第7話 私のものを盗んだな……! と新しい国。遊んでいたらおめでたいところに招待された!

「お、起きたようですね」

「起きました」

「まずは衣服の装着と装備の点検からどうぞ。盗まれているようなら取り返します」

「えーっと……、マントがまずないです。うあーバックパックあさられてる、防具一式がない。私のマルチツールがないですね。あ、ガーターベルトもない。いや、これは元々紛失しているはずか。サラマンダーの尻尾で作った左足ふとももにつける大型バックもない。ベルトもない。あー、ボルトも全部ない。これはお手製なのでかまいませんが」

「結構とられてますね。取り返すのに苦労しそうだ」


 ふーむ。


「一人見つけたら広場に連れてきてくれませんか」


 で、左足につけるポーチを盗んだ男が見つかった。魔石がない。


「ワトソンさん通訳お願いできますか。「魔石はどこへやった」」

「まま、どこ」

「しら。なん、それ」



「しら。うそ。つた」


 私がなんとなく法則性を予測して言った現地語が見事に通じたようで、驚愕の顔をする男。


 私はおもむろに男に近づいた後、思い切りのボディアッパーをたたき込む。男が空中に浮かぶ。そこを思い切り横蹴り。男は50メメト以上吹っ飛んだ。


「おら、どこだ、吐け」

「ま、ま、つぎ、し。はなせ」

 ワトソンさんが相当焦っている。誰も私がここまで強いとは思わなかったのだろう。


「盗んだものをすべて持ってこい。そうじゃないと」


 ものすごい業火を手から上空へ放出する。


「ぬす! だ! い!」


 騒ぎを見に来た長老が相当焦って命令を飛ばす。住民は散り散りになって私から盗んだものを持ってきた。


「それでよい。あの死にそうな男をここまで持ってこれるか?」


 ワトソンさんが翻訳する。程なくして瀕死の男が担ぎ込まれた。内臓破裂してるからこれは死ぬな。


「私は普通の人間には慈悲深い。上級聖女の力よ、〈総合的大回復〉」


 この奇跡は解毒や解呪、ボコボコになった内臓(外側に出ていなければだけど)を一気に回復する奇跡の技だ。もちろん範囲で出すこともできる。

 真っ青になっていた男の顔が赤らんでいく。数分後にはきれいさっぱり傷が治った。


「そういうことだ。人のものを盗んじゃないよ。私はもう行く」


 ワトソンさんは急いで通訳した後。


「ここは隠れ里なんだ、道がほとんどわからないようになっている。私がついて行こう」


 同行してもらえることになった。かっこつけたけど道わからなくて参ったなーって思っていたからちょうどよかったー助かったー。


 ある程度歩いたところでワトソンさんが「あの剣はよかったのか?」と聞いてきたので、そろそろよいかと思い、〈召喚〉で取り戻した。ワトソンさんぽかーんとしてたなあ。あはは。


 隠れ里を抜け、隠れ道を歩き、道へとついた。舗装されてる。見た目、アスファルトに近いな。


「ここをこっちに進めばクラッチの首都カルカだよ途中に街があるから冒険者ギルドに助けを求めるといいそれじゃあまた!」


 なぜか怯えていたワトソンさんを見送る。こっちを進めばいいのか。道があるなら余裕余裕。服装がボロボロでぎょっとされるけど、ニコって笑えば魅了にかかっちゃうもんね。

 紫のマントだけは本当に綺麗なので、マントで体をくるみながら移動。おお、街が見えてきた。入り口にでかでかと看板が立っていて、タウルクって書いてある。こちら辺、といってもどこなのかまだ把握できていないんだけど、陽気なんだね。

 門番兵が私のおんぼろ姿を見た途端に声を上げ、詰め所へ連れて行かれ、事情を話すとそこにいた全員が泣いてよい服飾店を教えてくれた。民への熱意がすごい。簡単に作り直して首都でいいのを作ると話すと、あっちの兵士および冒険者ギルドに伝えてくれるそうだ。民への熱意がすごい。

 ここはいい国そうだ。少し羽休めができそう。


 物価も落ち着いていて装備一式を5ユドで作ってくれるということ。でも首都で作りたいなあ。ここでざっくりしたのを作って、デザインと型紙をもらって首都で作り直せるかなって交渉してみた。オッケーでしたっ! 系列店でと、手数料10ユド支払うことになるけど全然オッケー!

 今回今まで着ていた服を辞めて新しいのを起こしてもらう。まだ成長すると思うんだけどね。それはそれ。今身長は172セセトメルト。あと5セセトは余裕で伸びるっしょ。

 か、体の形はアンダー80のF。71セセト、104セセト……ここまで成長するとさすがに恥ずかしい……。靴も服も、完全にオーダーじゃないと入らない。こっちの世界でも首都とかだと既製品売ってるるんだけどね。全部無理よ。


 とりあえず作ってもらおう。

 基本の構造は今までと変わらないけど、デザインや細部はお店にお任せした。

 できあがった物がこちら(デデン) 

 急所に防具つけるけどほぼ私服じゃんこれ。制服が元なのに制服に見えないよ。でも私の防御魔法は凄いからこういうことが出来る。この辺は賢者のありがたみを感じるね。後聖女の毒とか無効効果。


 最後にガーターベルトとタイツを作ってもらえば、基本の装備になるかな。ここでは作らず首都で作る。

 そうだ、冒険者ギルドに報告しに行かないと。

 冒険者ギルドでは私は帝国が南に追放して行方不明になっていたのでかなり騒然となった。ここ数年、数十年生きて生還した人はいないそうだ。ギルドランクはかなり上がるとのこと。B位かな? C++だった。ちょっとだけBに足りない。まあ高レベルモンスターの討伐にいけるようにはなったのでヨシ! ……ランクを確認したの初めてな気がする。Sだから偉いとか、そういう文化ないしね

 斡旋するのはギルドなのでランクはギルドが知ってるから大丈夫。こっちは知る必要なかった。ちなみによくある依頼を掲示板から剥がしーってのは一切ないですね。依頼を管理斡旋するのはギルドの仕事。やぞ、適当な人に受注させて失敗しちゃった、テヘ(音符)なんてのは信用問題に関わるんだ。


 話を戻そう。冒険者ギルドで判明したけど私はもう17歳だ。ゴリアの放浪、凄い時間使っていたんだな。苦労が絶えないがキャッピキャピの女子高生だ。楽しまないと!!


 服の超ざっくりとしたデザイン案と型紙をもらって、さて大型客員幌馬車にのって首都まで行きましょう。大型幌馬車でもスプリングが効いていてサスペンションも配備されているらしく、乗り心地は快適。技術力が高い国家なんだな。あくー文明の遺産が多かったりして。


 馬車で優雅に首都に到着。まずは服飾店っと。


「250ユド以上もお持ちですか。それならこれが使えますな。ミススルを再精錬したミススル銀という金属を糸に加工して、生地に織り込むのです。魔法との親和性が極に極めて高いので自動防御魔法や任意防御魔法の効率が段違いです。エンチャントもつけて予備の服も込みで150ユドでどうでしょう」

「うーん、凄すぎる素材は補修が効かないのでちょっと。それにするならー、ちょっと下がりませんかねえ、ニコッ」

「では140ユドと仕立て直し時無料を追加で!」

「うーん、うん。それでお願いします。最高級なのを作ってください」


 さすがクラッチの首都にある服飾店。上級聖女の魅了がほとんど効かなかった。上には、上が、いる。

 ちなみに500ユドもらえたはずなんだけど、逃亡したので、冒険者ギルド経由で返済しろって通知が来ていて、返済することになってしまったのだ。なのでもらい損ねた。後金でもらったはずなんだけどな。私は今罪人になっていて、それを恩赦するための代金とか言ってるらしい。ひでえ。


 できあがった服は、大変に綺麗なフリルが付いたブラウスと、完璧な調和のとれたプリーツミニスカートだった。こるぁ凄い。おぜうさま学校に行った気分だ。

 靴も防具に合わせてバトルロングブーツにして、ガーダータイツを履いて、これで完璧な私ができた。この世界、ガーターも正装なので(地球でもそうだったかも知らんが)ある。完璧なおぜうさまなのでブーツが浮いてしまっている……。

 ま、これでまともに出席できる。


 なににって?


 王族の結婚式に!! ゴリアを渡りきった人として招待されたのである!! うっひょー楽しみでござる!!

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