第7話 閑話 航海だー!次の国へ向かうぞー!!

 フェムベリア王国にむかう船に乗る。


「何かあったらあたしを頼りなさいよ!」

「わかった、ニーアお姉様」

「ゆき先生のご指導ありがとうございました! あの、帰ってきたら、また個人指導を」

「一晩中、いえ、2日間は個人レッスンしてあげるわアカネ!」

「我が服飾店でなら補習は無料ですぞー! 是非利用してくだされー!」

「ミススル銀が入った衣服なんてそこでしか扱えないでしょう? お願いしますね」


「我が武器店~」

「我が錬金術~」

「はいはい関係ない関係ない」


 後半変な人も混じっていたけど、私が利用したというだけで評判が付くからね。


 さてと、出港!



 今回はフェムベリア王国に送っている義勇兵の交代要員が乗る船にご一緒させてもらった。

 以前の高速快速船は奴隷を使って――ここまで洗練された国でも奴隷はある――しかも帆を張ってとにかく急いだけど、この船は帆だけ。それでもそこそこの速度が出る。縦長で帆の水力が出やすい仕組みだからかねえ。船は輸送船に戦闘装備を取り付けたような物で、客室は3段。防御のために外は見えない。魔導ライトが線内を照らしている。ちなみに色は赤。


「まあ魔物に絡まれない限りはやることもない、か」

「なんだ、いけいけギャルは戦闘するのがお好みか」

「花草水月でしょそれは。最近魔素を吸おうとする意欲がすごすぎるもん。させてないけど」

「ふっ。まあ俺に魔素を注げば相手の攻撃を逆に真っ二つにすることはもうできるぞ。どんどん使っていけ」

「こえーなそれ」


 花草水月は純粋な武器だから魔素を与えれば与えるほど凄い大型サーベルとなるのだ。


「魔素量も40万超えたんだろう、そう簡単に食い尽くせんよ、もう」

「そいやそれくらい伸びてたね。体力が20万くらいとあまり伸びてないんだよねえ」


 翠乃沃土がぶるぶる震える。


「へ? 僕が血を吸ってやばい状態にするからその状態で走れ?スパルタしや過ぎませんか!?」


 そういえば。


「翠乃沃土って私の血をリザーブすることって出来るの? いけいけギャルだからケガ回復も造血もできそうだけど、失血したときに真っ先に血を流してくれるの。仮に造血出来たとしても、魔素凄い使いそうだからまずはケガ回復と危険の排除をすることになると思うし。あ、出来る? んじゃ毎日ちょっとずつチューチュー吸っておいてね」


 そういわれてぶすっと動脈にぶっさす翠乃沃土。いてえ。でもすぐになれた。採血管が細くてくねくねしてるからね。やはり静脈の汚れた血液より、綺麗な動脈の血液の方がいいんだろうか。


 クラーケンとか出るかなーと思ったけど出ず。海運が盛んな海で凶悪な魔物が出たらやばいか。実に順調な航海を進んでいった。

 ぼんやりしているのも飽きたので甲板に出る。潮風が気持ちよく、日差しがまぶしい。本当にこの海は穏やかだ。

 そんな中雨が降ってくる。なんか踊りたくなったので翠乃沃土を棒状にして軽く舞う。甲板上にいる人が見とれる中、雨が人魚の形をし、私に手を振り投げキッスをしてきた。問題ない行動だと思うので軽くウインク。液体が真っ赤になって海へと沈んでいった。もう少し舞うか。



 舞い終わりとともに雨がやむ。いやー空が雲が振り残りの雨が太陽が全て綺麗だ。実に綺麗。こっち来て良かったなあ。



 ちなみに一つの船で300~400人乗るそうでそれが今回3隻。名目上はあくまでも義勇軍。それの遠征に900名以上人員を用意できるだなんて。クラッチ王国、めっちゃでかかった。


 もう少ししたら北進すればフェムベリア王国……と思ったら南進した!


「船長、北進しないのですか」

「北はインタスタラ帝国がクルード海をギリギリ確保している場所があるんだ。小さい船でも妨害工作は出来る、機雷などだね。だから大きな船は南からぐるっと回る。かなり遠いんだがどこもインタスタラ帝国とは敵対的だから補給の心配はない」


 南進で進むとなると、大陸の外側をぐるっと回るような。良い地図ってのは衛星写真が出回らない限り、ないもんだけど、それでも大陸の概略図なら知ってる。


「なるほど。今日は〈時計〉、8月18日か。10月10日は過ぎそうですね」

「時計持ちとは、さすがだね。3ヶ月はかかると思ってくれ」

「3ヶ月……ライムジュースはお持ちですか?」

「壊血病は心配ない。ビタミンの6番は十分積んでいるよ。あくー文明から壊血病予防の方法は教えてもらった。それまでは酷いもんだったよ」

「あくー文明すげーな」


 ざばざばと船は進んでいくのであったー。

 今回の航海に関してもっと調べておけば良かったね。てへ。

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