハンディさんが話しかけてきた。


「マリーが倒れていた時に着てた服は、ボロボロだったからね。ティニーの服だと小さいしカインドの服は着れなく無いが、男物は嫌だろ?」

「ハンディさん、その、ありがとうございます。でも食事と住居の面倒まで見てもらっていて、流石に申し訳ないといいますか......」


 一応、ビゴアさんの計らいで泊まっても良い事になっている、だからと言って返せる物がない今、これ以上何かしてもらうのは気が引ける。


「良いんだよ。それよりほら、買ってやるから選びな。下着等は別の店だね」

「わかりました。ハンディさんありがとうございます」


 店内を見渡すと綺麗な布や完成している服が整理されて置かれている。

 今私が着ている服は、ハンディさんが着なくなった服をベルトを使い丈を合わせて着ている。私の身長はティニーより高くカインドさんより低い。多分、カインドさんの肩くらいまでかな?

 そんな事を考え店内を見て回っているとハンディさんが話しかけてきた。


「ん〜、そうだねぇ。マリーは綺麗な黒髪だから......コレとかどうだい?」

「あ、可愛いですね!コレと合わせると動きやすそうで良さそうですよ。あっでも、スカートですね」


 ここに来るまでも人とすれ違ってきたが、黒髪は私だけしか居なかった。ブロンズ髪なのはジャーニー家だけじゃなく、多くの人がそうだみたい。ちらほら別の髪色を見かけたけど生まれ違うのかな?


 ......先程、凶暴な動物が襲撃しに来る。と聞いた手前、平和に普通の服を買ってて良いのかと思うけど、ハンディさんは何も気にしてないしコレがここの普通なのかな。



 その後、買ってもらった服を着て、食料や消耗品を買いに行った。その殆どが露店で、店を構えてる方が珍しいらしい。理由は「ここで店を構えるなら王都で商売する」との事だった。

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