記録6

 勿論、意識連続体にも他の意識連続体との接触はあるから別の私に対するコミュニケーションのイメージがなかったわけではない。

 

 しかしこの星での、私としての肉体を持ってあなたの肉体を使ったあなたとのコミュニケーションの労働は全く別物だった。


 恐らく、地球人が脳と呼ぶ器官が支配的に影響するのか、私の意識の冷温は強く、振幅も増大した。


 勉強は面白かった。

 彼らの文化人類学は、我々の仮説を次々と裏付け、私は同じ学部の他の生徒と活発に議論した。

 それは脳という器官の中でシナプスと呼ばれる有機体同士が反応し合う様と相克していた。

 私は突然に理解した。


 この不完全で歪で猥雑で醜悪に見えていた文明は、個別の個人は、地球人という種族の脳なのだと。シナプスで脳神経で出来た脳を持つ地球人、その個別の胸腹がまた一つ一つのシナプスであり、脳神経なのだ。


 そして私の隣には、また別のシナプスが結び付いた。

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