第4話

 翌日。私から連絡するはずが、純からLINEがきてた。


《話したい。今日の15時にいつもの公園で待ってる。》


 時計を見れば午後2時だ。


 まだ1時間ある。


 私はゆっくり起きた。


 パステルブルーのフード付きパーカーとジーパンに着替えて、髪を軽く梳かして、洗顔して、マスクをして身支度完了。


 時計を見れば14時半。


 まだ時間があるので、レポートの続きを書いて時間をつぶし、15分前に出かけた。


 公園に着くと、やっぱりもう純が居た。


「すぐ近くの喫茶店に行こう」


 純が手をつないでくれた。


 一緒に歩いていると、本当に近くの喫茶店に着いた。


 こんなところに喫茶店なんてあったんだ?


「1番奥の席が空いております。ご案内しますね」


 席に着き、店員さんが去っていってすぐ、純に聞かれた。


「雫の将来の夢、まだ聞いたことがないんだけど、雫はどんな仕事をしたいの?」


 将来の夢かぁ。


 なんとな~く、大学入って、なんとな~く就職できたら。なんて思ってたから、正直、すぐに答えられなかった。


「将来の夢かぁ。考えたことなかったからまだ決まってない」

「そっか。あとで図書館行って、職業系の本探すの手伝うよ」

「ありがとう。純の将来の夢って何?」


 また店員さんが来て、お冷とおしぼりを置いてくれた。


「俺は編集者になる予定」

「明確に決まってる純はすごいなぁ。あ、私、ウィンナーコーヒー飲みたいな」


 純がチャイムを押してウィンナーコーヒーとアメリカンコーヒーを注文してくれた。


 純が真面目な顔で私をじっと見ている。


「雫は読書好きなんだろ? 小説家を目指してみたらどうだろう?」


 私が小説家に?! 考えたこともなかった。


 想像すらつかない。


「試しに、俺に1作書いてみてくれよ。んで、2人で打ち合わせして、インセンティブのある投稿サイトに投稿していくんだ。どうだろう?」

「純が読んでくれるなら、書いてみようかな」

「じゃあ、先ずはプロットから書いてみるんだな」

「プロットって何?」

「設計図みたいなもんだよ。話の簡単な流れとか、キャラクター設定とか、異世界ファンタジーを書くなら世界観とかも含んだものだ」

「セカイカン? よくわかんないけど、面白そうだね」

「まぁ、先ずはどんなジャンルの、どんな話を書くのか決めるんだな」


 注文したコーヒーが運ばれてきた。


 私はマスクを外してちびちびとコーヒーを飲みながら、どんな話を書こうか考える。


 しかし、コーヒーを飲み終えてもアイディアが浮かんでこない。


「まぁ、決まったらまた連絡くれよ」


 お会計を済ませ、公園の前に着く。


「寮の前まで送っていくよ」

「ありがとう」


 寮の前に着くと、お互いにマスクを外して、純にいつもより少し長いキスをされた。

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