第10話 閑話 お姉様とマッサージ屋さんへ行って参りましたわ

 ニーアお姉様に「体ボロボロでしょう、マッサージにいきましょう」といわれついて行くことにした。王族のマッサージとかどんなものだろう


 マッサージ屋は大衆浴場の中で行われるようだ。なんかローマっぽいね。

「ではこちらへ、ごろりと仰向けになってください。私たちは見慣れているので気にすることはありませんわ」

 と、寝台へと誘われる。甘い香りの香が花をくすぐる。


「それではまず頭を」


 そういって頭にオイルを垂らす。人肌に温められたオイルが額の一点に当たり続ける。自然とそこを集中する。気持ちよい。

 これはヨガのアーユルヴェーダだな。

 気持ちよい。


 一通り体にオイルが垂らされ、すり込まれていく。溶けちゃいそう。


「ではこれから揉みほぐしを行いますわ。私たちはプロですので、身を委ねてください、そうじゃないとけがをなさったりして大変危険ですから」


 え? なに? 危険?


 なんでだーって思っていると頭を掴まれおもむろにグッルングルン回し始めたのだ。


「ちょ、ま」


「しゃべらずに!ゆっくりと呼吸をし続けてください。あそーれ、あそーれ、ほいほいほい」


 頭をぐるんぐるん回された後は、口に手を突っ込まれ顎をバキボキバキボキ!! 顎が死ぬ!

 間髪入れずに首を270度くらい左右に曲げる。グルングルン。折れる! 折れるよ!


「力を入れたら折れますから気を楽にー」


 いやいやいやいやそうじゃなくても折れるってば!


 肩は可動域を拡張するような動きと曲がりやすくなるような動きで、これはマッサージって感じがした。今頃そう感じた。やっとマッサージの始まりだぜ。


「それでは揉ませていただきます。お椀型でFカップを誇るだけあって凄い脂肪ですね」


 マッサージ……だよね? 私の各種部位を観察しながらメモをとっている。……マッサージだよね?

 何の前触れもなく胸をがしっと掴まれ、すんげぇ力でもまれ、いや潰されていく。


「ちょあほれはかだめ」


 よくわからない叫びが出る。いやだってこれと当時にお腹にも腰にも足にもやってるし足裏マッサージまで行ってるんだよ!?!? 意味わからんわ!


「はい、これで終了です。数分後に再度行いますのでご準備のほうよろしくお願いします」


 もういい……とは言い切れない。すんごく体が軽くなったのだ。


 姉様のほうをみてみると、お花をちりばめた寝台にお姉様が寝そべっており……なんか普通のオイルマッサージ店みたいだ。


「あら、終わったの?」

「はい、お姉様はあれをお受けにならないのですか?」

「あはは、あれって。私は受けないわよ、この体じゃ死んじゃうもの。戦士たちが受ける特別仕様のマッサージなの。体軽くなったでしょう? おっぱいふよふよでしょう?腰もお尻も柔らかーくなったでしょう? ほら、大浴場であそんできたらぁ?」

「その手には乗りません。遊んだ瞬間に上級聖女の力が封印されてしまいます。お姉様私をあまりいたぶらないでください」

「ふふ、ごめんごめん。さーあと2回頑張ってきなさい!」


「あぎゃー!」


 その2回の施術によって筋肉はほぐされセルライトはなくなり、長年旅した身体からだがケアされたのは事実であった。


「これからは週1ののんびり整体で十分らしいし、よしとしよう」


 まあ、のんびり整体とは名ばかりで激しい整体だったわけだが。

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