第25話
「オレの
ジャックは魔法の解けた顔を庇いつつ、ナナセを睨み付ける。
「はん、案外良い顔してんじゃねぇか。……嫌いじゃない、ぜ」
壁に張り付けられても尚、ナナセは存外元気そうであった。
「褒めてくれてありがとう。……オレには、男色の趣味は無いんだけど……。——お礼に目玉くり抜いてあげる」
ナナセの皮肉にジャックはにっこりと笑みを張り付けて応え、フォークを目元に差し込んだ。
「っ、があ゛あ゛っ!」
「あはは、痛そうだねぇ」
ジャックは痛みに喘ぐナナセを嗤う。フォークの先を目の奥に刺し、眼球を引き摺り出した。
「痛覚は不便だねぇ。『痛そう』とかいう感情で、行動が制限されちゃうんだから。オレは痛覚が鈍いから、結構無理な動きとか出来るんだけど」
目玉の絡み付いたフォークを放り、痛みで呼吸を乱すナナセから離れる。
「もう片方は、まだやることがあるからそのままにしておいてあげる」
見てもらえないんじゃ、どうしようもないからね、と目を細める。
「ふふ、君にイイコトを教えてあげるよ。——武器の扱いについて」
脂汗の浮かぶナナセをそのままに、「例えば……」と武器の山から一つ大剣を拾い上げ、軽く振り回す。
「君の武器とかの大剣は見栄えが良いだけで、重い上に小回りが効かないから、……こういった室内や長期間の戦闘には向かないんだよ」
軽く振った後ナナセの腕を持ち上げ、腕の骨の隙間にゆっくりと突き刺した。
「反対に、ナイフは小回りが効くし室内でも振り回せるから、存外便利だよ」
何処からともなくナイフを複数取り出し、少し移動しながらジャグリングのように弄ぶ。
「投げられるから、中距離にもなる」
ナイフを綺麗に受け止め、ナナセに向けて投げる。
「まあ、直接当てるには懐まで飛び込まなきゃいけないけど」
タタン、とナナセの顔すれすれに、ナイフ達が壁に深く突き刺さった。
「しっかり斬りたい時は研いだ刀が良く綺麗に切れる」
試してみる?と、ジャックは打刀を拾い鞘を抜く。
「テメェ……こんな事して許されると思ってるのか」
「話す元気があって大変によろしい。処で、神がクソッタレなのに一体何に許されれば良いのかな?」
片目から血を溢しながら喚く勇者のを裂けば、真っ赤な鮮血と共に内臓がまろび出た。
「……ぅ、ぎ…」
「ほら、すっごく切り口が綺麗でしょ?」
とジャックは切り口をなぞる。
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