#6 こちら、「手紙」より
電車の警笛が遠ざかっていく。
目を開けるとそこにはミクがいた。
「ツタウ! 戻ってこれたんだね! とにかく無事でよかった」
ツタウを強く抱きしめた。
「あれ、私、戻って......」
頭の中はまだハッキリしない。
「私、過去にいってて、そこではママとパパがいて......
そうだ、この手紙」
ずっと握りしめていた手紙に気が付いて開く。
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拝啓 これから生まれてくるわが子へ
今日は新しい家族が増えるということで手紙を書いてみることにしました。
私からの最初のプレゼントだね。
まずは、私たちのところへ来てくれてありがとう。
あなたが私のお腹の中にいることが分かった日、パパとママは世界一幸せでした。
あなたが生まれてきたら、「何をしよう」とか。「どこに行こう」とか。
毎日そんなことを考えながら、すこしづつ大きくなっていくあなたを感じています。
パパなんて、もうあなたがお嫁に行く日のことを想像して涙ぐんでいたんだよ。
いくらなんでも気が早いよね。
あ、そうだ。
実は、もうひとつあなたにプレゼントがあります。
『
あなたの名前。
パパとママ、二人で考えました。
どうかな。気に入ってくれると嬉しいな。
はやく元気な
これから家族三人で楽しい思い出をいっぱいつくっていこうね。
2004/10/23 ママより
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母の手紙だ――
想いのつまったその手紙は、死別した母親が地震の直前に書かれたものだと分かり、涙が視界を遮った。
きっと、その想いの強さとこのラジオ局の不思議な力が合わさることで自分を過去へ連れて行ってくれたのであろう。
ひとしきり涙を流し、頭もクリアになったところで、一連の出来事をミクに説明した。
半信半疑な様子だが無理もない。
まさか過去の世界にいくなんて。
「でも、ママに会えて、本当に良かった」
「そっか。私はとにかくツタウが無事で良かったよ。
それにしてもどういった理屈で過去に行けたのか謎は残ったままだね」
「きっと想いの強くこもったモノを持ってここのボタンを押すと、そのモノが作られた時に行けるんじゃないかな。でも、このラジオ局って、一体なんなんだろう」
「そもそもここは誰が作ったのか。そしてなんで閉局したのか......気になるけど、今日はもう帰ろう」
二人はすっかりと暗くなった道を戻っていった。
そして次の日の朝――
いつもと変わらない様子でミクをみつけたツタウは嬉しそうに駆け寄ってきた。
「私、決めた! あのラジオ局の不思議な力を使って悩んだり、困ったりしている人達を助けになりたいなって! だから、正式に部活を作ってこれから活動していくの! もちろんミクも強制で入部だからね!」
自信満々に突き出された手には新部設立届と『ラジオ文芸部』の文字が
『こちら、星街放送局より』 伊藤 リヤン @3me2ga5
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