第2話 白と青の悪魔の帰還
別に隠された道とかじゃないので普通に道がある。どんどこ歩く。
現代に近づいた靴は快適……だと思う。なにせ現代は18年前になるから。
もう忘れちゃったよ。でも今快適なのでよしとする。昔は昔だ。
途中分岐があったので北に向かう。こちらは今までの街道というより、とりあえずある道、といった感じだ。船の上で聞いていたが、たまに軍が演習に使うらしい。
演習で使われているのでそこそこ道にはなっているな、これは。
歩いてみると、結構森が深い。道から外れないようにして歩く。朝陽からもらった力のおかげで道が可視化できるのだ。本当に凄いな。
ただ演習につかうというだけあって、道にはなっているけど……という所も多い。沼の先に道が続いていたりね。普通の人なら沼の中を歩くのだろうが、私は〈浮遊〉で楽させてもらった。それでも木の枝がトラップになっていたりして結構通過するのに難儀したよ。
ここら辺、というかどこの地域に行ってもブナの木が多い。雪山はさすがに針葉樹林だったが、ブナの木は落葉樹林で寒いところには生息していない。よくわからんが平坦な気候なんだな。この道は全然平坦ではないけども。
道を歩くこと3日。視界がひらけてきた。森林地帯を抜けたかな。
なんだあれは。小さな街があるけど
とりあえず近づいてみることにする。ソロリソロリ。……人避けの結界があるな。無理に侵入すると結界が反応してアラームが鳴りそうだ。
街並みはクルード海沿岸部に似てるか。あれ、みんな石造りで木造がないな。……要塞か?
インタスタラ帝国が攻めてきた際に速やかにここまで進軍し、籠城および周辺部への威嚇を行う。そういう設備。通常時は私みたいな特殊人間以外からは見えないようにしてあると。
そう考えるとある程度納得がいく。整備されているのもそのためだろう。軍設備じゃなくて街なのも、職人が整備したり、食堂で美味しい料理を振る舞ったりして長期間ここに籠城できるためかな。
結界を避けてぐるりと回り込み、北上を続ける。魔導性の地雷なんかも北部には作られていて軍設備だなーと感じた。
こういう設備が出てきたということはインタスタラ帝国との国境が近いということだな。
インタスタラ帝国へと入った。村がそう感じさせる。クルード海は村もそこそこ繁栄していたけど、ここは寒村だ。ま、村が出てきた時点でインタスタラ帝国だよね。
ここから私はヒトゴロシをしなければならない。
この村には衛兵がいないため食料を略奪して当面の食事を確保した。
次へ進もう。
次も寒村だ。食料略奪に加えて酒場を燃やした。酒場は村の象徴なので誇りが傷つくだろう。
次も? インタスタラ帝国は村を戦略的な壁にしているのか? とりあえず酒場を燃やして次へ進む。道は太くなっている。
街だ! ヒャハー! 燃やし尽くせえ!
「衛兵さん、悪気はないけど死んでねえ!」
門番に付いていた衛兵を花草水月で真っ二つにする。詰め所からわらわらと衛兵が出てくるはずだ。その全てを殺そう。
先に衛兵詰め所をぶっ壊すか。
「〈メテオストライク〉!衛兵詰め所に隕石投下!!」
さすがに周辺一帯が灰になるほどの隕石は召喚しないけど、詰め所を粉みじんにする程度の威力は出した。さあ兵士が出てくる頃だな!
あれ?
兵士がこっちじゃなくて反対側から移動してる。あれ?
まあよい、そっちで殺すだけだ!
「〈転移〉、からの〈エアストライク〉!」
ノータイムで行われた首刈り。この街にいたであろう300人程度の兵士は全滅した。
次の街はどこかなあ?
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