第12話 これからも冒険は続いていく!
雪解けしたらそのまま北へ移動しようと思ったけど、パワーストーン返さないといけないし、聖女が神獣連れて帰ってきたってのも結構驚くだろうと言うことで、いったん北の村ヌンドゥへと帰ることにした。よし、村の名前覚えていたぞ。
朝陽に乗って帰ったら相当かっこいいなって思ったんだけどデカすぎて騎乗は道具がないとマジで不可能だから(伏せてもらっても体高がありすぎるんだってば! 横幅もあるからしがみつくみたいな格好になるし!)朝陽に雪をどけて雪道を作ってもらって、徒歩で下山。
ちなみに各種設備は聖女が身を清めた場所ってことで残した。
朝陽を付き従える格好で村へと帰還した。
朝陽が最初魔物に思われたせいで襲われそうになったけど、私が慌てて仲裁。危ない危ない。
聖女様が神獣を連れて帰還したということで村は大騒然。これはすぐに知らせなくてはと、首都に使いが出された。
あ、やべ、君らのために働く気はないんだわ。聖女として社畜させられるぞこれ……。
ただ北に抜けるにしても朝陽に騎乗できないとちょっとキツイのは目に見えてる。道もないし土地が整備されてないからね。
パワーストーンを返すついでに騎乗道具を狩人さん達に制作をお願いした。無料で作ると張り切っていたが、丁寧にお願いして謝礼は払うことに。北に抜けたらもうここには戻るつもりはない、貸し借りはやめておきたい。
ちなみに騎乗すると衣服がめちゃくちゃ擦れるからということで騎乗衣服も作ってもらうことになった。なんか革のライダーズパンツみたいなものっぽい。うーん、ふとももチラリは騎乗中は出来ないな。正装として動くときにチラリさせるか。擦れまくってスパッツ破れてパンツまで破れるのはさすがにごめんだ。
魔法でどうにか、とも思ったけど、騎乗中常に魔法を使用しているのはさすがに疲れる。魔素を出す、体力を使うってのはどうしたって消耗するからね。あ、正装で乗るときはそうするか。チラリしまくる太もも、大正解で大正義である。
この国衛生観念があんまりよくないからいろいろな箇所を聖女や賢者の力で消毒していたんだけど凄い喜ばれた。えへへ。
そして首都からの使いが来たのと騎乗道具が出来たのは同時であった。
「わ、私は消毒していたいだけです!」
「聖女様を迎え入れる準備はもう出来てあります!!」
く、くそう。行くしかないか。
氷は割れてるし船で行くかーっておもったんだけど、朝陽が乗らない。あ、でもゴールデンレトリバーになればいっか。
朝陽に変身してもらって船に乗る。
凄いうれしいことに朝陽につける騎乗道具にエンチャントしてもらって、朝陽の形状にあわせて伸縮するようになった。
エンチャントは「ダンジョン」から生まれる魔物を殺すことで手に入る「魔石」というものを消費しておこなうので、ダンジョンが近くにないヌンドゥにとってはめちゃくちゃ貴重。気前よく使ってもらってしまって本当ヌンドゥには頭が上がらない。朝陽にあそこも神獣に守ってもらうように伝えてもらった。せめてものお礼だ。貸し借り? なにそれ?
船で首都パルチランカへと到着。朝陽をデカくして、正装でまたがり中央広場の方へ歩む。
おら、パンツじゃねえけどスパッツチラチラすっぞ、太もも見放題だぞ、おらぁ。みろや。
凄い数の人が集まり、人が割れて道を作る。……どうすればいいんだろう。
中央広場には中心に噴水があるので、そこの縁で座って周りに手を振ることにした。営業である。
「あれが聖女様か……」
「勇者も賢者も兼任しておられるんだぞ!」
「美しい……聖女でも勇者でも賢者でもない、女神だ……」
やっべ、営業スマイルが壊れそう。鬼うれしい。
まさかと思って今の年と日付を聞いてみると、一年籠もっていたようで、誕生日の10月10日も過ぎていた。顔、奇麗になってるんだろうな。しかし16歳か。まだまだ成長できるししてる。
女性特有の香り凄いんだろうなあ……。
なんかやることやったし帰ろっかなーって思ってるとやっと王が出てきた。名前は聞くつもりはない、興味がない。
「聖女よ、よくぞ試練を果たした! さあ、この国の毒を抜く仕事に就いてくれ!」
「あ、結構です。私北に行かないといけないので。もう帰っていいですか?」
「な!? お前は我が国の聖女だぞ!?」
「なんで? 私は聖女であり勇者なんです。勇者の力が必要とされるところに参ります。もういいっすよね? あ、一ヶ月だけ聖女しますわ」
日本人的やさしさをみせたのがしっぱいだった。
「〈範囲回復〉! はい、次! え? サイン? カキカキ、はい! え、あなたも? もうゆきって書けばいいよね! あーはい次来たね! えーと、この集団は……〈範囲浄化〉! はい!」
激務ってレベルじゃねえ。過労死する、また過労死するって!
「もうまぢむり、しんぢゃう」
一ヶ月ほとんど眠らずに聖女をやり続け、ぶっ倒れたのであった。残業80h。しかも地球よりずっと一日が長いこの世界で。
ま、この国でやることは全部やったと思う。この一ヶ月もなんだかんだ訓練になったしね。ばいばい、みんな。
深夜に朝陽に乗り込むと、城壁を軽く飛び越え、私は北へと去って行ったのであった。
「そっか、北は朝陽もあまり知らないのか」
「別の神獣の管轄下だった故に。私は元神獣なので喧嘩することはありませぬ、ご心配なく」
「そっか。どんな土地なんだろうねえ。さあ、北に抜けよう! しゅっぱーつ!」
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