今年は波乱の予感になりそうだ……………………文化祭

第42話

遥香の家に行ってから2週間が経った。

あの後、零は2人が泣き止むのを3時間ほど待ち、夢設定で今まであった出来事を伝えたそうだ。

すると、予想は的中。


優穂「同じ夢見てたとか奇跡じゃね!?」


遥香「それな!?まじエビ反り昇天なんだけど!」


と、言いながらまんまと騙されたそうだ。


そして今日までの間、俺は零に遥香の取り扱いを説明しながら生活をした。

遥香の対応が楽になったから、少しは心と体にゆとりができた。

でも、やっぱり対応に疲れるのは変わりなかった。


そんな中、今日と明日という日は遥香の扱いをマスターしかけている俺にも、手に負えなくなるかもしれない。

猫耳を付けながら、可愛くピンクにデコレーションされた教室の、ウサギのぬいぐるみが置かれた机に座り、俺は頬杖を付いていた。


「なんだ、浮かない顔して」


ノリノリで女装してメイドのコスプレを着た綺良が、前の席に座って来た。


「今年は悪い予感がする」


「なんでだよ、去年はめちゃ楽しそうにしてたじゃないか」


「去年はそうだけど、今年は今年だ」


「なんかヤバい事でもあるのか」


「大いにある」


「まさか下仁田さんとなにかあるのか」


「大正解」


やはり綺良は勘が鋭い。


「下仁田さんとデートとか?」「お前頭狂ってんじゃないのか?」


綺良が質問している最中に、割って言ってしまった。

遥香と聞いただけで、デートと話題を繋げるのは意味が分からない。

これがヤリチンの思考回路と言うのもなのか?

まぁ、俺と下仁田の関係性を知らないだけだと思うが…………………


「だって、下仁田さんが関係あるってそうゆうことじゃないのか?」


「遥香と俺はそんなんじゃない」


「ほら、今だって名前呼びしてるし」


俺はハッと口を手で隠し、


「分かった、話すよ。でもその前に一つ条件だ」


「おう、なんだ?」


「これから話すことは結構エグイし、誰かに話したくなると思うが、絶対に口外しないこと」


「俺は駿水と違うんだぞ?ぜってー言わねーよ」


「それは知ってるけど……………とりあえず話すから、今から屋上移動するぞ」


「りょうかーい」


俺達が話していると、校内放送がかかった。

この説明で分かる人も多くいるだろうが、今日明日、学校はほどんどの人にとって楽園と化すだろう。

ある教室ではクレープを、またある教室ではたこ焼きを。

そしてまた違う教室ではお化け屋敷を。


体育館では軽音楽部や吹奏楽部のライブが行われ、いたるところでリア充が爆誕する。

そうだ、今日から始まる地獄のイベント、その名も


「始まりました~!葉山祭~!」


文化祭だ!

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