第43話

と、言い切ったものの別に高校ならそう珍しい物ないだろう。

うちの学校で変わっているものと言えば、わんこそばをやっているという事だけだろう。


高校でわんこそばとか、1年の時びっくりしたもん。

しかもこの高校の伝統という驚き。

そんなことはさておき、俺は綺良を連れて屋上にやって来た。

長話になることが予想できるので、途中でコーラとポップコーンを買った。


「それで、本当に言わないよな」


「だから言わないって」


「お前は信用してるつもりなんだけど、これバラされたらあいつ多分死ぬと思うから」


「それは精神的に?」


「いや、物理的に」


文化祭初日に屋上から飛び降り自殺されたらたまったもんじゃない。

学校の伝説胃になってこれから先、文化祭が行われなくなるだろう。

決して冗談ではなく、遥香ならやりかねない。


「まあ安心しろ、どんなヤバい事でも俺は受け止めるぞ」


「分かったよ」


それから、最初から最後まで、零に話した内容をそのまま話した。

最初は平然としていた顔でポップコーンをポリポリ食べていた綺良は、遥香の下ネタの話になった瞬間、手を止め、顔色が変わり始めた。


目を細める事から始まり、段々と口と目が開き始め最後には顔の穴と言う穴がガン開きになっていた。


「――――――――――ど、どうだ」


啞然としている綺良に話しかけると、


「ヤバいな」


声を低くして言った後、コーラを一口飲んだ。


「だよな…………………………………………」


「学校であんな静かで高嶺の花なのに、普段は“あれ”だったなんて」


「ギャップが凄いよな……………………」


「よりによっても下ネタというものすごいジャンルなんて」


「そうだよな……………………」


「それに小林が元凶だなんて」


「あんな誰からも好かれる完璧美少女がな……………………」


「小林が駿水の事が好きだなんて」


「それ一番驚いた……………………」


綺良は淡々と話の内容を繰り返した。

そりゃぁー驚くわな。

日頃、物静かで本ばかり読んでる美少女と、スポーツ万能で頭脳明晰、生徒会書記も務める完璧美少女が下ネタ好きなド変態だなんて。

しかも、完璧なほうが元凶。

俺だったらぶっ倒れて放心状態になってるだろう。


「めっちゃ驚いたけど、誰にも言わないから安心しろ」


「それは助かる」


「それにしても本当にエグかったな」


「これが普通だったら逆におかしいよ」


「だなぁ~」


俺たちは笑いながら、話していると、


「猫耳で言われたから、ちょっと面白かったわ」


「お前もメイド姿で啞然としてたから聞いてたから相当面白かったぞ」


さらにその笑いには拍車がかかった。

2人、笑い転げていると、


「お前ら、なにしてんだ?メイドカフェ手伝えって」


屋上のドアから駿水からの呼び出しがかかった。


「分かったぁぁ~」


手を振りながらそれに答えると、


「んじゃ、教室戻るか」


「それもそうだな」


俺たちは文化祭の手伝いに戻るため、教室に戻った。

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