今日だけ彼氏になってよ
第50話
「今日だけ、私の彼氏になってよ」
「はぁ?」
~~事は数分前に戻る~~
ヤンキー事件が終わってから、また俺達は仕事に戻っていた。
メイドカフェは大盛況のようで、みるみるとお客が店内に吸い込まれていき、外には列ができていた。
「遥香、お前すごいな」
その列を眺めながらそう言うと、
「私、何もしてないけど」
「いや、立ってるだけでお店に貢献してるぞ?」
「ホントに何もしてないだけど……………………」
「さっき小林が言った事覚えてるか?」
「私が……………………可愛いって…………やつ?」
髪をかき上げながら小声でそう言った。
「お前だって可愛いものが店の前に置いてあったらつい入りたくなるだろ?」
「そうね、なんか気になるわ」
「つまり、そうゆう事だ」
「って、私はマスコットキャラクターじゃない!」
「俺に言われても困る!」
店の前で言い争ってると、
「お前らー休憩入っていいぞー」
綺良が扉からひょこッと顔を出し、呼びかけてきた。
てか、もう11時半なのか。
文化祭が始まってから1時間半、それにお昼時ともあって、辺りを見渡すと、廊下の奥までびっしりと人で埋まっていた。
「おう、でも大丈夫なのか?そっち忙しそうなのに」
「こっちは大丈夫だ、俺も休憩するし」
「お前サボる気じゃないだろうな?」
「バカ!そんなに俺は怠け者じゃねーよ!」
「それならいいんだけど」
俺は、細目で綺良を見ながら猫耳を取った。
「んじゃぁ、お前も休憩取れよ」
他のクラスでやっている模擬店に、ご飯を買いに行こうとすると、
「ちょっと……………………待って」
遥香が、服の袖を掴んできた。
「なに、どったの?」
「えっと………その……私もご飯食べたいし、少し文化祭回りたいけど………まだあのヤンキーいたら、ちょっと怖いから…………」
「はぁ、それで俺になにしろと?」
「だから……………その……………………」
「お腹減ってるから早くしてくれ」
「私の彼氏になって!」
「…………………………………………は?」
「だから!私の彼氏になってって!」
「なんだよいきなり!」
予想だにしなかった発言に、俺は心臓が止まりかけていた。
嫌だよ!
なんで今の流れてそうなるんだよ!
彼氏!?遥香の!?
バカ言うな!
確かに、遥香の彼氏になったら、ウザったいけど毎日楽しく過ごせそうだし、中身を除いたら最高の彼女になると思うが……………………
いくら何でもいきなりすぎる!
「ちがっ、その……………………今日だけ彼氏になってって事!」
「それを早く言えや!」
おかげで変な誤解しちまっただろ!
「だって、こう言わなきゃあんたいいって言ってくれないじゃない!」
「別にそんくらい頼んでくれたらいくらでもするよ」
「え、今何て?」
「あのなー俺はそんなに悪魔じゃないの」
「そう?バーサーカーみたいな時あるけど?」
「お前は俺をなんだと思ってるんだよ……………………」
そんなに怖い顔していないんだけどな、俺。
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