第47話

「ねぇねぇ~そこの可愛い子~」


「俺達と遊ばなーい」


「焼きそば奢るよー」


俺達が話している最中に男子3人組が話しかけ来た。


1人目は金髪の短髪で、ダメージジーンズにイキるためだけに買ったGUCCIのベルトを付け、これまたピチピチの白Tを着ていた靴も白。

一言で表せば、服を着せたもやし。


2人目は、アディダスのパンツにアディダスのフリースこちらも靴は真っ白で金髪の短髪。

一言で表せば、早朝に公園をジョギングしているおじさん。


3人目もピチピチダメージジーンズに、ピチピチ白のトレーナーを着ていた。こちらは短髪は変わらず、黒髪だ。

一言で表せば、世の中に増えてほしくない量産型タイプ。


この3人をまとめて呼ぶのであれば、深夜にドン・キホーテに溜まって安いタバコをふかして、スミノフみたいな度が弱い酒でイキっている人。

こんな感じだ。


「いえ、いいです」


遥香はそのヤンキー達の誘いにキッパリと断るが、


「なんでよぉ~」


「俺達といた方が楽しいって~」


「ほらこっち行こうよ~」


と、手を引っ張られそうだった。


「ちょ、やめ」


必死に抵抗するが、男子に力で勝てるはずもなく、


「可愛い子ゲットー」


「よし、どこ行く~?」


「とりあえず文化祭出ちゃうか」


連れて行かれそうだった。

こうゆう揉め事が大嫌いな俺だが、遥香に信頼されている以上、助ける以外の選択肢はなかった。

もう片方の遥香の手を掴むと、


「おい、そこのイキり陰キャ。その子から手を離せ」


弱いのがバレないように、口調で睨みつけた。


「あんた、え?」


俺の意外な行動に遥香は動揺していた。


「あ?誰だお前」


「もしかしてこの子の彼氏か?」


「ぱっとしない顔だな~」


うっわ、ヤンキー怖え~。

なんでそんなにケンカ腰なの?

俺まだなんも言ってないんだけど。

だが、助けると決めた以上、引くわけにはいかない。


「彼女、嫌がってるでしょう」


少しビビりながらも、そう言うと、


「別に嫌がってないじゃん」


「そうだよ~、あんたこの子の彼氏なの?」


「こんな冴えない奴がこんな可愛い子の彼氏な訳ないじゃん~」


大声で笑うヤンキーに、


「いえ、この子の彼氏です」


言っちゃった~。

絶対すぐに否定されてこのヤンキーにバカにされるし、事が終わったら怒られるんだろうな。


「可愛い子ちゃん、ホントにこいつの彼女なの?」


遥香はその問いに、少し顔を赤くしながら、


「か、彼氏……………………です」


ヤンキーに掴まれていた手を解き、俺の腕を抱きしめた。


「ちょ、お前」


「何言ってんのよ、あんたが言った事でしょ?合わせてよ」


小声で言われた。


「うわーホントだったんだ~」


「そんな彼氏より、俺達のほうが絶対いいよ~」


「夜も満足させられるしねー」


「お前下ネタかよ~」


まだ諦めず、強引に誘ってくるヤンキーたちに、


「いえ、彼は見た目はこんなんですが………優しくて気が利けて、ちょっとイジワルな所もあるけどカッコよくて……………その……………最高の彼氏です!」


さらに顔を赤くしながら遥香は言った。

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