第46話
「い、いらっしゃいませぇー」
可愛いと言われ上機嫌になったから、遥香は入り口でお客集めの仕事を始めた。
「って、なんで……………………」
面倒臭い顔をしている俺を含め。
「なんで俺が一緒に居なきゃならない」
「一人だと嫌だし、クラスでちゃんと話せるのあんたと優穂しかいないんだから」
「それなら俺より仲いい小林に頼めよ」
「優穂は今、ノリノリでメイドしてるから無理」
「だから俺を隣に置いておくと」
首を縦に振る遥香。
「でもいいのか?椅子に座ってるだけで」
そう、俺はチラシを持っている遥香の横にある机にただ座って看板を持っているだけだった。
「なにかあったら助けて貰えるし、1人より誰かそばにいた方が安心じゃない」
「そうだけど、これを機会に友達作った方がよくないか?」
「ヤダよ、このクラスみんな下ネタのレベル低い低能で、女子なんかクソみたいなBL読んでる奴しかいないんだもん」
「結構ブーメラン発言だぞ!?」
特にBL。
これに関しては遥香の方が度を越してヤバいと思う。
自分で作品書くくらいだしな。
今日なら文化祭マジックで不可能なことが可能になるかもしれないんだ。
例えば、告白が成功したり、リア充が出来たり、夜そのままお泊りでエッチしたり…………
自分で言い出したのに腹が立ってくる。
なんだ、文化祭っていうリア充のイベントは!ハゼろ!そして気高く散れ!
「それに、友達なら2人もいるから大丈夫」
「2人って誰と誰」
「優穂とあんた」
「あ、俺は友達認定されてるんだ」
「そうじゃなかったら家になんて入れてないわよ!」
「友達2人だけって少なすぎないか?」
「その2人と一生友達すればいいんだし、問題はないわ」
「どっかの青春ブタ野郎みたいな考え方だな」
零の言っていたことは正しかったようだ。
俺はちゃんと遥香に信頼されているらしい。
遥香の2本指に入ってるんだからな。
「だとしてもクラスの輪に入れないのは悲しいだろ」
「そうでもないわ、中学時代のおかげでボッチには慣れてるから」
「なんか……………………ごめん」
同情して目をぬぐうふりをしながら謝ると、
「なに悲しそうな顔してんだよ!」
「いや、なんか掘り返してはいけないもを聞いてしまったなと」
「いっそ笑え!泣かれるよりそっちの方がよっぽどましだわ!」
「それはとにかく、班を作るときにも大変だろ?」
「そこは優穂に何とかしてもらってるから大丈夫」
「お前らホントすごいよな」
この2人の絆は切っても切れない縁で結ばれてるんだろうな。
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