第3話

 親からの仕送りで暮らしている私は、翌日の夜、マスクをしている自分がマスク美人だと気付いて、親からの仕送りで、動画配信を始めるために、専用のパジャマとコスメと薄ピンクのマスクを買った。


 あとはスマホの動画配信アプリで配信を始めるだけだ。


 今日の内容は、自己紹介と、コメント欄の質問に対して答えるだけ。


「初めまして~。ぽぴぃです。趣味は読書と動画配信です♪

宜しくお願いします」


 どうにかキャラをつくって、作り笑いを浮かべた。


 コメント欄には何も書かれていないどころか、誰も見ていない。


 私はすぐにやめた。アプリごと削除した。


 服をいつものパジャマに着替えて、マスクも外してベッドに入った。


 そんな時、電話が鳴った。


 手に取り、誰からか確認すると、純からだった。


「あ、雫? 動画見たよ。無理すんな」

「わかってるよ。おやすみ」


 私はすぐに通話を終了した。


 人が勇気出して頑張っているのに、何だかバカにされたような気分になったし、不快だったから。


 1呼吸おいて、メールした。


《さっきはごめん。つい、カッとなってきつい言葉選んじゃった。本当は、気遣いしてくれてるってわかってる。気にかけてくれてありがとう。じゃあ、また明日連絡する。おやすみ》


 送信してから、今度こそ私は寝る。


 寝る直前になって思う。


 あぁ、何て無駄遣いしちゃったんだろ、あのパジャマ、もう二度と着たくない。

 

 マスクも薄ピンクやめて白いやつ買おう。

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