第4話
(翌々日)
デ:お久しぶりです。
母:あらハーデル!素敵になって!
ハ:元気そうだな。一昨日はミズカを招待してくれてありがとう。
良かったらお茶でも。
デ:いえ、今日はミズカちゃんと行きたいところがあるので。
(玄関前)
デ:あまり遠くには行きませんから、安心を。
ハ:二人とも気を付けて。
(優しく見送るハルシオ、その陰にカラス)
ハ:お前、なんで顔出さないんだよ。幼馴染だろ?
カ:トラブル回避?
ハ:昔はあんなに仲良かったじゃないか。
カ:可愛い時期はあっという間に終わっちゃうんだよ。
ハ:どの立場のセリフだよ。
しかし馬で迎えかぁ、背も高くなったし顔もいい。人気役者というのは頷けるなぁ。
カ:あの泣き虫が馬にも乗れるようになるとか、昔じゃ考えられなかった。
(景色のいいところ)
デ:変わってないな。一番好きな場所だった。
この辺は水も綺麗なままだし、町の川はどんどん濁ってきているからね。
ミ:水の濁りは町外れに工場が建ってからです。
デ:そうなんだ…街の様子もあの頃とは大分違ってたからなぁ。
ミ:あの、ハーデル。お手紙いつもありがとうございます。
デ:こちらこそ、僕もいつも楽しみにしてたよ、君からの手紙。
ミ:あの…弁護士さんになるのはやっぱり諦めちゃったんですか?
デ:…人には向き不向きがあるって気付かされたからね。
漠然とした思いだけじゃダメだったみたい。
ミ:私はその思いがあるからこそって思いますが。
(回想13歳くらいの頃)
ミ:ハーデル…首都の寄宿学校に行くって本当?
デ:…うん。ごめんね、ずっと秘密にしてて。
ミ:どうして…そんな遠くに?
デ:僕は!弁護士になりたいんだ。
困っている人を助けられる強い人になりたい。
ミズカちゃんに一番かっこいいって思ってもらえるような強い人に!
(回想終了)
ミ:…あの時夢を語ってくれたハーデルはとても輝いて見えました。
デ:役者はね、色々なものになれるんだ。医者にも王様にも、弁護士にだってね。
観客は僕たちの芝居で笑ってくれる、感動してくれる。
僕は諦めたんじゃない、新しい目標を見つけただけさ。
今はみんなに感動を与える役者になりたい。
今の僕、ダメかな…?
ミ:今のハーデルも輝いて見えますよ。かっこいいって思います。
デ:そ、そうかな…
ミ:私なんて…あの頃から何も変わっていない。ただ日々を生きるだけです。
誰かの役に立ちたいって思いはあるけど、いつも助けられてばかり。
大切な人の力になることもできない。
デ:大切な人…。
ミ:大切っていうか、いて当たり前の人っていうか…。
なんだか最近いなくなっちゃいそうで。たまに…怖くなる。
デ:病気なの?
ミ:そうですね、ある意味病気かも。女ったらし病?(笑)
デ:そんな人を思うのはやめなよ、君がつらくなるだけだよ。
役者仲間で同じ思いをしてる人、何人も見てきたからわかる。
そんな奴といたって幸せにはなれない。
ミ:…
デ:ミズカちゃん僕はね、なりたい職業はあのころと変わったけど
一つだけ変わらないものがあるんだ。
(小箱を出す)
デ:キミへの思いだ。ミズカちゃん、僕は君のことがずっと好きだったんだ。
名声も、富も手に入れた。強くなれた。今の僕なら君を幸せにできる。
そんな悲しい顔、絶対にさせない。
み:…ハーデル
デ:ミズカちゃん、僕を選んで…。
カ:この陽気じゃ、確かに告白日和かもねぇ
(ここでカラス)
ミ:カラスさん
デ;カラス!
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