第2話

 8月3日。お互いの大学が休みの期間に入った頃。


 純から連絡がきて、一緒に海を見に行くことになった。


 夜の6時に公園前で待ち合わせして、純の運転で車で砂浜沿いまで走り、コインパーキングに駐車して、浜辺へ行った。


「海なんて小さい頃行ったきりだったから、何だか懐かしいな」


 私は興奮せずにはいられなかった。


「俺は初めて生で海を見たよ」


 私と純は裸足になって水遊びをした。


 夕日の光に水しぶきがきらめいて見えた。


 純の笑顔は、太陽より眩しい。


 私も負けじと純に向かって水をかける。


 純はかわし切れずに少し水がかかったみたい。


 それでも純は笑顔で、楽しそうだ。


 私の求める王子様スマイルをしてくれる。


 ひとしきり水遊びを楽しんだあとは靴を履いて、海の家でラムネを飲んだ。


 気が付くと純にまっすぐに見つめられていた。


 何だか恥ずかしい。


「どうしたの、純?」

「いや、夕陽に光る雫の瞳が綺麗だから、つい、見惚れちゃった」

「えっ」

「写真、撮って良い?」

「良いよ」

『カシャッ、カシャッ』

「それって、一眼レフ?」

「そうだよ。雫の美しい瞳が取れて良かった」


 ラムネを飲みきり、トイレに行ったあとは純と一緒に車に戻った。




 私の大学の寮の門の前で車を停めた純は、私に軽くキスした。


「楽しかったよ、純。ありがとう」

「また連絡するよ。じゃあな」


 車を降りた私は、去っていく純の車が見えなくなるまで見送ってから寮に戻った。



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